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カテゴリ:青年誌コミックス感想
中学受験がメインの進学塾のお話ですが、某大手予備校で進路指導を十数年して
いた私としては非常に興味深く読んでます。 ドラマ化しそうな話ですよね。 【内容情報】(出版社より) 中学受験界に現れた最強最悪の絶対合格講師 2020年の大学受験改革を目前に、激変する中学受験界に現れたのは 生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人! 受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、 もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を 圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作! 【編集担当からのおすすめ情報】 2020年の大学受験改革(センター試験廃止・大学入試共通テスト新設)。 高校からは受験できない中高一貫校の増加など、これまでの常識が通用しなく なっている激動の受験界。 いまや首都圏では4人に1人が中学受験に参加する現在において、 中学受験とはどんな仕組みなのか、そして勝利を勝ち取る戦略とは? 中学受験塾を舞台に、講師と生徒、保護者の、合格を勝ち取る闘いを 強烈なキャラクターと圧倒的なリアリティで描く、 時代の要請に応える作品です。 確かに塾は教育の場ではなくサービス業なんですよね。 教育産業であり、営利目的。 黒木が言うことは全て納得出来ますわ。 塾であるなら当然のことをしているまでだし、言ってるまで。 しかも指導法も悪くないし、保護者対応は完璧と言ってもいいくらい。 営利目的だけど、その営利を得るためには顧客を満足させなくては成り立たない わけだから、何もむしり取ろうとか、騙そうとかしてるのではなく、結果を出す ために最善の方法と選択をしているのだからむしろ頑張っていると言えます。 人情的にどうかと思うことはあっても、黒木のやっていることは進学塾に通わせて る首都圏の家庭のニーズに応じた満足を引き出すための対応であり、そのために あらゆる準備と下調べもしているのだから目先の感情論より説得力がありますよ。 ただし私は黒木ほど割り切れず、また徹底もできなくて、やっぱり人情が勝って しまったものだから大手を退職したわけですが(^^; 今も教育関連の仕事をしていて、現在は基礎学力の底上げによって勉強ができる ようになることで自己肯定感と達成感を得られることを目標に仕事をしてますが ベースには大手に勤めていた頃のやり方を使ってますね。 ま、何だかんだ言っても新しい入試制度に対応できる学力というのは基礎学力が これまで同様に絶対的に必要なことは変わらず、後は、塾で対応できることも もちろんありますが、3歳までの親の働き掛けがより重要になってくることは 間違いないですね。 別に親である必要はありませんが、子供の好奇心と知識欲を満たすことのできる 環境を出来るだけ小さいうちから作っておくということです。 魔の二歳児と言われる「なぜなぜ攻撃」を面倒だとか、鬱陶しいと思って適当に あしらい、相手をせずにおくと折角の知的好奇心の芽を摘み、後々もっと面倒な ことになるのですわ。 子供が賢くなるためのサインを出して来た時、見逃さずに大変だけど一々応えて おくと、学習することに意欲的な子に育ちますし、親が自分の欲求を満足させて くれたことで自己肯定感も生まれてあまり手の掛らない子に育ちやすいです。 また、与えるだけでなく「どうしてそう思うの?」「なぜそう考えたの?」と 言葉掛けをして自分の言葉で意見を言うよう促すと思考力が育ちます。 失敗した時や上手く行かなかった時に「じゃぁどうすれば良かったと思う?」とか 「次はどうしたらいいと思う?」と声かけをすると対応力や判断力がつきます。 もちろん絶対ではありませんが、多くの刺激を受け考えることをしてきた子は 脳が鍛えられているので新しい入試で求められる力を備えることができるのです。 就学前に足し算や引き算が出来るというようなことはあまり大したことではない のですが、目先のことに捕らわれたり学歴が高い親御さんほど勘違いた早期教育 に精を出してしまいがちですよね。 そして新しい入試改革に対応出来ない子育てをしてしまいそう・・・ 本質を捉える力を育てることがこれからは特に必要になると思われます。 感想から内容が逸れてしまいましたが、黒木が言ってたジャイアントキリングの 三人はやっぱりねって思いました。 二人は分かりやすいですが、鉄オタくんもヒントはありましたもんね。 考え方というか、捉え方の問題で。 黒木は経営という面からみるとドライではありますが、生徒への指導という面から みるとかなりハイレベルだと思います。 生徒のモチベーションの上げ方をみても多角的な視野を持っていないと気づけない ところまで踏み込んでますし、一人一人を本当によく見てると思います。 これってかなりの労力がいるのですよね。 仕事と割りきれば出来るとはいえ、簡単なことではありません。 偏差値を40→50にあげる方法は私も使ってますし、この辺は割りとすぐに結果に 繋がるんですよね。 結果がでなかった王羅くんも、勉強に関心がない、もしくは基礎的な計算の方法 すら理解できていないからだと思ったらだいたいそんな感じでしたね。 そもそも問題を解こうとする意欲がなければ好転はしませんからね。 目的が違う人が集団指導にいては問題が起きるのも当然でしょう。 彼自身のためにも個別の選択はありでしょう。 黒木は営利目的で動いてるように見えて実はかなり子供に寄り添ってると思うの ですよね。 子供に対し、いい言葉掛けをしてますよね。 タイミングも素晴らしいし。 上杉兄にも柴田さんにも絶妙な声かけですわ。 例えそれが成績上位者を増やしたいだけだけの下心からだったとしても、親にも 子供本人にも塾にも良い結果をもたらすのなら3winですからね。 彼の提案は一々最もだと感心。 親との面談も作戦会議という言葉のチョイスによって子供にも親にもポジティブ 思考を促しますよね。 こんな黒木ですが、謎が多いのも気になるところ。 彼の本当の姿に非常に興味があります。 彼は風俗街に出入りしてるようですが、恵まれた環境ではない子供に関わること っぽいですよね。 彼の出自にも関係してるのかなーとも思ったり。 割りきって稼ぐ目的もそこにあるんじゃないでしょうかね。 それとは別で関わっている子供の件も気になりますね。 彼は何を抱えているのでしょうね。 佐倉も頑張ってますし、今後の展開が楽しみです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2019年10月10日 00時06分51秒
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