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カテゴリ:だんな閑話
さて、そんなだんながたまの休みの日というのに、久しぶりに私を食事に連れて行ってくれることになった。 新しいレストランを試すのはいつだってドキドキ、ちょっとしたスリルがある。なぜかと言うと私達が、あまり人の言うことを信用しないからだ。だいたい、新しいレストランが開くと大抵ローカルレストラン評論家などが大絶賛するかマーケティングが上手いレストランのどちらかで、そういう意見やマーケティングを鵜呑みにしただけの知人が私達に勧めることのなんと多いことか。 だから、私達は誰が何と言おうと「おいしいか、そうでないかは自分の舌で確かめる」と決めているので、どのレストランに行っても「イチカバチ」なわけである。そして、悲しい事にデンバーには私達が思う「アタリ」なお店が本当に少ないので、年々私達が何回も行きたい、と思わせてくれるレストランが減りつつもある。そして私はだんなが「ケビンテーラー」で働いてしまったがために私の口(体も)までもが肥えてしまったと、全責任を押し付けることにしている。 さて、私達は「1515」という未知なるレストランへとやって来た。ラウンジが一階で、レストランは2階になっていたので、最初お店に入った瞬間、クラブにでも間違えて入ってしまったのかと思った。(そう感じた自分の年を再認識せずにいられなかった。。。)ホストのお姉さんが私達を2階のレストランに案内してくれて、ちょっとホッとした。店内は落ち着いた感じのする、おしゃれな内装になっていたし、ナイフやフォークがしっかりとしたもので、メーカーの名前が1つずつに書かれていたし、ワインリストは豊富で、メニューもさっと見ただけだったが、まぁまぁ、かな、と思えたからだ。ウェイトレスのお姉さんも丁寧で、質問にきちんと答えられる人だったし、とりあえず私もだんなもマティーニとアペタイザーを何品か頼むことにした。 まずは魚介類のアペタイザーから始まって, まぐろのタルタル、そして帆立貝のソテーを頼んだ。 最初の2品で、だんながお店に行く前に口にした「あんまり期待しすぎちゃいけないよ」が私の頭の中でグルグルと回り始めていた。気を取り直して私達はさらにもう2品アペタイザーから、今度は肉類の「和牛ビーフ石焼き風」と「フォアグラ」を頼んだ。この2品は「おぉぉっ!!!」と思わせてくれた、なかなかの品だったので、だんなも私も少し機嫌が良くなり、会話も弾み、やっとデートらしく(?)なってきたのだった。 さて、本当はメインコースを頼むはずだったのだが、二人ともお腹が一杯になり始めていた。そんな時私達は、よくアペタイザー食べ三昧で終わる時がある。そう、今回も私達はあともう2品アペタイザーから何か頼めばお腹一杯になり満足できるだろう、とアペタイザーだけで終わることにした。私は「お肉のカパッチョ」彼は「チーズ各種」を頼み、それに合ったワインも一緒に頼んだ。ワインが先に届き、私達も楽しく一時を過ごしていた。 あの、「チーズ各種」が運ばれるまでは。。。。 私達のウエイトレスではなく、たまたま、違うウエイターが最後の2品を運んできてくれた。そして、静々と「お肉のカパッチョでございます。」と私のテーブルに置き、「チーズ各種でございます。」と彼のテーブルに置き、そのウェイターさんはお気遣いよろしく、その「チーズ各種」の名前をそれぞれ教えてくださっていたのだ。 そして、そこまでは誰が見たって、ごく普通に行われるウェイターとお客さんの自然な状況だったのだ。 ところが。。。。 ウェイターさんが1つのチーズを指し、「これがマンチェゴチーズでございます。」と言うや否や、我がだんながそのウェイターの目をしっかり見つめ、
(この瞬間の空気を私の稚文から皆様に読んでいただくことができるでしょうか。) そのウェイターさん、少したじろぎながらも その様子を私は必死に笑いをかみ殺しながら見届けていた。 どれ位の時間が経ったであろう、やっとの思いで(?)その場を離れることができたウェイターさんはさぞかしホッとしただろうな、と思う。 彼がさらに真面目に「だって、間違ったことをお客さんに言うのはよくないよ」と真剣に言えば言うほど私はおかしくなって、笑い続けながら彼にわかるように答えてみた。 「確かにそうだけど、間違いを認めさせた上、どこが間違ってるのか証明してみせて、そしてそれを延々と説明し続けるお客っていうのもなかなかいないものよ。」と。 彼はやっと自分が(働いてもいない)レストランで(しかもデート中)何をしでかしたのか、わかったようだった。 皆さんにご想像がつくだろうか? 何も知らない、と思っていたお客さんにいきなり「チーズのワックスの切り口を指差されて」「この線が見えるかい?」なんて聞かれちゃうことなんて。。。 帰り道、彼はずっと「料理のことになるとつい。。。」と照れ笑いしていた。そして、そんなクソがついてもおかしくないくらい真面目なだんなだから、私は彼の、料理に対する姿勢を尊敬することができ、その真面目さに憧れのようなものさえ抱いてしまうのだろう。。。(って、結局はまたノロケ話だったわけです。ちゃんちゃん。)
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