カテゴリ:よりよく生きること
小学校高学年の時、いじめにあった。
体格がよくて、のろまだったからだ。 その時はけっこう辛くて、いつも泣いていた。 いつの間にかそのいじめが止んでしばらく経った時のこと。 NHK教育の道徳の番組をクラスで視聴して、 感想を発表する時間があった。 その回のテーマは「いじめ」。 ドラマ仕立てで、あなたならどうする?と問いかけるもの。 発表の番が回ってきて私が言ったことは、 「いじめられている子は、もっとはっきり嫌だと言えば良かったのに。」 それを聞いた担任の先生 ―彼女は私が以前いじめられていたことを知っていた―は、 「あなたは前にいじめられていたのに、本当にそう思うの?」 と静かに言った。 ああそうなのだ。人は忘れる。 どんなに辛かったことでも、時間が経てば忘れるのだ。 先生のことばにハッとした私は、それ以上何も言えなかった。 苦しみの渦中にいる時は 一刻も早くここから抜け出したいと思うのに、 いざ抜け出してしまうと、同じような立場の人のことを思いやれずに、 心ないことを平気で言う。 そう考えると、痛みを覚えているうちが 一番優しくなっているのかも知れない。 そう考えると、痛い経験も悪くない。 (2011年11月10日 みなとみらいにて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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