カテゴリ:●読書
「恐竜はなぜ鳥に進化したのか─絶滅も進化も酸素濃度が決めた─」内容はサブタイトルそのままで、カンブリア紀から白亜紀までの酸素濃度の変化を示し、それにより生物の肺の構造の進化が語られている。とても面白い本で、文章もわかりやすいのでさらっと読むこともできる。でも自分の場合は、こういったサイエンス本は小説と違い、頭で理解しながら先を読むのでけっこう時間がかかる。現在の空気中の酸素濃度21%だが、地球の永い歴史を見ると酸素濃度が15%まで減少したカンブリア紀、逆にシルル紀・デボン紀では35%の高酸素の時代もあったようだ。 今まで恐竜の絶滅は色々な説が発表されている。ところが、酸素濃度の変化に対応できた肺構造の生物が恐竜だったと説いたものはなかった。ここがこの本の面白いポイント。「恐竜の中には鳥になったものもいる」これが今は定説になっていて、あのジュラシック・パークでもその説を元にしていた。でも「なぜ恐竜は鳥になったのか?」という疑問は残っていた。低酸素の時代に肺呼吸を効率的にできるよう鳥類に似た肺の前後に酸素を貯める気嚢を持っていたのではないかと言っている。鳥は吸い込んだ酸素はまず前気嚢にためて、それから肺に送り込み、後の気嚢に流すといったサイクルを行っている。だから肺の中には常に新鮮な酸素があるので、酸素濃度が低い高空を羽ばたいて飛べるという説明がされている。ところがこの本、「恐竜は~」とタイトルについているが、恐竜が栄えたジュラ紀・白亜紀の章は数十ページしかない。ページの大半はジュラ紀前の陸海生物の酸素摂取の構造についてのことだ。なんのことはない、原題の「Out of Thin Air(薄い大気のなかから)」では、本屋に置いてあっても読まれそうにないから「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」に変更したのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 15, 2011 05:30:44 AM
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