カテゴリ:日々つれづれ
夢を見て・・・目が覚めた・・・。 ぽろぽろと、泣いて目が覚めた・・・。 いつから泣いていたのか、目を開けるとコテツがじぃ~~っと見ていて、私と目が合うと、ちいちゃく「にゃぁ」と鳴いた・・・。 夢から覚めても、悲しくて、しばらくはドキドキしていた・・・。 コテツと暮らす前に一緒に暮らしていた猫がいる。 妹と一緒に住む家を探していたとき、部屋のベランダにまるでそこの部屋の主の様に、ひなたぼっこをしていた彼がいた。 「猫付の家なんて、ステキじゃない?」って感じで、その部屋を借りることを即決した。 彼は野良猫で、いつもけがをして帰ってきた。 ある時、手術が必要なくらいの大けがをしたのをきっかけに、彼は私たちの家の正式な家族となった。 そして、すぐに大家さんの知るところとなり、ペット不可だった部屋には住めなくなり、ペットと暮らせるマンションに引っ越しをすることになった・・・。 彼は野良猫だったのにもかかわらず、外に脱走をしようとはしませんでした。 まるで初めから飼い猫だったかの様に、マンション暮らしにも不満な様子を見せませんでした。 妹と喧嘩をしたときは、彼が間に入り、仲裁されたこともありました。 また、玄関のチャイムが鳴ったときは、誰が来たのかを確かめるのが自分の仕事の様に、走って一番先に確認しに行ったりしていました。 彼は男の子だったので、私たちを守ってくれる気持ちだったのでしょうか・・・?私たちは、ペットと一緒ではなく、確かに3人で暮らしていました。 長い家族の歴史の中で時間は流れ、新たに猫が1匹増えたり、マンションのベランダではなく、二匹の猫を自由に外を歩かせたくて、庭付の部屋に引っ越しをしたり、後から家族になった猫と一緒に妹がお嫁さんに行ったり・・・。 そして、彼と私の静かな二人暮らしが始まりました。 私は、彼に『献身』ということを教えてもらいました。 晩年の彼との暮らしは、闘病の生活でした。 野良猫だった時の食生活のせいだったのでしょうか?それとも、ストレスのせいだったのでしょうか? 彼は、腎臓を悪くして、何度もお医者さんにかかる様になりました。 入院をして点滴をすることもありました。 それでも、回復しているうちは良かったのですが、病院では、ストレスもかかり、点滴の回数も増えてきたので、家で点滴をすることにしました。 点滴は朝と晩の2回。15分から20分くらい針をさしたまま、じっとしていてもらわなければなりません。 私は、病院に点滴の針のさし方を習いに行き、毎日彼に「ごめんね・・・。」と謝りながら、点滴の針をさして抱っこの時間をとりました。 ご飯は、病院食。当然おいしくないので食べません。 食べないと体力がなくなってしまうので、指につけては口の中に入れる・・・という方法でご飯を食べてもらいました。 彼が弱っていく様子を見て、最後の1日まで一緒に過ごそうと決めて、仕事を整理して最後の蜜月を過ごすことにしました。 夜寝るときはベッドで一緒に寝ていましたが、ベッドに上がって来れなくなったので、床に布団を下して、一緒に寝れるようにしました。 布団にもぐるのが好きだったのに、布団が重くてもぐれなくなったので、寒くなってきていましたが、軽い布団に変えて休むことにしました。 彼の体は冷たいのに、寒い所、寒い所で寝ようとします。そんな彼の後を、毛布1枚をもって一緒にくっついて移動する私の傍で、小さくゴロゴロと喉をならして、おでこをくっつけてくる彼と朝まで眠ったりしていました。 一度だけ彼はふらふらする体で庭から外に出て行こうとしていました。 呼び止めると、立ち止まって振りかえり、行こうかどうしようか迷っている様子でした。 もう一度呼ぶと、決心をしたかのごとく、戻ってきて何事もなかったかの様に知らん顔をして毛づくろいをしていました。 長い闘病生活で大変助けになったのが、バッチフラワーレメディーのエッセンスです。 彼も私もお互いに、確実に来る次のステップに、できるだけ穏やかに移行できるようにするエッセンスのエネルギーのブレンドを、毎朝、昼、夜と摂取していました。 彼は心配事を抱えていました。 それは、彼が次のステップに進んだとき、残った私を本当に心配していました。 時々、私の瞳の奥を覗きこみ、大丈夫なのかどうかをたずねてきました。 最初は、まだまだ彼に頑張ってほしくて、いなくなっては悲しくてやっていけない・・・ぐらいの事を伝えていましたが、それも彼の解放にはつながらない気がしてきていました。 ある日、いつものように探るように瞳を覗き込む彼に、『大丈夫、あなたがいなくなったらすぐに次の子をむかえるからね。心配はないよ・・・』と伝えると、彼はかなり事務的に、私のおでこに自分のおでこを擦り付けてきて、ひざからするりと降りて行った。 ・・・うそをつきました・・・。・・・すぐに次の子をむかえる気なんてさらさらありませんでした・・・。 ・・・手放せないでいるのは、私のほうでした・・・。 別れはを決断するのはつからった・・・。 毎日の日課となっていた点滴を止めるのは、彼の生命線を立つことになる・・・。 毎日の食事を止めるのは、彼の命をあきらめることになる・・・。 それでも、ある日、すべての日課を止めました・・・。 ・・・そして、たんたんと平和な日々が過ぎ、今日のようなすっきりとした秋の穏やかな日に、彼は旅立っていったのでした・・・。 最後の最後はお約束通り、私の腕のなかに抱かれて、瞳を覗き込んだまま、彼の瞳から光が消えていく瞬間まで、私たちは一緒でした・・・。 私は、彼から『献身』ということを教わりました。 彼は、私が満足するまで、付き合ってくれていたのです。 ちゃんと心に区切りが付くのを、待っていて付き合ってくれていたのです。 一度は、家を離れて旅立つつもりだったのでしょうが、呼び止めた私を思い、猫の本能と言われている行動さえも封印して一緒にすごしてくれたのでした・・・。 彼は、自分の『命』を私の満足のためにすべて捧げてくれたのでした・・・。 ・・・私は、これから先の人生で、誰かのためにこんなにも献身的でいられる自分になることが、できるのでしょうか? ・・・彼が旅立つ前に、約束をしたことがひとつあります・・・。それは、来世でかなえられる約束・・・。内容は、ふたりの秘密です・・・。 アーユルヴェーダにこんな一節があります・・・。 生きとし生けるもの すべて至福から生まれ、至福に支えられ 至福に向かい、ふたたび至福と一体となる ー ウパニシャッド - すでに彼は、至福の中に一体化していることでしょう・・・。 でも、今、できることなら、ふわふわの彼の毛皮をなでて、もう一度お腹に顔を付けて眠りたいとおもうのである・・・。 彼とさよならをしてから、10年がたつ・・・。明日は、彼の命日です・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.10.04 11:16:53
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