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カテゴリ:【ドキュメント】細谷十太夫
「後は青葉神社だね」とよっちゃんが言う。
実際に訪ねてみると20分もかかっていない。 「サンファン館でも行ってみるか。仙台藩士は藩祖伊達政宗を慕っていたはずだし、十太夫さんは支倉常長の風がある」 「良いんじゃないかな。行ってから青葉神社に戻るようにすれば帰り道ぴったりだ」 「善し」 サンファン館 帆船って結構でかいな。 『本日シュミレーションシアターは来場者多数のため締め切りました。ご容赦下さい』 チケットを買う時にそんなアナウンスが流れた。 俺は近くにいた係のお姉さんに「シアターがないとどうなるのですか」と聞いたら「すみません、他は全部観ることができますから」と言われたので「じゃ、入ろう」となった。 長いエスカレーターを降りると出店が目についた。 「アメリカンドック売り切れか」 俺は寂しかった。 船の方まで下りると、十字型に木柱を組んでロープを巻いて引くようにする仕掛けが置いてあった。砂袋が沢山積んである荷台が付いている。 「どうですか、引っ張ってみませんか」 「何ですかこれは」 「船の舵を取ったりする時凄い力が必要でしょう。それがこれだと簡単にできるというものですよ。お兄さんだったら一人で充分だろうけど」 「どれ」 と回すとかなりの力が要る。 「おお、凄いな」 「すみません。まだこっちの用意が出来ていません」 荷物と反対の方のロープを引かなければならなかったのだ。俺はただ力で回しただけ。 用意ができると軽く回った。 「う~ん。しかし元の重さが分からないな」 俺は直接砂袋が積んである荷台に行って引っ張った。 「うわっ、きつい」 凄い重さだった。これ以上は無理だ。 「わっ」 係のお姉さんとお兄さんがびっくりしている。 「これ、動かせるんですねえ」とお兄さんが聞いてきた。 「いやあ無理ですねえ。これはさすが人間の知恵だな。先にこの元の荷物を引かせれば実感できるよね」 「いや、動かした人は初めてですよ」 「何?」 「皆、簡単だと思って帰っていくじゃないですか」 「そ、それはいかん」 俺は慌てて大声で、「これは重くて大変だ。皆体験したら良いよ。まずはこっちを引っ張ってみてから人類の知恵を知るんだ」などど変なことを言って、近くで笑っている観光客を無理やり引っ張ってきた。 「じゃ、俺はこれで」とお兄さんに挨拶をして俺は逃げた。 よっちゃん大爆笑。 「そんなに重かったか」 「俺、腰悪いだろ。力入れてないよ」 「何だって」 「逆に偶然だな、動いたのは」 少し歩くと 「ごつい兄ちゃん、こっちだ」 と呼ばれた。船に着くまで大変だ。 「これはな、船大工の仕事を体験するんだ。やってみ」 船底の隙間を埋める作業らしい。 藁をヘラのような鉄鎚(鉄鎚のようなヘラが正しいかな)で木の間を埋めていく。 「おお、これは上手だ。一週間もすれば船大工だ」 他の船大工も集まってきた。 「この体が俺位まで痩せたらひと財産だな」 昔は一日50万円稼いでいたという。今は仕事が無くて、で、このサンファン館で復活したのだと言う。 しかし意外と俺には厳しい。 「支えの手が離れてきたぞ」 皆の指導が次々入る。 「もっと力一杯やっていいぞ」 と、その時に係の女の子がきた。 「あっ、力一杯は駄目。この人、あれを動かしたんですよ」 「それはいかん。壊されるな」 俺は慣れない作業で汗だくだ。 「力を入れるな」 もう、笑いが止まらない。 船大工も女の子も俺たちも爆笑だ。 「来月ドックに入れてこの船を修理するから来てな」 「呼んでくれ」 俺たちは別れた。 中は悪戯をすることろもなかったのでとばす。 出店ではお父さんの手伝いをしている小学生くらいの女の子からアメリカンドックをよっちゃんに買ってもらい食った。マスタードどうしますと言われたので頼むといったらその女の子は沢山くれた。 これから病院へ行くので続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/05/13 05:41:00 PM
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