40光年先の赤色矮星を周回する地球と金星に似た系外惑星グリーゼ12b発見
この宇宙に我々の住む地球のような系外惑星がどの程度あるのかを探索する研究は、1990年代以降は、さまざまな検出方法によって行われてきた。その結果、系外惑星の発見数は、現在では5500個を超える。◎40光年先の赤色矮星を周回する惑星 では、地球に近い系外惑星は――このたび、日本とイギリスの2つの研究チームが5月23日、うお座の方向に地球から約40光年離れた小型の赤色矮星を周回する地球型系外惑星を見つけたと発表した。これまで見つかった系外惑星で最も地球と金星に似ている。 アメリカの天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レター』に発表された日本の自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの葛原昌幸特任助教と東大の福井暁彦特任助教らによるものと、イギリス王立天文学会月報に発表されたエディンバラ大とロンドン大キングスカレッジの博士課程生、ラリッサ・ペールソープ氏らによる論文だ。◎ハビタブルゾーン内側ギリギリか この惑星「グリーゼ12b」は主星「グリーゼ12」から、地球から太陽までの距離の0.07倍の距離を、12.8日で公転している(図=左の主星グリーゼ12と惑星グリーゼ12bの想像図)。 これほど主星に近いグリーゼ12bだが、主星のグリーゼ12が太陽の約27%の直径で表面温度が60%ほどの約3000度しかない赤色矮星のために、受ける熱量はさほど多くない。そのため、グリーゼ12bは、液体の水が天体表面に安定に存在できる「ハビタブルゾーン(生命居住可能圏)」の内側ギリギリに存在しているとみられる。◎地球よりは金星に似る ただそれでもグリーゼ12bは、地球よりは金星の方に似ている。直径も地球の0.958倍と一回り小さく、金星の大きさ(直径 1万2100キロ)とほぼ一致している(写真=グリーゼ12bと地球の大きさを比較。グリーゼ12bは大気の有無に応じて3種類の想像図で描かれている)。質量は、不確実性が大きいものの、ある程度は求められており地球の約4倍未満だ。 主星の温度は低いけれども、主星から受ける日射量は地球の日射量の約1.6倍もあり、金星と同程度となる。現在の金星は、惑星進化の結果として表面温度は約460℃の焦熱地獄となっているが、過去には安定的に水が存在した可能性が指摘されている。グリーゼ12bも、条件によっては現在も液体の水が存在する可能性が残されている。 今後、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による詳細観測や、将来の30メートル級地上望遠鏡による観測によって、この惑星がどのような大気を持つのか、水蒸気、酸素、二酸化炭素などの生命に関連のある成分が存在するのか、明らかになることが期待されている。昨年の今日の日記:「マダガスカル島固有動物の大半は、アフリカから海を渡って渡来;遺伝子データから3大仮説を検証して」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202306030000/