ラスト・ブラッド
人間 vs 鬼。セーラー服の少女(チョン・ジヒョン)が鬼を斬りまくる。少女の使命は、全ての悪の起源、オニゲン(小雪)を倒すこと。もっとわかりやすい題名をつけるなら「セーラー服と日本刀」だろう。この映画は、フランス人監督が、日本のアニメを無国籍風にアレンジした作品だ。セーラー服、着物、日本刀、忍者、鬼・・・でも主人公はチョン・ジヒョン!チャン・イーモウに影響されまくりのアクションシーン・・・中国っぽいぞ!おでんの出汁をスプーンですする「組織」のボス・・・なんてマヌケなんだ!91分と短いわりには『長い』と感じたな。でも、いま世界の映画ファンが面白がるのは、こんな映画なのかもしれない。CG はチープだったなぁ。アクションシーンも既視感がある。なんか物足りないので、アタシの評価は「おひまなら」の C にしておこう。▼この映画を面白おかしく観るために日本のポップ・カルチャーは世界に影響を与えている。それは次々に公開されるハリウッド映画でも実感できる。NHK 東京カワイイ★TVって知ってるかい? 知らない人は観てごらん。いま、外国人と楽しく会話したいなら、日本のポップ・カルチャーについて、かなりの知識を持っていなければ話にならない。国立メディア芸術総合センター(アニメやマンガ、ゲームの殿堂)の創設に文化庁が乗り出したというニュースが流れると、「総工費117億円」「血税」などのキーワードを並べて批判したがるマスコミ。『まったくの無駄づかい』と結論づけたがるコメンテーター。まずヤツラを疑ってみよう。日本のアニメやマンガは国際的に評価が高い。でも、頭の固い日本人はその価値を知らない。「ジャパン・バッシング」なんて今は昔だ。日本のポップ・カルチャーへの関心は年々高まっている。ハリウッドも日本生まれのネタなしでは映画作りを続けられないし、欧米のファッション・デザイナーもネタ探しのために東京を訪れる。日本人は欧米人ほど錬金術に走らない。日本人はモノ作りや日本風アレンジを決してやめない。いや、やめられない。なぜなら「作ること、工夫すること」が好きだから。欧米人が錬金術にうつつを抜かしている間に、日本のポップ・カルチャー、ファッション、和食、ロボット、ハイブリッドカーなどが世界をリードするようになった。Manga, Animation, Sushi, Nintendo, Otaku, Kawaii・・・Cool Japan.『そうだ、世界中の若者をジャパニーズ・ポップ・カルチャー漬けにしてしまおう』この発想自体は悪くない。問題は「最初にハコモノ」という役人的な考え方だ。ハコモノを作れば、自動的に「館長」だの「なんたら室長」といった「天下り先」ができる。退職金の二重取りなんて当たり前。そういう無駄な金をかける必要はない。ゴチャゴチャしているから行くたびに発見があって面白いのだ。それらを一ヶ所にまとめきれるはずもない。ガイド作りも出版社に任せればいい。政府がやるべき事は、なんとかして外国人観光客を日本に呼ぶこと、話せる英語教育の充実。それぐらいだ。ということで、日本のポップ・カルチャーが世界の映画にどんな影響を与えているかを知りたい人は「ラスト・ブラッド」を観なさい!