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テーマ:本のある暮らし(3292)
カテゴリ:本
日本エッセイスト・クラブ賞の受賞作
から選んだ という短編集。 短いから、「電車の中で読みやすい」という単純な 理由で 手にしました。 画像を準備するより、楽天市場に、 リンクしたほうが早いと、やっと気がついた (おそい…) 天気がどんよりしているせいか、 爽やか というよりは、 夕暮れ時に、モノトーンに変わっていく街並みを見て、 切ない気持ちになったような… 温かいような… そんな読後感でした。 ● 森茉莉さんの 「森鴎外のこと」 文学のふところ深い世界に、優しい気持ちで 包んで、運んでくれた。 そもそも1900年とか、1930年とか生まれの、 筆者たちが、親のことを書いたら、 今の私たちには、一種のタイムスリップです。 黒光りする板の間を、はにかんで歩くような、 体験がなくても、それを懐かしいと感じてしまう ような感覚が、引き出される・・・ 父のことを好きだった茉莉さんの心理がスンナリ 伝わってきて、ドイツを歩いていたであろう鴎外の 遥かな姿と相俟って、 少し おめでたい言い方かもしれないけれど、 「古きよき時代」のがっしりした父 というものの 姿を見た気がした。 単純に 父の 煙草の香りを思い出した。 ● 高峰秀子さんの 「母三人・父三人」 こういう境遇だったのか…と驚いた。 東海林太郎との不思議な親子(?)関係は、 まったく知らなかった。 というか、まず事実だけ 唖然と読んだ。 やはり高峰秀子さんは、人の気持ちを読み取りつつ、 演技の道を進んだのでしょうか。 養子にやったり戻ったり、昔は 今と違う意味で複雑だったのですね。 ● 中野利子さんの 「中野好夫のこと」 頑固一徹で、子供のことを構わない父親は、 無数にいたであろうけれど、 利子さんの見た 中野好夫は 面白かった。 ある日、ラジオ第二放送の文学講座で、父の声が 聞こえてきて、ある文学作品について中野氏が、 作品中の「父の気持ちのやるせなさ」を、流暢に 解説していた。 しかし利子さんは、思った。 同じ屋根の下にいる、自分の、 「子供たちのやるせなさ」 に 思いを馳せることもなく、 ラジオで偉そうに語っている 父の、 こんな人が語るものが「文学」ならば、 「文学」なんて 要らないと。 子供としての心理描写が ともかく面白かったのですが… 他に筆者は 柳澤桂子さん、沢村貞子さん、芥川比呂志さん、 萩原葉子さん(萩原朔太郎の娘)、大平千枝子さん(阿部次郎の娘) など。 ~~~~~~~~~~~~~~~~ 父のこと、母のこと を、 客観的に捉えるのは、 もう少し先のことかもしれないと、 若くもないのに、 私は思う。 思い出に 浸る時でもないから。 いや、それよりも、 自分が父で(父ではないが^_^;)、 母である、 その役割が現在進行形だから、でしょう。 その真っ最中には、分からなくても、 子供には、親の姿が、そのまんま、映っている。 「あの時は分からなかったけれど、こういう 気持ちだったのだろう…」 と、 子供は いずれ分析するだろう。 自分が、現在、そうであるように。 う~ん。。。 もし、やり直しというものが、あり得るなら、 生まれたばっかりの頃から、 もっと ちゃんとした親でありたかった・・・ もっと、ああしてあげたら よかった・・・ と、思うこと多々。 多々ですが、 まあ、いいか。 おかげさま。 おかげさま。 さまさま。 ―――――――――――――――――― 【本日の同音異義語の驚き(o^^o)】 損な読後感でした。いや、よかったです。 ―――――――――――――――――― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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