soul-eye

「はい、おじちゃん」

その子は喋らない子だったが、きっとそう言って俺に渡してきたんだと思う。

つるつるの石だった。

時々子供で石を集めるのが好きな子が居る。

思い出したが俺もそうだった。川原や山でよく石を拾ってきた。

一番のお気に入りの石をくれたらしい（お母さんが教えてくれた）。


「sugaちゃんがパワーストーンに興味あるなんて思わなかった」
「クリスタルだっけ。あれは効いたな」
肩凝りに効くのだ。全身に気が回るのが分かる。
その時は偶然手に入ったのだが、今以上に体の激痛が酷い時で、しかもハムレットの企画のために座禅をひたすらしていた時だった。
クリスタルを持って座禅をすると、これがまた凄かった。
「でもなぜかよくなくなるんだよね、あの狭い部屋で。不思議だよなあ」
「本当？！やっぱりあるんだ。うちのオーナーも言っていたんだけど、パワーストーンって移動するんだって」


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天使の像らしいのだが、それが皆が確認した場所からある時ふいに移動しているらしいのだ。
俺は信じる（ただこの話をきいた時は「現代のエクソシスト」という本を思い出したが）。
俺はクリスタルだけではない。
目の前でメンチカツが消えたことがあるのだ。
俺の手から転げ落ちたメンチカツ・・・消えた？
俺はその瞬間に脳が機能停止して視力や記憶を一瞬失わせたのではないかと仮説を立てているのだが、実際どこにもなかったのだ。勿論俺の胃にも。
「神様って時々そうやって持っていくのよ」
誰かに言われた。メンチカツ好きの神様かあ、とその時は爆笑したものだ。
俺は役に立つものにあまり神秘的な意味を持たせないようにしている。
仮説は俺を中心に立てるので常に俗物的だ。


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「石の組み合わせは任せますよ。それと家置きのクリスタルかな」
「じゃあスモーキーとタイガーアイの組み合わせにしようか。オーナーに相談してみるけど４日位でできるわ」
スモーキークォーツは「他人の悪想念や、霊的、環境的マイナスエネルギーから持ち主を守る石」だそうで、その時彼女が前にスナックをしていた時に
「なんでいつもいつもsugaちゃんはぞろぞろ引き連れてくるの」
と言ったのを思い出した。
「あったあった。毎回酷かったわよ。１回軽くお祓いしたけどもう無理って感じだったものね。本当にもとが丈夫だわ」
もとは丈夫なんだ
さて、そのパワーストーンだがそれから２週間かかって今日出来た。


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「オーナーがsugaちゃんを観たらスモーキークオーツだけで良いって。これがネックレス」
俺は首が太いから凄い数になっていた。
「それと水晶の方なんだけど」
「まん丸だ？！」
俺はギザギザの直方体みたいなのを想像していのだ。
「オーナーがこの人は特別だからって凄く大きくしてくれた」
変な占い師の水晶を期待してもらっては困るが、あのクリスタルからこれだけ採って丸くするんだったらどれだけの大きさの原石が必要なのだという大きさできた。
「何が特別なんだろうか」
俺は不安になった。特別に憑り付かれやすいのだろうか。
「はっきり言わなかったけど・・・あとは、これを使って深呼吸した瞑想を３セット・・・３セットの深呼吸って何なの？」
そのオーナーが俺の寝る寸前を知っているわけがない。
「ああ分かった。深呼吸で３セットね。観えているんだなあ」
俺は睡眠障害を克服するときに偶然見つけた呼吸法があるのだ。
俺独自のものだがそれを発見して俺は比較的よく眠れるようになった。それに深呼吸を加えたものを最近やっているものだ。


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「先週出来たといわれてもクルマが無かったんだよね」
「へえ、丁度良かったわね」
「ねえ。スモーキーの数は恐らく普通の人の倍だと思うし、水晶もでかいよ。本当にこの値段で良いのか？」
実際、専門店でみたのよりずっと安かった。
「数が多いのも水晶もオーナーがそうした方が良いってしたんだから良いわよ」
「実は４日でできるはずが２週間かかったんで何かあったのかと思っていたんだよ」
「あははは。確かに凄そうだものね（何が）。でもちゃんと観てから作ってもらって良かったでしょう」
まあ、ありだな。
何が特別なのか知りたい。ただ、知らせないという事は悪い事ではないと思う。
ん？悪い事だから知らせないのか




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