カテゴリ:●デザイン
ニコニコ生放送で、絵を描くのが好きな高校生に何度かアドバイスしたらイラストがとてもうまくなった。アニメやマンガの画風に毒されていない素直な絵を描く子なので、教えているこちら側も楽しいし勉強になる。今日は、その若き絵師にニコニコ・サイトの使い方を教えてもらい、お礼としてコミュに入ってあげた。ところでニコニコでは、自分のマイページに「サムネ」と呼ばれている小さなシンボルマークを貼る事ができる。「サムネ」という言葉の意味も知らずに、多くのニコニコ達が使っているのも面白い現象だ。誰が言い出したのかわからないが、何かオチこぼれのデザイナーが言い出しっぺのようにも思えて笑える。「サムネ」と言ったらGデザイナーが、アイデアを練る時に落書きのようにチョコチョコと描く小さな設計図みたいなもの。正式には「サムネイル」と言って、親指の爪のように小さい意味から出た言葉。自分の場合は、それをミニラフと言っていたが、ニコニコではサムネという言葉はカッコいい響きがあるようだ。
ニコニコのような若者文化では自分の姿が見えないこともあり、実力よりもカッコつけるのが普通らしくて笑える。ある意味、すごく甘い世界に漬かった住民が集まっているようだ。だが、中にはプロや実力者もけっこういて、話を聞いているとためになることもある。一昨日に、Mac使いの放送では、現在Macで仕事をしているDTPまたはWEBデザイナーのプロたちが集まり、専門用語が飛び交い面白い放送だった。主は30代後半だと思うが、仕事がきついからとデザイン関係を辞めた人だった。彼に限らず、実際にデザイナーになったら夢と現実の差に気が付く者も多いみたいだ。どんな職業でもそれはいえることなので、その職業だからというわけではなく本人の性格からくるものなのだろう。 PCが普及したため、昔のようにデザイナーになるための基本、カンプ絵が早く描けて、レタリングが書けて、企画も考えることができるといったディレクター志向のグラフィック・デザイナーが減ったのかもしれない。彼らの辞めた話しを聞くと、毎日終電で帰るので疲れたとか、人から命令されて嫌になったなどの理由らしい。でも、一番の理由は「自分はうまいんだ」というプライドがズタズタにされたのだからだと思う。人が憧れる職業というのは、何でも厳しいものだということを甘く見た結果なのだろう。だとしたら、今はプライドがズタズタにされた若者が多いということになる。原因としては、パソコンをただの道具として見るのではなく、いつまでも歩行器のようなパソコンに頼っているのが問題なのだろう。プロが使う高額なソフトを購入すれば同じように簡単にうまくできると勘違いしている若者がいるとしたら、男の場合だけれど早いうちにズタズタにしてあげたほうが将来のためには良いのかもしれない。それに、プロは時間との闘いなので、放送のように雑談しながら集中せずにのんびりと描くことなどできないのがあたりまえだ。 今のニコニコ絵師たちを見ていると同人誌系のイラスト、マンガ風なものが多く、描き手は自分の絵だと思っているのだろうが、ただの真似にしか見えない。これまで長い間、同人誌の先輩たちが作り出してきたカタチという記号をコピーしたただけにしか思えない。中にはひどい者もいて、顔・手・洋服のしわなどの画力がアンバランスで、いいとこ取りしたのがバレバレな絵まである。昨日、そういったPCを使ってお絵かきといったワンパターンな現状を嘆いて、美大を出た女性が油絵初心者講座を始めた。彼女の言葉を借りれば堕落した現状ということになる。この放送に来場した観客数は約130人。油絵などの昔からの画材に興味を持っている人が多いのが面白い。彼女いわく、「油絵はカッコいいよー!」。この言葉を信じて油彩や水彩を始める若者が増えることを期待している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 6, 2011 11:04:23 PM
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