テーマ:福祉医療関係(1061)
カテゴリ:◇掲載[看護技術]
「お迎えが来ないかしら」 「旦那も友達もみんな先に逝ってしまった」
病状の回復は得られても、こころは沈んだまま そして想いを伺ってゆくと 「うちのお墓って良い場所にあるのよ」
海が見渡せる丘の上、そばには立派に成長した桜の木 「友達のお墓も私が手入れをしていたの」
誇らしげな表情が見えたと想ったら 顔色が急に変わった
「帰らなきゃ!雪が積もる前に手入れをしないと大変」
少し遅れましたが、、、、11月号の掲載分です。
唐突かもしれませんが、 「死にたいの…」 と、誰かから直接と打ち明けられたことってありますか?
今月号に紹介させてもらったのは、 一人暮らしをされている70代の肝臓がんの女性患者さんです。 外科的に切除したのと同じような効果を得られる ラジオ波という治療に意欲的というのかな、そのような印象がありました。 しかし、退院日が決まったころから様子が変化した中で打ち明けられたのが 冒頭の死に対する言葉でした。
当初は目的だった治療の完了によって、 これから先の目的は…? それまでの重要なこと(この場合は肝臓がんの治療)の一区切りで、 占めていたものが無くなったからかもしれません。
”生まれたスペース”
これまで目標としていた場所に到達できたけど、 その先が見えない状態。
もしかしたら進む先が見えないので、それはまるで走っていた道路の先が切れ、 先は崖のように映るのかもしれません。 もしそんな状態だったとしたら、
「治療が成功して良かったですね!」 「来週には退院できますよ」
嬉しいはずなのに、人によっては、 いま走っている道から、見えない先に押し出される状態に感じるのかも。
病気の治療に生きてゆく目的を見出し、 その先のことまで考えれていなかったとしたら 生まれたスペースに何を入れたら良いのか分かりにくくなり 不安定にもなりやすいのかもしれません。
治療の成功も、退院が可能な身体状態になるのも喜ばしいこと。 そして、それ以外のところにも目を向けるのが看てゆく上で わたしたちには大切なんじゃないかと思うんです。
「Drのように医療知識も身に付けるのは大切だけど、それだけじゃダメ」 「患者さんの生活を設計すること、それが出来るのが看護師」 昔お世話になった師長の口癖です。
”生活”
病院での生活のみならず、 私たちは、病院以外での生活も、そのための心の状態も その人にまつわる全体を視野に入れることが大切と受け取ったんです。
退院後も、患者さんが自分らしく生きてゆけるように…
病気によっては、 これまでのライフスタイルの変更もありえるでしょうし、 また、今までのことを見直すことにもなるのかもしれません。
死にたいと告げられる気持ち 「○○さん、死にたいと想っていたんだね…」 そこに寄り添いつつ、 教えてくれた今も、患者さんは生きていることにも意識を向ける。
そして、 この患者さんの話に戻ると、 わたしには、死を語るところに何か幸せを見出してる気がして、 この時は逝ったらどうなるのかも、聞かせてもらいました。
お墓の話から、そのお墓のある場所がとても素敵なことを語られ、 素敵と想う中に色んな要素がありました。 友達がそこにいること、だんなさんがこだわって選んだ墓石etc すばらしさを語るうちにご自身がそのお墓を大切に守っていたことに気づかれ、 新しい目的を見出されたんです。
”人は、自分らしく生きてゆくことができる” ”生きてゆく上で、その支えとなる思いや目的があり続けることが大切” ”そして、今も、これからの人生も、支えるものをすでに持っている”
次号、12月号はいよいよ連載のラストになります。 連載が決まった当初から決めていたクリスマスにまつわるエピソード、 どうぞお楽しみに。 ◆無料体験コーチングセッション(年内100人達成を目指しています)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.11.12 04:01:53
[◇掲載[看護技術]] カテゴリの最新記事
|
|