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カテゴリ:本
「永遠の0(ゼロ)」(百田 尚樹著)
ちょっと前、S君のデスクに分厚い文庫本が置かれていた。 「イラストレーターのIさんから貰ったんです」 ふ~ん、読んだら貸してんか。 で先日、私のところにやってきた。 で、読んだ。 特攻隊員としてなくなった祖父・宮部久蔵のことを調べる姉弟。 「生きる」ことにこだわっていた祖父が、なぜ最後には特攻に志願したのか。 かつての戦友たちの証言を聞き取りながら、祖父の実像に迫っていく。 という内容。 証言にかなりのページが割かれていて、 当時の戦況や心情の描写は驚くほど細やかだ。 特にそのころの“空戦”がどのようなものであったか、 私は始めて知った。 戦記ものの小説なのか?と思いながら読み進めていくと・・・ 最後に驚愕のドンデン返しが!!! 戦友たちの証言の中に伏線がたくさんあったのに、 全然気づかなかった。 兵を駒としてしか扱わず、現場を知らずに無茶な作戦を立てる、エリート将校。 やみくもに国民をあおる新聞社。 そういった“権力”にたった一人で立ち向かう男の姿。 その強く優しい、祖父・宮部久蔵の“思い”。 権力に対する“怒り”、 名もなき市井の人に寄せる“慈愛”。 この小説の行間に刻まれている著者の思いが伝わってくる。 その“怒りと“慈愛”のまなざしを著者は、 今の日本にも向けているに違いない。 おそらくそれがこの本の隠されたテーマだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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