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カテゴリ:【セミフィクション】無頼控え外伝
ドライブ中の日本語教室
「ギャス・スタンドへ寄ってから行くのか?」 エディが言った エディについて 俺は奴の日本語の先生 「何だその日本語は。ガ・ソ・リ・ン・ス・タ・ン・ド ほら、言ってみろ」 「ガ・ソ・リ・ン・ス・タ・ン・ド。くっくくく」 職場に外人がいたのは後にも先にもあの時だけだが エディはカナダ人でケベック出身 本来はフランス語なのだが 英語も話せるバッド・ボーイだ エディが仲良しだったモリの大冒険のモリが出張中に 余り寂しそうだったので 俺は営業の途中に本屋でフランス語の本を買って オフィスに戻り際にエディにフランス語で話しかけた それから仲良くなった 柔道をやり剣道もカナダのナショナルチームで ボクシングもやる 一度などは俺の顔面にバンバンパンチを入れてきて 俺はさっぱり手が出ない状況になり(喧嘩ではない) 頭にきて上段回し蹴りを出したら 俺よりちょっと小さいエディの頭上を越してしまい エディが両手を挙げたので一応俺の勝ちになった 痛かったのは俺だが エディに関してはまだまだ書く事があるが 今日はエディが俺だけならまだしも自分までも窮地に陥れた話を書く ****** 「suga。今日は僕のお店に行こう」 エディが金曜の夕方、俺を誘ってきた 「良いな。僕の店、なんて中々言うじゃないか」 外人のくせに生意気だ・・・とはいえない 東京生活は彼の方が長いのだ 連れて行かれたのは新宿にあるライオンだった 店にはエディと俺、他に数人しか居なかった 「普通のライオンじゃないか。別にライオンだったら 大手町でも良かっただろ」 「良いから良いから。これからだよ」 エディはニヤリとしてカウンターに行くと ビールを持ってきた エディの店といえばエディの店だ エディが酒を持ってくるから 変なライオン 俺たちのジョッキが何杯か空いた後 ぞろぞろと人が入ってきた 最初は別に気にならなかったが 「おい、エディ 皆、外人じゃないか」 エディはニヤリとして 「外人じゃない。ここではsugaが外人だ」 あははと笑うエディ 21時を過ぎた頃には、ホールの真ん中が空いている意味が分かった 皆、立って飲んでいるのだ 凄い人、人、人 便所への通路も人、人、人 こんなのや ナチュラル・ボーン・キラーズ こんなの こんなのとか こんなの ふ~ この人は居なかった 「suga。ここで日本人だってバレたら大変だよ」 エディが何故か英語で話してきた ああ、そうか 彼らの共通語は「日本語」なのだ 先ほどから感じていた違和感が分かった 外人だからって全部が全部日本語を話すわけではない(当たり前か) ここでは日本語が共通語で さっきから何か変だなと思ったら ちょっと変な日本語が飛び交っているのだ そのうち、喧嘩が始まった(やはり) それもおかしな日本語で意見を主張しあっている 何か、おかしいな どこかおかしい 俺はすっくと立ち上がった 「エディ。俺が出て行っていいかな」 俺はエディに言った 普通の会話は日本語で良いのだ 「どうぞ」 エディはショーン・コネリーのような皮肉な笑顔で手を差し出した 俺はスーツを直しながら彼らに近寄った 俺よりちょっとでかいか・・・ 「あ~、君たち」 「なですかーーー」(多分「何ですか?!」。怒っている) 「なん゛だーーー」(多分「何だ!」。怒っている) 「さっきから聞いていると・・・」 俺はゆっくり話した 「君たちは同じ事を言っている」 2人は顔を見合わせて 次に俺を見た 「こちらの彼が言っている事は・・・そしてこちらの彼が言っている事は・・・」 俺は丁寧にゆっくり日本語で話して聞かせた 2人は実は意見の食い違いはなく ちょっとした助詞の使い方が悪かったのだ 「私の言っている事は 間違っていませんね」 俺は2人に尋ねた 「その通りです」 「そうだ」 2人は冷静になったようだ 「それでは、2人には問題はありません 2人とも同じ意見です。大丈夫。私が確認しました 2人は友達になれます さあ、握手をしましょう」 俺の言葉に2人は照れくさそうに握手をした そして俺とも握手をした 席に戻ろうとすると エディが質問攻めにされていた 「彼はどこの出身なんだ」 「インドか」 という言葉が出れば 「スリランカかパキスタンだろう」 「いや、フィリピンだ」 「彼はアラブ人だ。アラブの男だ」 「ブラジルに決まっている」 とにかくその言葉の壁を縫って 俺はエディの横に座った 「まずいぞ、suga」 エディは英語で話してきた 英語の小声はまずい会話 「お前の出身が話題になっている」 「そんなの聞けば分かる(当たり前だ。日本語なのだから) 東北人だとでも言ってやるか」 「駄目だ」 エディがあせっている 「なぜ」 「日本人では駄目なのだ」 面倒くさいなあ 俺はその時、静かに横で飲んでいる2人組を見た そして小声で "Hey, hey. Where are you from?"(小声の英語はヤバイ話) と、話しかけた この店で静かにしているという事は 同国人が少ないか日本語がうまくないのだ だから俺はとりあえず英語で聞いた "Mexico" 髭の方が小声で言ってきた メキシコ人が何をしに日本に来ているのだ? "O.K. my mexican. Now I become Mexican. You O.K?" "Yes! Yes,great!" その言葉を聞いて直ぐ "I am from Mexico"(アイムフロム"メヒコ"ね) と俺は言った おおーーー 俺の周りで歓声が上がる 聞くとメキシコ人たち 結構肩身が狭かったらしく 俺がボスになってくれて嬉しいという話だった ボス 俺の周りの奴らが口々に俺を称えた 「日本語うまいなあ。すごい」 「僕も自信あったけど、君の方がうまい」 「どの位勉強したんだ?」 尊敬を一身に集めた俺は・・・立場がないじゃないか スペイン人がスペイン語で話しかけてきたが メキシコ人たちが追い払ってくれた 「ボスはスペイン人に征服されたのを忘れていないと言ってやった」 面白い奴らだったな 結構、これって大作だったな 疲れた~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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