戦場のメリークリスマス
これもアカデミー賞関連でOAされていたので何年ぶりですかね?久々に見ました。劇場の公開後しばらくして、YMOと教授(坂本龍一)の大ファンの予備校友達に連れられて、予備校の講義を抜けて札幌に当時あった500円シアターで見た記憶があります。まだ10代の私たちには、結構衝撃的な作品でした。戦場のメリークリスマス Merry Christmas, Mr. Lawrence(1983年日・英・豪・NZ)監督:大島渚脚本:大島渚、ポール・メイヤーズバーグ あらすじ 1942年、日本統治下にあるジャワ島レバクセンバタの日本軍俘虜収容所で、朝鮮人軍属カネモト(ジョニー大倉)がオランダの男性兵デ・ヨンを犯す。日本語を解する俘虜の英軍中佐ロレンス(トム・コンティ)とともに事件処理にあたったのは、粗暴な軍曹ハラ(ビートたけし)。ハラの上司で所長の陸軍大尉ヨノイ(坂本龍一)は、歴戦の勇士(空挺コマンド・SASの前身)で俘虜の、英国陸軍少佐ジャック・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)を預かる事になり、その反抗的な態度に悩まされながらも彼に魅せられてゆく。同時にカネモトとデ・ヨンの事件処理と俘虜達の情報を巡り、プライドに拘る英軍大佐の俘虜長ヒックスリー(ジャック・トンプソン)と衝突する。ある日、ヨノイの稽古場にハラが現れ、気合の鋭さに浮虜が怯えているためロレンスが面会を申し入れていると告げる。そんなロレンスに、ヨノイは唐突に、自分は二・二六事件の3ヵ月前満州に左遷されたため決起に参加できず、死に遅れたのだと語った。そして、その場でカネモトの処刑をいい渡した。処刑場にはヒックスリー以下、俘虜側の上級将校も強制的に立ち会わされ、ハラがカネモトの首を切り落とした瞬間、デ・ヨンが舌を噛みきった。この出来事に対する俘虜の態度に激昂したヨノイは、収容所の全員に48時間の謹慎と断食の〈行〉を命じる。無線機を持ちこんでいたという理由でロレンスとセリアズは独房入り。壁越しに話をする2人。ロレンスは、たった2度しか会わなかった女性の思い出の中へ、セリアズは、耳許に内向的だった弟の歌声を聞く。その後、酒で上気し「ろーれんすさん。ふあーぜる・くり~すます」と笑いかけるハラが2人に収容所に帰ってよいといい渡す。ある日命令に反抗ヒックスリーに 激怒したヨノイは、「斬る」と軍刀を抜いた。そのとき、浮虜の群からセリアズが優雅に歩み出、両手でヨノイの腕をつかむと、彼の頬に唇を当てた。後ろに崩れ落ちるヨノイ。ヨノイは更迭され、新任のゴンドウ大尉が着任した。閲兵場の中央に深い穴が堀られ、セリアズが首だけ出して生き埋めにさせられる。ある夜、月光の中からヨノイが現れ、無残な形相となったセリアズの金髪を一房切り落とし、どこへともなく立ち去った。時は流れ、1946年、戦犯を拘置している刑務所にロレンスがやってくる。処刑を翌日に控えたハラに面会にきたのだ。ロレンスは、ヨノイから日本の神社に捧げてくれとセリアズの遺髪を託されたことを告げる。クリスマスの日の思い出を語り合う二人。やがてロレンスは出口へ向かう。振り向いたロレンスの眼前に「めりい・くりすます。みすたあろーれんす」と告げるハラの笑顔があった。 あまり多く語らずに、象徴的なシーンも多くて戦争とか宗教とか、道徳的なこと、組織の上下、いろんな要素が絡んで子供だった私にはちょっと難しい面も多かった。でも、学生時代洋楽も聞いていた私にとってデヴィッド・ボウイが演技する、ということの興味が勝っていました。それに、今のようにお笑い芸人が演技する、ということがほとんど無かった頃でツービートのビートたけしが演技???というのもあって、とにかくメンツがものすごく新鮮だった。他にもキャストには、内田裕也、三上博史、室田日出男、内藤剛志などなど今はわかるけど当時はあまりわからなかった役者さんもたくさん出てます。wikiによれば、原作は、南アフリカ出身の ボーア人(イギリス国籍)、軍人、探検家、農園主、イギリス政府・王室顧問であり、精神分析家カール・G ・ユングの友人を自称し、チャールズ皇太子の心の師でもあった小説家、ローレンス・ヴァン・デル・ポストの「影の獄にて」に収録された2作品、"影さす牢格子""種子と蒔く者"に基づいているということです。その状況から、第二次世界大戦をテーマにした戦争映画ではありますが言われてみれば戦闘シーンはぜんぜんないんですね。それに、出演者はすべて男性というコトは当時も話題になったと思います。そのことが、戦争のどっかんどっかん、的な描写や恋愛とか人生が絡む単純な人間ドラマ、に留まらない要素だったのかも。改めて、映画の解説をいろいろ見てみるとその根底にある日本独特の「武士道」「神道・仏教観」や「皇道派、二・二六事件」、英国人・欧米人にある「エリート意識・階級意識」「信仰心」「誇り」「死と隣り合わせのノスタルジア」などがより尊く描かれ、また、それを超えた友情の存在と相克がクライマックスにまで盛り上げられていく。一方で、ハラ軍曹らに見られる日本軍の朝鮮人軍属や俘虜に対する不当な扱いや、英国などにおける障害者への蔑視行為、パブリックスクール(寄宿制名門校)における いじめ など、闇歴史の描写も容赦なく描いている・・・といったことも書かれていて、確かにその辺を感じながら見ていましたが改めて解説されると、そういうことだったのか・・・という部分もありますね。セリアズの回想で弟のことが出てきて、私には抽象的でわかりにくい部分でしたが、いろいろ根底には描きたかったものだっただろうと・・・背景の歴史とか、今はタブーとされる差別や侮蔑など要素はたくさんあるように思います。とにかく、キャストの斬新さとか、耳に残る美しいテーマ曲とか・・・最初に見た頃のこともいろいろ思い出すし、なんかおかしいかもしれませんが、懐かしさを感じてしまう映画なんです。 # ピアノ・ピース 坂本龍一 Merry Christmas Mr.Lawrence ~戦場のメリークリスマス~|PIANO SOL【楽譜】大島渚監督作!SALE OFF!新品北米版DVD!戦場のメリークリスマス(Criterion盤)!そういや、坂本龍一の顔がドアップの、当時のサントラLP。一緒に見に行った友達がYMOと教授の大ファンということで当然持っていて、貸してもらったよなあ・・・ちなみに、メインタイトルのピアノスコアを私も持っていますが、結構難しいです・・・キレイな曲なんですけどね~