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ヴェーダがわかりたい INDIA A to Z

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2007.03.06
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カテゴリ:【A】
                アイヤッパ神


あまり聞き慣れないアイヤッパという名前の神様。
南インドのケララ州では盛んに信仰されていますが、他の所では完全に無視されています。
そういう神様が時々いるのは何故かといえば、どうもある時にマーケッティングによる神様達の合併吸収やリストラなどが行われたらしいからなのです。

紀元前のアーリア人のインド侵入とともにブラフマイズム(バラモン教)が成立し、ヴェーダの神々といわれる自然神が人々に信仰されていました。
アグニ(火)、ヴァ-ユ(風)、インドラ(雷)、ルドラ(暴風)、スーリヤ(太陽)とか、もっと古い神々にはディアウス(天)、プリティヴィー(地)など。

紀元後には宗教のヒンドゥー化が進み、神様もプラーナの神々といわれるブラフマー(創造)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(再創造のための破壊)の三位一体神などが中心になって行きました。

合併吸収されたのはルドラ→シヴァ(暴風→破壊)、スーリヤ→ヴィシュヌ(太陽→維持)。
リストラされたかわいそうな神様達はアスラやナーガやガルーダなどで、お気の毒にも悪魔や魔物に格下げされてしまいました。

マーケッティングはヨーロッパでも起きていて、農耕文化的な大地への地母神信仰は聖母マリア信仰に、冬至のお祭りがイエス・キリストのお誕生日のクリスマスに変化したみたいなのです。
身についた習慣を強引に変えるよりは、元々あるものをスライドさせる方が簡単で取り込みやすいですものね。

アイヤッパは元々はケララの村などで信仰されていた神様らしく、それがあろう事にもシヴァ(男性神)とヴィシュヌ(男性神)の息子になるというユニークな展開に。
アイヤッパの別名はハリハラプトラ、ハリ(ヴィシュヌの別名)とハラ(シヴァの別名)のプトラ(息子)です。
アイヤッパにまつわる神話は複数あるのですが、共通しているのはモヒニ(美女の意味)という女神に化身したヴィシュヌの美しさにシヴァが魅了されてしまい、2人から出来た子供がアイヤッパであるという部分です。

シヴァには他にも2人の息子がいて、そのうちの1人は象の顔をした人気者のガネーシャ。
その兄のスブラマンニャには他に5つの別名があり、その1つのムルガンもやはり南インドのタミル・ナドゥ州の地元神だったようです。
彼はめでたくシヴァの息子に納まりましたが、運が悪かったのはアリャハルというやはり南タミルの大きな町マドゥライの神様。
妻のミーナクシがスンダレシュヴァラ(シヴァの別名)の奥様の1人としてサバイバルしたために、今では元妻の兄という切ない存在にされてしまいました。

別名、化身、変化、これがインドの神様の得意技ですが、つまりは多数の民族が入り乱れた移動や興亡があった結果のインド的な落とし方なのかな?と思います。
今のヨーロッパは完全にキリスト化されていますが(イタリアなどはおびただしい数の聖人という形で多神教を温存している?)、インドはカレーの中に溶け込んでいる何種類ものスパイスのように、渾然一体として複雑に絡み合った文化を長い歴史の中で創造し続けているようです。





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Last updated  2007.04.24 19:04:06
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