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テーマ:邦画を大いに語ろう!(83)
カテゴリ:映画・邦画
5.それでもボクはやってない
■配給:東宝 ■製作年・国:2007年、日本 ■上映時間:143分 ■鑑賞日:1月20日 新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町) ■公式HP:ここをクリックして下さい □監督・脚本:周防正行 □製作:亀山千広 ◆加瀬亮(金子徹平)フリーター。面接の日の朝の満員電車で中学生に痴漢扱いされる。 ◆もたいまさこ(金子豊子)徹平の母。息子の無実を信じて奔走する。 ◆斉藤達雄(山本耕史)徹平の大学時代からの友人。彼の無実を信じて豊子と動く。 ◆役所公司(荒川正義)ツグミ法律事務所の弁護士。徹平の弁護人となる。 ◆瀬戸朝香(須藤莉子)ツグミ法律事務所の新人弁護士。痴漢事件を扱うのに難色を示す。 ◆鈴木蘭々(土居陽子)徹平の元彼女。無実を信じて協力する。 ◆唯野未歩子(市村美津子)徹平が痴漢を訴えられた車内で同乗していた目撃者。 ◆柳生みゆ(古川俊子)徹平から痴漢されたと訴えた中学生。 ◆小日向文世(室山省吾)徹平の事件を途中の公判から担当した裁判官。 ◆正名僕蔵(大森光明)徹平の事件を当初から担当した裁判官だが室山と交代させられた。 ◆尾美としのり(新崎孝三)徹平の事件の公判を担当する検察官。 ◆田中哲司(浜田明)徹平に最初に接見した当番弁護士。裁判の現実と示談を勧める。 ◆大森南朋(山田好ニ)岸川署の刑事。徹平の取調べをしたが、一方的に調書を作成する。 ◆本田博太郎(三井秀男)留置場で徹平に流儀を教える同性愛者。 【この映画について】 『Shall We ダンス?』の周防正行監督が痴漢冤罪裁判に注目し11年ぶりに放つ新作は裁判を通して矛盾だらけの日本の姿そのものをも浮かび上がらせる。裁判制度、警察捜査の矛盾点を追求しながらも、そこで働く人間の建前と本音と正義感なども同時に描く内容である。 本人に取っては不当な逮捕から取調べ、拘留、起訴の過程で、誰も自分の主張には耳を貸さないばかりか弁護士までも疑いの目を向ける。 被害者を受けたと主張するのは女子中学生。片や逮捕された男は就職活動中のフリーターだ。勇気をふるって痴漢を捕まえた少女に当然ながら同情は集まる。果たして加瀬亮演じる主人公・金子徹平は無罪か有罪か。見応え充分の作品である。 【ストーリー(ネタバレなし)】 大事な就職の面接を控えた日の朝、大勢の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまったフリーターの金子徹平。 岸川駅を降りたところで中学生に袖を掴まれたところを、騒ぎになりそうな気配を察し駅員が事務室へ「連行」するがこの時に事務室の外に徹平の隣に立っていた女性が何事かを駅員へ話しかける。だが朝の通勤時間の忙しい時間帯で駅員の対応はおざなりで、徹平がこのOL風の女性も事務室に入れて話を聞くように主張するが駅員は取り合わず気が付いたらこの女性の姿は無かった。 連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留される。その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に。徹平は留置所内の男に教えられ当番弁護士浜田との面会を果たすが、浜田は裁判の現実を説き示談を促し撤兵の話に真摯に耳を傾けなかった。 徹平の無実を信じる母や友人・達雄の依頼でベテランの荒川、新米の須藤の二人の弁護士が徹平の弁護を引き受け、いよいよ裁判が始まる…。 裁判では二人の弁護士が徹平の為に必死になって証拠集めをし、母や友人の達雄は痴漢の冤罪被害者の会などと連携を取り独自に動く。 裁判では被害者である中学生の証言の矛盾点を突くべく、二人の弁護士と徹平の友人等は再現ビデオで対抗するのだったが...。そして、唯一の目撃者と思えるOL風の女性を探すのだったが困難を極めた。 果して徹平の冤罪は晴れるのだろうか、それとも... さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.二人の弁護士の立てた筋書きとは? 2.被害者の中学生の証言を崩す為に作成した再現ビデオは、犯行を覆す切り札か? 3.唯一の目撃者と思えるOL風の女性は見つかるのか? 4.裁判官が公判中に交代したがその影響は?その真意とは? 5.徹平は一貫して無罪を訴えるが果して結末は如何に? などを中心に映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 この映画ではフリーターによる「痴漢冤罪」を話題の中心に沿えて、それを取り巻く警察や弁護士や裁判所に対しての疑問を訴えているように感じた。 痴漢という罪は「現場」は大抵が満員電車の車内で「犯行」が行われる(夜道でも発生しますが)ので、どうしても「証拠」が残りにくい。更に、被害者の女性が「この人、痴漢です!」と一言発すれば男は窮地に陥ってしまう。「証拠」は男の体液が採取されれば決定的だろうが、この映画のケースの様に疑わしきケースで本人が「ボクはやってない」と訴えても州からの目は冷たい。 だがここで問題なのは警察のおざなりな取調べ、裏付捜査の欠如、調書の捏造などがまず挙げられる。映画内でも徹平が盛んにこの点を強調し、裁判でも弁護士が捜査官の捜査の拙さを指摘した。 最終的には映画のタイトルのような結末になるのだが、人が人を裁くことの難しさと制度の運用に問題がないか考えさせられた。それと気になったのは当初の裁判官が「人情派」から急に「疑わしきは罰する」姿勢の裁判官に交代したところだ。そのウラとして当初の裁判官が職場で交代した裁判官のいる前で語ったことばが引き金になったのかな?もしそうなら裁判官は全く国民の視点でものを見ていないことになるのだが... 最後に、徹平役の加瀬亮はとぼけた味を出していたので良かった。 【自己採点】(100点満点) 81点。シリアスな題材を分かりやすく、エンターテインメント性も出しながら纏めた周防監督の手法には高い点を付けたい。 蛇足ですが、今回は公開初日の一回目の上映を鑑賞しましたので比較的空いていたけど、二度目の昼の回は外に行列が出来ていました。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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