フランスでの剣道
今日はフランスでの剣道の話。はっきり言って、防具は重い。空港で荷物を預ける時に重量を見たが、約10kg。んまあ。フランスの友人に先に送っておくことも考えたが、紛失その他の事故を考えたので却下。また、恩師の「剣道家たるもの、自分の防具くらいは自分で常に持て」とのお教えを受けて育ったので、そう易々と他人の手に渡すわけにも行かない。家内からは、アンビリーバボーと言われながらも何とかフランスまで持参した。フランスを離れてから約2年。もちろん、道場には新顔もいたし、昔懐かしい顔もあった。一つ目に嬉しかった事。それは、私自身が顔見知りの名前を全員、覚えていた事。二つ目に嬉しかった事。私が覚えていた人達が全員、私の事を覚えていてくれた事。三つ目に嬉しかった事。私を知らないはずの新顔の人も、私の事を知っていたこと。四つ目に嬉しかった事。私が帰国直前の試合で見せた技に感動して剣道を始めた人がいたということ(その人はその試合を友達の付き合いで見に来ていたらしい)。それよりも嬉しかったのは、昨日も書いた、貧乏学生のプレゼントだ。また、稽古の途中も、皆が我先に私のところへ来てくれる。面の中で、泣きそうになりながら、でも日本人として剣道と言うものをしっかり行わなければならないバランスを取るのに精一杯だった。はっきり言って、フランス人にここまで感動させられるとは思わなかった。フランスは、社交辞令の国である。どこまで本気にしてよいのか、分かったものではない。そんな国の人達が、口だけではなく、本当に歓迎してくれている。どんなに高価な料理より、どんなに美味なワインより、それは私にとって価値がある。色々と世話を焼いてくれたN君(ずっと年上のフランス人だが)。最後の別れ際、「色々とありがとう」と言うと「当たり前のことをしただけだよ。次にお前が来る時にも、同じ事をするだろうよ」と言ってくれた。歯が浮きそうなセリフだが、それが浮ついていない空気が、そこにはあった(と、思う)。ここまで素晴らしい仲間たちがいるフランスに、フランス赴任を後押ししてくれた日本の上司、同僚達に、そして神に感謝。