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仏ふつキール・ロワイヤル

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2005.05.12
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テーマ:美容院(1025)



前の日記で、そば茶の、美容師見習いのいとこの女の子に髪を切ってもらったはいいが、
ぜーんぜん気に入らなかった。
のに、いとこにタダで切ってもらってしまったせいで、美容院に行って手直ししてもらうこともできないと愚痴った。


それから約1ヶ月経過。


ほとぼり冷めた・・かどうかはわからないが、自分の中で限界にきていたので、

「もうすぐ誕生日だから、その前に小ぎれいになっておきたい」

という、いざという時(?)のための姑息な言い訳も準備して、今日は美容院に行ってきた。



日本では、美容院に行くのが好きで、まぁまぁ頻繁に通っていた私。


フランスでは、最初はビンボウ留学生だったし、のびのびの髪でもがまんして、本当にときどき、美容院に行っていた。


それでもトータルで結構いろいろなフランスの美容室に行ったと思う。


そして、今日現在まで変わらない思いは、


「髪は日本で切れ」。


総合点で、絶対日本の美容院の勝ちである。


やっぱりこれは、“サービス業”として美容師さんたちがこの仕事をとらえているかどうかの違いのような気がする。


日本のそれはみなさまご存知のとうりだが、フランスのフツウの街の一角にある(てゆうか街中に腐るほどあるけど)フツウの美容室をポンと日本に移動させたら、絶対評判悪すぎてつぶれるだろう。


技術どうこう、ではない。


「自分はアーティスト」とより思っているのは、フランス人美容師のほうかもしれない。


とにかく他のサービス業同様に、接客がぜんぜんよくない(日本に比べて)。


今日行った美容院も、初チャレンジのところだったのだけれど、例にもれず、「フランスの美容院」だった。


店について、すぐに女主人のような人に対応され、どうしたいのか聞かれたので、

「長さはあまり変えたくないが、全体に重いから軽くして、厚さも薄くしてほしい・・・」

などなど頑張って説明した。


そのあと更衣室に案内され、上半身の服をぬいで(つまりブラ一枚になって)青いシートを着て出て来いと説明された。


あちこち行ったが、上半身裸にされたのはここがはじめて。


そのあといかにも見習い!という感じのわか~いお兄ちゃんにシャンプーされる。

このシャンプーがまた、雑。

両耳に泡が入ってきて、何か話しかけてきている(多分水の温度か何か)のに聞こえないってば!


シャンプー終わってカットの席に案内される。

誰が切るのかなぁと思っていたら、その、わか~いシャンプーの兄ちゃんが、

「で、どうしたいんです?」

と聞いてきた。


ええーーっ、あなたが切るのぉぉ??

と、内心叫びつつ、でも一見さんの私にはこういう見習いさんがつくのはわりとよくあることなのであきらめる。


さっき長々と“どうカットして欲しいか”説明した女主人らしき人は、退社時間だったのか帰ってしまっていた。

もちろん、若い兄ちゃんには全然説明してくれていない。

しょーがないのでもういちど説明し直す。

ここが日本ならそれだけで大減点ものだけど、ここはフランス、あきらめが肝心。


最初は席に座って、お兄ちゃんはふつうに立って切っていたが、私がチビで、彼が超長身なため、辛くなってきたらしく、

「立ってください」

と言われ、椅子のうしろに立つ。(これははじめてではなく、他のところでも結構あった)

ここから終わるまでずーっと棒立ち。


日本ではフツウ、客は自分の頭は固定してあまり動かさないものだと思うが、この兄ちゃんは、私の頭を、右へ左へ前へ後ろへ、微妙な角度から、かなり直角な角度まで、動かしまくり。

左ななめ前方に、微妙な角度で頭を倒されて、そのままじーーっとしているのはけっこうきつい。


「それじゃぁ、髪をかわかしてから、前髪を切りますね」

といわれたので、え?もう前髪以外は終わったのか??と思ってみてみると、
下に落ちてる私の髪は、あまりない。


全然変わってないやんけーー!!

と叫びたいのをこらえて、


「乾かしたあと、サイドと後ろももう一度切るんですよね?」

と念を押してみたところ、“え?まだ切って欲しいの?”とあからさまに顔に出され、

「それじゃぁ、切りますよ」

といって、ふてぶてし~~くまた切り始めた。


そのあとしばらくして、コチュ(赤子)をベビーカーにのせてそば茶(だんな)が迎えに来た。


「あれ??これから切るところ?迎えにくるの早すぎたね~」


鏡越しに、私の終了寸前のヘアスタイルを見て、でかい声で言うそば茶。


“このまま終わるのならお金払うのいや~~!!”と思っていた私は、 いいぞ!そば茶!もっと言ってやって!!とそば茶の無神経をウヒョウヒョ喜んでいた。


そば茶「え?もうこれで終わりなの??全然軽くなってないじゃない?もっと後ろをこうして、サイドをこうしたいって言ってなかった??ね?」

うん、うん、とうなずく私。


そば茶「後ろのこの重~い黒~いモノをがんがん取っちゃうかんじでやり直してください」


さすが、フランス人にはフランス人が一番である。

がんがんと調子に乗ってそば茶がクレームをつけていたので、今まで暇そうに他の店員とおしゃべりしていた、たぶん35くらいの働きざかりの男性が、見習いの兄ちゃんと交代した。

「じゃぁ、とにかくガンガン軽くしちゃっていいんですね?」


そば茶「もうすぐ夏ですからね!ばりばりやっちゃってください!」


こんなときのそば茶は妙に生き生きしている。やっぱりフランス人だね、あんた。


そしてその働き盛りが、ばばーーっと切ったあと、それを横で眺めていた見習いの兄ちゃんに、

「じゃ、後よろしく」

といってまたおしゃべりに戻っていった。


日本だと、カットしたあともう一度シャンプーしたりするところもあるが、フランスではお目にかかったことは今のところない。


この兄ちゃんも、顔や首についたカットした髪の毛を、ドライヤーでババーーっと吹いて払うだけである。


人の顔面にそんなに近くから強風を当てるな~!というほど吹き飛ばされたにもかかわらず、まだまだたくさんついているカットした髪の毛。


そば茶「まだたくさんついてるよ、髪の毛。タオルか何かないですか?」

といったら、兄ちゃんはタオルを私に渡して、さっさとレジに向かった。

自分でせっせと髪を払う私。


出来上がりの髪型は、働き盛りに途中交代したおかげで、そんなに悪くはなかった。


でも、この美容院、日本にもって行ったら絶対につぶれる、私がそういう理由は、日本人のあなたなら、わかってくれるだろうと思う。


私がもうその美容院に行くはずもないことは言うまでもない。

いったいいつになったらお気に入りの美容院に出会えるのか。


ちなみにパリに住むそば茶のいとこから今日たまたま電話があったので、この話をしたところ、パリにすごくいい美容院があって、とくにアジア人におすすめだから、ぜひパリに来いといわれた。


兵庫県に住む人が東京に髪を切りに行くようなものである。


そんなハイカラなことは、1歳児のママの私にはとても出来ない。


私のこの小さな街での美容院ジプシーは、まだまだ続きそうである。








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最終更新日  2005.05.12 07:31:54
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