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テーマ:アメリカで子育て!(14)
カテゴリ:家族
あさって日曜日は、アメリカではグランドペアレンツデイにあたります。日本で言うと敬老の日に近いといった感じでしょうか。
毎年、学校では、この日のために祖父母を招いて、PTA主催の大掛かりな行事があります。テキサスに越す前、マサチューセッツでは無かった学校行事です。ここに越して半月もしない間に夫の母は亡くなり、この年子どもたちは初めてのグランドペアレンツデイを迎えました。しかし、グランマーの死を小さいながらに受け止めていた繊細で4歳になったばかりの子どもに、その日はあまりに辛く悲しい日になることは間違いありません。私は、理由を話してその日、プレスクールを休ませた記憶があります。先生もとても理解があり、「ぜひそうしてください」と言って下さいました。 しかし、義務教育では、そのような理由で休ませてはいけないと厳しく言われ、毎年しぶしぶ私たちが行くことで祖父母の代わりをしています(小学校の場合)。年々増える祖父母の参加数には、全く驚くばかりで、この行事が無くなる気配はありません。逆に規模が大きくなるっているほどです。 幼稚園に入った末っ子は、まだ泣いてしまう日が多く、この日は私にも辛い日になることは簡単に予想できました。アメリカに来て20年近くになるこれまで、私は殆ど他人を頼ったことはありません。しかし、今年は末っ子が大好きだったプレスクールの先生に思い切って電話をしてみることにしたのです。それは 卒園式の先生の涙と一年間親子ともに感じた厚い愛情が忘れられなかったからです。卒園したあともカードが届き「いつでも何かできることがあったら連絡してね。」と添えられていました。人に頼るということに関しては、気兼ねしたり、相手の気持を想像しすぎたりする私にとって、とても難しいことで人生の課題のひとつです。それでも、今回は末っ子のためにと、決心して、受話器を握りました。 「なんて光栄なことでしょう。ぜひ行かせていただくわ。」と快い返事が聞こえました。 そして今日。子どもたちの手を握った祖父母たちが次々とドアを開けて入ってきます。そこに ミスキャシーの顔が。さっそく幼稚園の教室に入り、末っ子の隣りに座って、「今日は私がグランマーね」と大きくハグ。決まり悪そうなゆがんだ笑顔の末っ子でしたが、とてもうれしそうに過ごしていました。さすがにプロのミスキャシーは グランドペアレンツにちなんだ本を 手を上げてボランティア、音読です。他の子どもたちともいろいろ話をしたりしていらっしゃいました。 どうやらプレスクールでプーとイーオアの話を良くしていたらしく、末っ子にイーオアのぬいぐるみをプレゼント。「Eeyoreは悲しそうな目をしてるけど、泣いてないでしょ?泣きたくなったら No bother.ってイーオアみたいに言えば良いのよ。」と膝の上に座らせてお話して下さいました。そして 新しいクレヨンセットもプレゼント。末っ子は、半泣きになりましたが、きっとどうして良いのかわからなかったのでしょう。日本の私の両親には、2年か1年に1度しか会えず、夫の母は生後1ヶ月で亡くなっているのですから、末っ子は、アメリカのグランマーというものを知らないのです。 こういった行事は、とてもよい事だとは思います。しかし、クラスの3分の1近い子どもが祖父母の訪問が無いまま淋しく座っていましたし、誰かが来ている人たちも良く聞いてみると、近所の人であったり、両親の親しい友人であったりと、実は祖父母では無い人も多かったのです。子供心に、まわりを見渡し祖父母の笑顔に囲まれている子供を見ると、「どうして僕や私には誰も来ていないの。」ととても悲しい気持になるのは間違いありません。実際、泣いている子供もいました。 私はPTAにも校長にも毎年、この行事を中止して欲しいと願い出ています。しかし、「あなたの家庭だけじゃありませんよ。他にも誰も来ない子供は多いのです。あなたがいらっしゃれば良いじゃありませんか。」と冷たい返事が続きます。教室では、「僕、私はグランマーグランパーが大好き、それは・・・」というテーマで絵を描かせていました。祖父母がいない子供は居ないというのが前提なのでしょう。今年はミスキャシーの好意で、末っ子には素晴らしいグランマーが現れましたが、大勢の誰も来なかった子供たちのことを思うと胸が痛みます。 みなさんの学校でも グランドペアレンツデイは盛大に行われますか? ミスキャシーは、我々に末っ子の「祖父母」の代役になってあげると言ってくださいます。彼女たちのお嬢さんたちは少し遠くに暮らしていて、なかなか孫にも会えないのだから、私の末っ子をいろんなところに連れて行ってあげたり、お家に来て遊ばせてあげたいと 話してくださいます。思い切って電話をして良かったと思ったと同時に、素晴らしい女性と出合ったことに感謝する気持ちでいっぱいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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