あれ?3巻の感想書いてませんでしたね。
忙しくてパスしてしまったのかしらん。
今回も面白かったです。
これ、出版業界の人とか、実際のマンガ家さんが読んだらあるあるが満載
なんでしょうね。
3巻、4巻の感想をまとめてざくっと。
これまでの感想はこちら。
3巻の試し読みはこちらから。
3巻のテーマは「新人作家をどう売り出すか?」だそうで。
新人作家たちを支えるのは編集部だけでなく、先輩作家、デザイナー、書店員と
たくさん。
心も新人さんの「原稿持ち込み」を待ちかねてます。
早く新人さんのデビューのお手伝いをしたいため先輩が新人作家にアドバイス
するのにも同席。
新人作家をよくみておけと言われ、心は新人さんを観察。
すると・・・原稿を読まれているときの態度に違いが・・・。
編集者の反応をしっかりと見ている人、質問に答えず雑誌を読み始める人
いきなり他社の悪口を言いだし携帯を弄りだす人・・・。
五百旗頭は多少マナーが悪くてもコミュニケーション能力に難があっても努力する
姿勢がみられればいいといいます。
作品さえ面白ければ。
でも、本気で上手くなりたいと思っている新人は原稿を読まれることが恥ずかしくても
緊張していてもしっかりと見てくると言います。
そして、そういうヤツは必ず伸びる。
綺麗な絵を描ける新人作家は山ほどいるし、デビューして10年は才能だけで食って
いけるがそこから先はどれだけ成長できるかの人間力。
新しい絵はいずれ古くなるから必要なのは「物語」を作る力で想像力だと。
「物語を作れる新人は貴重」だという五百旗頭。
心にも新人さんの持ち込み原稿をみる機会がやってきますが、作風が雑誌と合わず
他社を紹介したらそちらでヒットしたりとなかなか上手くいかず。。
そんな心も新人さんを担当することになり・・・
同人雑誌からプロを目指すことにした東江は絵はとても上手いものの、ネームが
堂々巡りをしてしまい、今ひとつ。
心もアドバイスを入れながら大事に育てていこうとしますが、東江の絵の上手さに
目を付けた安井が原作付きの作品ならすぐにデビューできるとネームでモタツキ
焦りを覚えてる東江を横から奪ってしまいます。
作家さんが選択したことなら仕方がないと心は引きさがりますが、この安井という
のが「新人作家潰し」と言われているらしく・・・
心は東江のことが心配に。
何度もネームを修正され心が折れてしまうのもわかるのですが、そこで踏ん張れる
か、楽な道を選んでしまうかでその後が違ってしまうんだなと痛感・・・。
とはいえ、漫画家さんなんて先が見える仕事ではなく、誰もが希望すれば人気作家
になれるわけでもなく、不安が付きまとうのはわかりますよね。
ほんの一握りの人だけが頂点を極めることができる世界なのだと思いますし、そこ
に至るにはやはり、努力があったからこそなんでしょうね。
もう一人、心は中田の担当にもなるのですが、こちらは作画はまるでダメどころか
素人以下の下手クソで、とても人様にみせられるレベルにはないのにネームは
何やら強烈に惹かれるものを感じるという。。
雑誌に掲載するには編集部内でも賛否分かれますが、結局掲載に。
っと、中田はそれまで自分の絵は個性的なだけだと思っていたのに、他の作家さん
と一緒に雑誌に掲載されたことで、自分は下手なんだと気付きます。
あの絵で下手だと思ってなかったなんてすごいw
そこで中田はアシスタントに入ってマンガの描き方を勉強することに。
彼の場合はネームで悩んだことなどなく、頭の中に流れる映像を描いていくだけの
ようです。
これが才能ってものなんでしょうね。
マンガは確かに絵は綺麗な方がいいと思いますが、やはりストーリーだと思います。
綺麗なだけではすぐに退屈してしまうのですよね。
それに対し、ネームが面白いければ多少絵は酷くてもそのうち気にならなくなって
しまうものなんですよね。
ONEさんの「ワンパンマン」とかまさにそんな感じ。
3巻では他に新人作家さんが初めて単行本を出すって話もあって、表紙の作り方とか
なるほど~っと思うことが多くて面白かったです。
そして、4巻は新人作家、東江と中田の話の続き。
4巻も内容が濃くて面白かったのですが、これはちょっと読んでいて辛かった
ですね。
才能があるが故に嫉妬されたり、夢を叶えるために必死になる新人さん。
安井に振り回されて、東江は自分が本当に描きたいものが描けないという
ジレンマを感じますが、それでも寝る時間を削ってでも締切に間に合わせよう
と必死に描き続けます・・・
精神的に追い詰められ、食事は喉を通らず、ストレスから吐くことも。。
「夢を叶えるってこんなに辛いんだ」という東江が読んでいて痛々しい(><)
漫画家さんなら通ったことのある道なんでしょうか。
他の作品を読んでも締切前の作家さんたちの疲労ぶりはまさに命削ってる
ようですもんね。
心に相談することでなんとか踏ん張れることができた東江は原稿を間に合わ
せることができ本当によかったです。
だけど、これからもこういうことって何度もあるのでしょうね。
創作に携わってる方はこういう苦しみを乗り越えて作品を世に送り出している
のだと思うとホントありがとうございますと拝みたくなります。
東江の担当の安井も元は熱い編集者だったようで、どうして今のようになって
しまったのかの過去話も読み応えありました。
安井は最初からあんな商業的な編集さんじゃなかったんですね。
自分が愛した雑誌が廃刊になって、自分が一生懸命に担当させてもらってた
作家さんに裏切りだと言われて・・・
家族を顧みなかったツケまで一気にやってきて・・・
そりゃ、俺の人生何なんだ・・・って思ってしまうわと。
社会人やってたらこういう理不尽な目に遭うこともあるだろうけど、自分の
大切なものと仕事とのバランスの取り方って難しいですよね。
それに安井のようにしっかり商業ベースに乗せられる仕事をするっていうのは
評価されるべきところでもありますし。
夢ばかり語っていても現実は厳しいですから。
ただ、その人の問題ではあるけれど、仕事をする以上はやっぱりどこかに
感動があるといいなと私は思いますね。
どうせしなくてはならない仕事ならできるだけ気持ち良くやれたらと。
今の安井さんはつまらなさそうですもんね。
安井さんも以前のように自分の仕事に情熱を持てるようになれますように。
そして、中田の強烈な才能に嫉妬する先輩アシスタント沼田の話も凄かった。
中田のネームを盗み読みした沼田は、その圧倒的なネームに思わず作品の
中に引きづり込まれてしまい・・・
気が付けばネームノートにインクをぶちまけていたという。。
殺したいほど中田の才能を妬ましく思う沼田。
でも、それを先生にみられ、自分の醜い感情と向き合うことになり心の奥底に
あった本当の弱い自分の気持ちに気づくことに。
自分の進退を決めかねているとき、中田に昔のネームを読まれた沼田。
笑われると思っていたのになんと中田は「これスゴイ」と泣きだして・・・
沼田が本当に描きたかったけれど当時の担当には理解してもらえず諦めて
しまったところを沼田はちゃんと読み取ってくれたんですね。
中田の才能をまざまざと見せつけられ、またどうしてもっと自分は中田のように
がむしゃらに頑張ることができなかったのだろうかと後悔する沼田。
このことによって、沼田はマンガ家への道を諦め実家に戻る決心をします。
自分の気持ちに真正面から向き合う沼田の苦悩が丁寧に描かれていて
これまた読み応え十分。
じわじわっときますよね。
これは華やかさには欠けますが、渋味が効いていておススメの作品です。