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カテゴリ:【小説】風来坊旅の途中にて
人は待った無しで選択を迫られるときがある。いまの俺がそれだ。
食事が終わり、旅の疲れも手伝って早々に床に就くことにした。 「あなたの潜在意識が決めることよ。明日の朝には答えがでているわ。それじゃおやすみなさい」 そう言うとおふくろは奥の部屋に入っていった。 「潜在意識が決める・・・。俺はどっちの世界にいるべきなのだろうか」 そんなことを考えているうちにいつのまにか寝ついてしまったようだ。 「もしもし大丈夫か!おい、しっかりしろ!」 「う~ん」 「あっ、意識が戻った!おい君しっかりしろ。わかるか!」 「ここは・・・」 「極楽峠の上だよ。君ここに倒れていたんだ。大丈夫か。いったいどうしたっていうんだ。誰かわからんけどな、峠の上で人が倒れているっている通報があってな、そんで駆けつけたんだ」 麓の駐在所から来たという警察官が、興奮気味に声をかける。 「いったいどういうことなんだ・・・」 頭が痛い。俺は自分の身に起きたことを整理しようとしたが、なかなか思い出せない。 「もうすぐ救急車が来るからな。それまでしっかりせいよ!それにしてもふしぎだな」 「・・・何がですか?」 「いやね、ここらへんは地元の人間でもめったに来んのよ。そんでな、あんたが倒れているって言う通報だけど、いったい誰やったんかな。地元の人間ではないな。ここらへんには公衆電話もないし、携帯も繋がらん。あんたを見つけたなら、まっすぐ駐在所に来てもいいようなもんだがね」 救急車が来るまでの間、ボーっとする頭でこれまでのことを思い出していた。老婆のこと、隆史のこと、そしておふくろのこと。そして潜在意識が決めるという、選択肢のこと。 あれは俺が見た夢だったのだろうか? やがて救急車がサイレンを鳴らしながら峠道をあがってきた。 「お~い、こっちだぁ!」 警官が手を振って合図をする。 担架に担がれ、救急車に運び込まれる。 「もう大丈夫ですよ。きっと軽い脳卒中かなにかでしょう。それにしてもあんたは運がいい。このまま誰にも発見されなければ助からなかったよ、きっと」 俺はうつろな頭で車の外を何気なく見た。 救急車の扉が閉まる瞬間、俺は・・・見た。 草むらの・・・影から・・・あの3人が・・・手を・・・振っているのを・・・。 バタンッ。ピーポーピーポー。 救急車は極楽峠を下って行く。あれは夢ではなかったのだ。いま起きていることは俺の潜在意識が決めたことなのだ。 また新しい旅がはじまるのだ。 読者の中にはお気づきの方もいるだろう。第3話の夕食のシーンを。 食事の用意は5人分だった。 1人分多かったが、これはこの次極楽峠を訪れたあなたのためのものなのです。 極楽山(峠)は実在しています。勇気のある方、ぜひ一度足を運んでいただきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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