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FLの1つ下のカテゴリー、全国を9地域に分けた「地域リーグ」の取材記。
今は無きサッカー季刊誌「サッカーJ+」に連載されたものを再編したものだそうだ。 2005年から足掛け3年で、各リーグから1チームずつ取材している。 また、地域リーグからJFLへの昇格を掛けた全国地域リーグ決勝大会(地域決勝)や、 地域決勝への出場を逃したチームが、敗者復活戦と位置付ける全国社会人サッカー選手権大会(全社)についても取材している。 この作品を読んだきっかけは、信州ダービーを取り上げたドキュメンタリー映画「クラシコ」が、 企画構想の際に参考にしたと聞いたからだ。 松本山雅自体はほとんど登場しないが、山雅のようにJに昇格したチーム、いまだ苦悩の中にあるチームなど、 各チームの「夢の途中」の理想と現実を垣間見ることができる。 サブタイトルは『地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影』とあるが、 そうしたクラブのあまりよく知らない舞台裏を知ることができる。 また、「J2昇格より難しい」、JFL昇格を掛けた地域決勝のまさに「生死を掛けた闘い」の模様なども興味深い。 紹介されているクラブは以下の通り。 グルージャ盛岡(2005年7月) V・ファーレン長崎(2005年9月) ファジアーノ岡山(2006年1月) ウエーゲン金沢(2006年4月) カマタマーレ讃岐(2006年7月) FC岐阜(2006年10月) -第30回全国地域リーグ決勝大会(2006年11月) FC Mi-Oびわこ Kusatsu(2007年4月) FC町田ゼルビア(2007年6月) ノルブリッツ北海道FC/とかちフェアスカイ ジェネシス(2007年8月) -第43回全国社会人サッカー選手権大会(2007年10月) -第31回全国地域リーグ決勝大会(2007年11月) 上記の中でも、現在はJ昇格を果たしているチームもあるが、 地域リーグから駆け上がったチームは結構多い。 それだけに、Jを目指すクラブが次々と生まれてくる。 クラブ結成時の「熱」をうまく昇華してJへ駆け上がれるか、 停滞とともに「熱」が冷めてしまうのか、昇格への賞味期限は限られている。 ほとんどのチームがアマチュア選手を抱えて、土のグランドで夜間練習を強いられている。 また、全社大会はアマチュア(仕事を持つ=休めない)前提ゆえに、 参加32チームがたった5日間でトーナメントを行う。(2006年当時のレギュレーション) そんな過酷な状況下でも、選手たちは偉く前向きだ(強がりの面も多少はあるのかもしれないが)。 プレーできる環境を感謝し、また希望を捨てずに日々できることをやっていこうとしている。 それだけに、地域決勝の闘いは生きるか死ぬかの闘いになる。 そんな一世一代の大会だが、もともとはアマチュア1部リーグへの入替え戦だったため、 さまざまな歪が生じていると筆者は批評している。(これは2007年当時だが、今はどうなのかな?) いずれにしても、地域リーグをどうやってすり抜けるかが、 J昇格への最大の難関なのは間違えない。(「クラシコ」でもそこに触れている。) Jリーグ百年構想で各地に誕生したJを目指す地域密着型クラブ。 そして、近年次々とJ2昇格クラブが増えて、ついにその数は22チームに。 いよいよ、JFLとの入替戦も視野に入ってきた。 また、今後もJ目指すクラブは生まれてくるだろうし、 各カテゴリーの入替えが、ますます混沌としていくのではないか。 やっと昇格を果たしても、また地域に落ちる可能性が出てくるのか。 ビッククラブがある一方で、こうしたクラブがあることがサッカーのおもしろさだ。 公式サイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.08 13:48:15
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