soul-eye

風邪か鍼のための免疫力向上か、熱っぽい。

早起きして天気も良いのを確認したのは良かったが、ダルダルでまた寝てしまった。

「２時過ぎか。どれ、仕方ないから近場の永福寺に久しぶりに顔を出すか」



で、出したところ見たことのない仏様がど真ん中に。

「あらあら久しぶりですね。今日はね、充分、ゆっくりお話していって下さい」

いつもの管理人さんだ。出入りの人が多いのも気になった。

「もしや例大祭？」

永福寺

「宝物は向こうで展示してますから、あなたは先にこちらでお話しをするのですよ」

お話しをするといってもどうしようも分からない。

いつもの妖怪ハンター御札を入手し、その見たことのない仏様に手を合わせてみた。

っが、いつもなら俺一人だが人がいては落ち着くはずもなく、宝物展に向かった。

善光院


「管理人さんに案内されてきました」

どうぞどうぞと入れられて１０畳ほどの部屋に入った。

後からご説明を受けて分かったが、例大祭では和尚さんが感得したストーリーを

永福寺に蔵められている数多くの国宝クラスの掛け軸や仏像で表現するらしい。

「なるほど。前回とは確かに違う」

入ってすぐが角の生えた達磨太師？役行者となっていた。

「角をつけることでですね、威厳を与えたんですよ」

そうしてストーリーに合わせて進むと天川弁財天があった。

「弁財天は女神として表現されますがこれは内地、山の弁才天です。蛇頭になっていますねえ。山を鎮めるのです、今年は」

そうして、お聖天様だ。今年は５体。

「もとは魔神ですから怒らすと怖い」

今東光和尚が言っていた、天部は怖いと。

「菩薩様は語るし聴きますが手は出さない。それを出すのが明王。もっと早く効果が出るのが天部なんです」

怒らすと怖いが、この人間世界に近い神様である事からご利益だろうが呪いだろうが即出るらしい。

不思議な絵があったのだが、五大明王の図なのに何か違和感を感じていたら
「気付きました」（何が？）

「これは明王のもとになっている観音様を描いている絵なのです。もとは観音菩薩の憤怒像があって、

それが後の五大明王になっているんですよ。これは本当に珍しい絵なんです」

「如来の化身の全身ということですか」

一般的に真言宗では大日如来の化身が不動明王と言われている。

「ここで拝まれているお不動さんは釈迦如来なんですよ」



真言宗は大日如来だとばかり思っていたら、永福寺のお不動さんは釈迦如来の化身。

「頭に冠をつけているのが大日如来。このように頭髪だけなのは、釈迦如来なんですよ」

「ははあ。色々あるのですね」

俺は分からなくなると「色々あるのですね」で終わっちゃうのだ。

「天部を拝めるのは行者様に限られております」

「そういえばさっき孔雀明王があったのですが、龍雲寺という花泉のお寺が宗派違いだけど預かってそのまま置いているって言ってました」

「祈祷寺でなければ怖い仏様は置けませんね」

あの世まで人を導くお寺と、現世の浄化を祈祷するお寺があるのを初めて知った。

「じゃあ、永福寺で私のために御祈祷していただいたというのは凄いことなのですね」

「何もなくですか」

「いきなりです」

「そりゃ，凄い。ここはね、私ら子供の頃はそれは夕方になると真っ暗で、

怖い神様がいるから気をつけろなんて言われたものです」

孔雀明王の掛け軸には、狐の尻尾をはやした女性と並んで酒を飲んでいる男の絵もあって笑った。

さて、勉強もしたところでもう一度戻ると、ガネーシャ像ではないお聖天様だというのが分かり眺めていた。

そうしたら知らない女性から「この像は１０年ぶりなんだそうですよ」と話しかけられた。

遠出しなくて良かった。もう時間は閉館時間の４時。１時間半いたんだ。

帰りに不動明王と記念写真を撮っていると管理人さんがやってきた。

「これからはね、あの秘仏はよく見ることができるようになりますから。どうぞ来てくださいね」

と告げて、俺が話しかけようとするとさっさと戻って行った。

お餅を置いて・・・



しかし俺も随分勉強したものだ。

初めてここに来たときは宗教自体チンプンカンプンだったのにね。


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