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カテゴリ:【セミフィクション】無頼控え外伝
「ここの責任者かって聞いているんだよ」
「は、はいそうです」 ----いや、俺は責任者じゃないって。 「おうおう、誠意を見せてもらおうか」 「誠意、誠意ですか。誠意と申しましても」 ----古典的だなあ。今時居るのかね。これだったら楽じゃないか。はいはい、どちらの組の方ですか? 「ふん。まあ今日はこれで引き上げるか」 「申し訳ございません」 ----あ?金を渡した??? 寝ぼけていた。うとうとしていてどうやらドラマの台詞と俺の思いがごちゃ混ぜになったらし い。本を読んでいる最中、30分ほど寝ていたようだった。 このテレビは嘘である。 「怖かった、組の名前を出されました」と警察に言えば良いのだ。 思い出すと。入社してすぐ・・・ 「カウンターで暴れている人が居るんです」 なぜ俺に? と、今なら言うところだが、当時の俺は入社したばかり。 喧嘩沙汰だから仕方がないかと勘違いして応対したその日はなぜか普通に収まった。 俺は当時、通常は外回りの営業だった。受付カウンターは別な仕事だった。 で、別な日、 「次はsugaが応対してくれよ」 上司に言われた。 何があったのかと訊くと、先日の男が今度は二人組でカウンターで暴れたという。 「明日また来るって言うんだよ」 なぜ俺に? と、今なら言うところだが、当時の俺は 「分かりました」 と言ってしまった。 くる天 人気ブログランキング 翌日、 「来ました」 先輩の女性からの電話だ。 俺は2階に居て、1階のカウンターまで移動した。喧嘩はリズムだ。 俺は段々と歩くスピードを上げてカウンターへ出るドアを勢いよく開けると 「こらー、早く担当出せえ」 と騒いでいる大男、あとで部下の人だと分かったが、彼めがけカウンター越しに腕を伸ばして奥襟を取ると彼の足が浮くように引っ張った 「この野郎。この間の俺との話で済んだんじゃねえのか。俺の顔を潰しやがったな、ボケえ」 この台詞はどっちだ??? 「$%”&”’*+」 声が出るはずがないうまい具合に首が絞まっている。 「うるせえ、ボケえ。警察が来るまでこのままにしてやるからよ。俺も昔と違うっての見せてやらあ。安心しろい」 彼らは俺の昔を知らない、当たり前だ。で、この俺のような人は、殴らない代わりに警察に突き出すくらい優しくなったというのが論点のようだ。 「&%$#”&」 俺は意外と俺より大きい奴の扱いに慣れている。簡単なのだ。自分にビビらない人間が少ないので、圧倒するだけで良い。奥襟のはじから除く例の絵。だが、そろそろ息ができなくてジタバタも出来ないくらい弱ってきているはずだ。 「申し訳ありませんでした」 中年のカウンターに座っていた物静かな男、上司の方が急に言った。 「駄目だ。俺との約束を破って暴れただろう。信用できない。 それに手を離したらヤッパがピュンてな」 だ、誰の台詞なんだ 「絶対しません。させませんから」 「駄目だな。誠意が見えない。丁度良いな、誠意の見せ方の見本を見せてもらおうじゃないか。 それと、警察はまだか」 俺はカウンターの中に居る俺の上司でない課長に言った。(やはり誰の台詞なんだ) くる天 人気ブログランキング 「suga、警察は駄目だ」 「じゃ、事故が起きるな。ドア閉めろ」 俺はドア口に居た先輩に声をかけた。先輩は俺の勢いに驚いてドアを施錠した。(しかし誰の台詞なんだ) すでに大男は静かだ 「事故って」 上司の方が言った。 「事故は事故だ」 既に誰だか分からない人が言った。きっと憑依されていたのだろう。 「申し訳ございません」 真面目な人なんだな。この間二人で暴れたって嘘じゃないか。 「仕方ないなあ」 俺は手を離し席に座った。 と、その時息を吹き返した男が 「こ、この野郎」 と俺に飛び掛ってきた。 くる天 人気ブログランキング 分かっていた俺は横にあった金のゴミ箱を振り上げた その時、 ゴッチーーーーン 俺の真向かいに座っていた上司らしい人が一発パンチをそいつに呉れた。 「おめえ、俺の顔を潰す気か」 「やっぱり謝る気がねえじゃねえか」 上司の方と俺らしい人、お互い大声。 「すまない、sugaさん。きっちり言っておくから許してはもらえないか」 上司の人が必死で言う。だが当時の俺の喧嘩哲学は “相手が1歩引いたら2歩出ろ” だった。 「こいつから謝らせて欲しい。こっちは上司や先輩が身の危険を感じたのだ。俺としてはこのまま引き摺ってでも警察に行きたいのだ」 「お前から謝らんか」 ゴッチーーーーン 「すいません」 不貞腐れていた。 俺はチラリと上司を見た。 「駄目だ」 流石上司の方、俺が何も言わなくても俺の気持ちを代弁した 「すいませんでした」 「もう良いです、分かりました。本当ならここに居る全員とうちの上司にも謝ってもらいたいが、『親分』の気持ちが伝わりましたので良いです。お疲れ様でした」 その日はちゃんとお引取り願った。 くる天 人気ブログランキング で、実は。 ドアを閉められて出られなかった一般のお客様・・・可哀想 彼らが帰ったあと 「受付窓口でヤクザヤクザと連呼したり暴力を振るうとは何事だ」 と、突然そこの課長に怒られた。 「な、なんだと」 俺も不意打ちを喰らってビックリした。 その時だ。ありがとうお客様 「ねえねえ、課長さん。おかしいんじゃない」 と皆寄ってきた。 「この社員さん、頑張ったじゃないの。なんかスッキリしたわよ。水戸黄門の助さん格さんみたいで」 「いや、俺は高倉健を思い出したね」 別なお客様だ。年代が分かるというものだ。 「この人に威張るんじゃなくて、あっちに威張りゃ良かったのに」 「ねえ」 ありがとう、お客様 良い営業をしていれば報われるのだ。 先の上司の方、あとあと何度か良いお客様として色々注文して頂いたり、おかしなクレームの愚痴を言うと知らないうちに解決してくれたり、その街の業界を教えてくれたりして、その人も良い人だった。 これも古き良き時代と言って良いのかどうか。 フィクションである くる天 人気ブログランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/09/04 11:19:01 PM
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