二月の雪
2月の雪はキライ…寒いからじゃない。胸の奥が痛いから。遠い遠い昔の昔。ルーちは故郷・新宿をはなれ、おばちゃんと二人で練馬に向かった。友達や先生…家族以外の生まれてから見てきたもの全てと引き離される。7才のルーちにとってあの引っ越しはとってもつらかった。覚悟はしていたはずだけど、涙が止まらない。クロッカスの水栽培…それだけをしっかり抱えてタクシーの中、ずっとすすり上げていた。練馬に付くと心だけじゃない、体まで凍りそうな真っ白の雪。母さん達も母さん達が乗っている荷物のトラックもまだ来ない。おばちゃんと私とクロッカスだけ。その内おばちゃんもどこかにいった…多分忙しく他の部屋で何かしていたのだろう。ルーちは一人でおばちゃんの羽織をひっかぶって丸まって泣き続けた。知っている人の誰一人いない地で、物もない、人もない、暖もない部屋でたった一人になったような悲しさと心細さ。外の雪が白い矢のように心に刺さり続ける…2月の雪はずっとその光景を目の前に描き出す。 ポチッとな ( ^ー°)b