カテゴリ:リスボン生活
先日持っていた腕時計の電池が切れたので、替えてもらいに行った。
でも、ポルトガルで時計の電池って、どこで替えたらいいんだろう? とにかくセンターのバイシャに行って、時計屋さんがありそうな場所をうろうろしてみた。 ちょっと高級な時計屋っぽかったけど、一応入ってみたら、スーツをビシッと着た店員の男性がうやうやしく近づいてきて、「何かお探しですか?」と訪ねてきた。 「時計の電池を替えてもらえますか?」 「どちらのメーカーの時計ですか?」 「○○です。」 「恐れ入りますが、うちではそのメーカーは取り扱っておりませんので・・。」 というやり取り。それではどこか取り替えられるところを聞いても、知らないんだそう。こんなに古い昔からあるお店っぽいのに、他のお店のことは知らないんだ。。 こんなにうやうやしい感じ感じのお店を出た後、ふと通りかかった、通りの角にある、ものすごく小さな古びた時計屋があったので、入ってみた。中にはもうこの道何十年という感じのおじいさんと、その友人がカウンター越しにおしゃべりしている。本当に小さい、5平方メートルほどのお店で、ショーケースにあるのは、アンティークにも中途半端すぎてならないような、80年代風の古ぼけた時計や目覚まし時計。 「時計の電池を替えてもらえますか?」と訪ねたら、 「はいはい。」と言って、手を差し出してくれた。さきほどあんなに良さそうな時計屋でああいう対応だったので、ちょっと感動した。 おじいさんは、目に細かい作業用のレンズをつけて、時計を開く。少しずつゆっくりと外して取り替え始めたけど、中が意外と細かい時計ならしく、意外と時間がかかって、思うようにいかないらしい。そしたら一緒におしゃべりしていたお客さんだか友人だかが、 「あせらないで。僕がここのバンドの部分を持っていてあげるから。」と手伝っている。私もちょっと不安になってきてドキドキしたけど、何とか替えてもらえた! 途中であんまりゆっくりなので、入ってきてちょっと待ったけど出て行ってしまったお客さんもいた。でも、手伝っているほうの友人のおじいさんは、 「あーあ、あんなに焦って出て行かなくても。順番をゆっくり待たないとねぇ」みたいなことを言っている。なんだかお店の中だけ時間がゆっくりと流れている感覚になる。 そのあと、「この時計もちょっと大きいから、小さくしてもらえますか?」とお願いしたら、すぐに調節もしてくれるおじいさん。全部終えて、お値段を聞いたら、なんと、たったの5ユーロ! 安いのと、親切になんでもやってくれるのに、本当に嬉しくなってしまった。そして最後は、おじいさんも一緒に手伝ってくれたお友達も、ニッコリと挨拶。 リスボンというのは、本当にこれでもヨーロッパの一国の首都?ていうようなちょっと寂れた、まだまだ機能していないところとか、ボロボロの誰も住んでいないような建物があちこちにあったりもして、やっぱり外国人の私たちはいつも「もうちょっと何とかしたら、もっと魅力的な街になるのにねぇ。」とか色々言ってしまうけど、それと同時に、もう他の国ではありえないような、素朴で昔のままのお店などが、ありえないような街の一番中心の、一番人通りが多いような通りにあったりする。これからどんどん国際化もして、家賃などの法律も変わって、そして世代交代もして、古いお店は新しい店に入れ替わっていったりするのだろうけど、こういう素朴な心のふれあいがあるようなお店たちはずっと残っていて欲しいなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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