なぜ!? アンデスの6000メートル超の火山山頂に暮らしていたネズミ
北極、南極からヒマラヤまで、人類は哺乳類で他に類例を見ないほど全地球上に分布している。しかし、人類に近い同類は、いる。ネズミだ。◎人に必ず付いてきたネズミ 彼らは人が進出する所のどこにでも付いてきた。人類がポリネシアに進出すれば、そこに必ずネズミもいた。 西暦1250年頃、人類最後の未踏の地のニュージーランドに、マオリか祖先がたどり着いた時も、やはりネズミがチョロチョロと船から這い出て、ニュージーランドに上陸した。奴らは、マオリの祖先と共に、そこにいた大型走鳥類のモアを絶滅させた。人類は投げ槍で、ネズミは巣の卵を掠め取るという手口で。◎13匹のミイラ化したネズミと巣穴発見 それにしても、10月23日付のアメリカの科学誌『Current Biology』に報告され、一部メディアに報道された内容は、やはり驚きだ。米ネブラスカ大学リンカーン校などの研究チームが発表した。 南米アンデスの標高6000メートル以上の3つの火山の山頂(写真=3つの火山の1つのサリン火山の山頂)で、計13匹のネズミのミイラ化した遺骸が発見されたという報告である。 生きた個体こそ未発見だが、研究チームは、ネズミの巣穴も山頂近くで見つけている(写真=見つかったミイラの1つ)。 標高6000メートルと言えば、酸素は地表の4割程度しかない。熟練した登山家でなければ、人は酸素ボンベ無しでは行けないところだ。しかも山頂は、岩が剥き出しの荒れ地で、草も生えていない。夏でも、氷点下を上回ることは少ない。 なぜこんな所にネズミが?、と思ってしまう。◎数百年前山頂にやって来て、繁殖も 放射性炭素年代測定法によると、ミイラ化したネズミは新しいもので数十年前、最も古い場合で数百年前のものという。ネズミはオスとメスがほぼ同数で、同じ山頂から近縁な関係にある個体も見つかった。つまりこんな高山で繁殖しているのだ。 ただ、そこはやはり都会にいるドブネズミやクマネズミではない、標高の高い所に生息するキジリオオミミマウス(leaf-eared mice=最も標高の高い所に棲むキジリオオオミミマウス:写真)だ。もともと高度の高い所で生存するこのネズミの一部が、さらに高さを求めて火山の山頂まで登った。◎捕食者のいない天国なのか? 何のために、なのだろうか。1つ考えられるのは、火山山頂には捕食者がいないことだ。食物は、根気よく探せば高山性の昆虫はいるだろう。なら多少の餌不足の不自由を耐えても、捕食者からフリーな火山山頂は、それなりに住めたのかもしれない。 研究チームは現在、ネズミが極限的な高地で生き延びられる生理学的適応力について研究している。おそらく血中ヘモグロビンは、平地のネズミより酸素結合が高効率なものになっているだろう。昨年の今日の日記:「ヘルソン市にウクライナ防衛軍戻り、テロリスト政権(エストニア指定)の重罪犯徴募兵に残酷な私刑の暴露」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202211150000/