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カテゴリ:【セミフィクション】無頼控え外伝
「僕は勉強に忙しいのでそういう話は止めてくれ給え」
まだ70kg前後の時の英雄だ 「でもよお。これでうちのクラブ、人が足りなくなるじゃねえか」 同じクラブの竹内だ 「竹内君。君は何か勘違いをしているようですね 強請られているのは彼でクラブ全体が強請られているわけではないのですよ それに彼は戦力ではありませんから」 「お前ってそんな酷い奴なのか」 「酷くはないでしょう。ここで僕が暴れたらもっと大変な事になる」 一体どういう口の利き方なのだ これが加藤英雄か これではまるでお嬢様学校を卒業した仁王様のようだ 「それは分かるけど、ここはお前の力で何とかできなのか」 竹内は強請られているという男、安井とは友達だ だが、英雄は安井をどうにも好きになれなかった 安井は信じられない人間だと、いつも竹内に言っていた クラブに置いているのは竹内に対する友情だけが理由だと 「ところで竹内君。今は授業中だから前を向いてくれないか」 竹内は英雄の机の前に座っていて 実は授業中に後ろ向きに座っていたのだ 「あ~、加藤君。竹内君」 先生が近づいてきた 「すいません、先生。竹内君にすぐ座りなおさせますから それから僕はトイレです」 立ち上がった英雄に怯んだ先生(可哀相) 「い、行ってきなさい」 「はい」 英雄は校舎を出ると校庭でサッカーの試合を眺めていた 地区大会と書いてある “困ったのう” 困った 確かに暴れたら自分も大会に出られなくなる 自分だけならまだしもチームに迷惑がかかる しかしあいつを見捨てるのもなんだなあ。別に特に仲が良いわけではないが 「あっ」 その時英雄が発見したのは奴を強請っていた男だった サッカーをしていた 「何だ。いたいた」 英雄は試合をしているところに近づくと 「タイム。タ~イム」 と大声を出した 「何だ何だ」 「どうした加藤」 自分の学校の奴だけでなく、他校の奴も寄ってきた 「久しぶりだな、英雄」 「ようよう。富樫ちゃん、ちゃんとサッカーやってたんだ」 この男は中学の同級生の富樫というごつい奴だ 中学の時は野球をしていたが 「俺は脚が長い」 と言ったと思ったら高校に入ってサッカーを始めた可笑しな奴だ 「どうしたのよ。喧嘩か」 学ランは英雄だけ 「すまんすまん。違うんだよ 実はこいつがな・・・」 指差された男・・・内海はびびった 「うちの部の奴を強請っていらっしゃって。止めてもらおうと思いまして」 「か、加藤。お前、試合中だぞ」 内海が怯んでいると 「タイム中だ」 と英雄は凄んだ 「おいおい。英雄さんの話しをきけよ」 他校の連中の英雄の中学の後輩も混じってどういうことがごちゃごちゃになった 「俺じゃねえよ。田賀に命令されてたんだ」 内海が言った 「田賀って、あの狂犬田賀か」 他校の1人が言った 「おっかないのか」 英雄が言った 「この間、うちの連中でやっちまおうってことになった奴だけど やばい奴だぜ。英雄、やるのか」 富樫はどうも他校の偉い人らしかった 「まさか。話し合いに行くだけでございますよ」 「お前、さっきから変な話し方して、頭おかしくなったのか」 「そうですか。おかしいですかね」 「あっ、お前最近お嬢様好きになったんだってな」 「誰が言ってました」 「谷口」 「あのガキ。お前ら最近会ったのか」 「おう。この間飲んだ」 「俺も誘えよ」 「今度な。大会終わってからだ」 「その後は俺が大会だよ」 「えっへへへ。あのお嬢様がいるクラブでか」 はっとした英雄 言葉遣いを急に変えた 「それ以上言うと痛くなるんでございますよ」 「あはははは」 ごっちん 「富樫さん」 いきり立つ英雄を知らない後輩達 「良いから良いから」 富樫は目に涙を浮かべながら笑っていた 「全く、恥ずかしい事をおっしゃらないでくださいませ」 「おうおう。分かった分かった で、話は終わったのかい、ひでちゃん」 富樫は中学の時の呼び方に戻った 「はい。これから田賀と云う人に会って話しをしてきます それでは他校の皆さん、こいつを潰してやってくださいませ。宜しくお願いします」 そう皆に言うと英雄は審判に向かって 「再開願います」 と明るく言った 英雄の高校のサッカーチームが地区一回戦敗退となったのは この騒動のせいだ!・・・かどうかは定かではない 英雄がクラスに戻ってきた時はもう掃除時間だった 英雄は手に金属バットを5本持っていた 「おい、竹内君。落ちていましたよ、良いものが 田賀君たちと野球の練習をしましょう」 「か、加藤君。それは何かね」 先生だ。掃除の監督に来ていたようだ 「野球の道具に決まっているでしょう。決して喧嘩には使いません」 バット5本をぶんぶん振り回す英雄 「じゃ、じゃあ、掃除をしてから野球の練習してくれよな」 先生は職員室に帰っていった(可哀相) 「馬鹿、お前。お前のサッカー騒動であいつら皆帰ったぞ 凸凹高校の連中なんかも田賀を張っているらしいって言って」 「それではこの野球の道具は無駄でしたね」 「で、どこから持ってきたんだ」 「落ちてたんですよ、本当に」 これは本当らしい 「頼むからその話し方は止めてくれ」 「どうしてですか。私は上品になるのです」 却って不気味だ 「バット5本持って振り回して上品なのか」 「野球の練習だって言ってるだろう」 ドスの効いた英雄の声だった 「英雄君。お掃除はどうしたのですか」 「はい。今やります」 英雄の弱み、お嬢様が寄ってきた 「さ、早く終わらせて部活に行きましょう」 「分かりました」 英雄はバットをゴミ箱に投げ入れると(ガランガランガッシャーン) そそくさと掃除を始めた なるほど 見かけはともかく台詞だけにするとこの二人は合っている お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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