北海道の若者が海外で活動中!【8月活動報告・星野愛花里さん】
こんにちは総合政策部政策局総合教育推進室です若者の海外留学を官民挙げて支援する「ほっかいどう未来チャレンジ基金」によりキルギスの地域農産物の生産・流通について調査し、北海道との農産物輸出入の可能性を探るために留学した、学生留学コース星野愛花里さんから8月の活動の様子が届きました。 中央アジアのキルギス共和国で生産・流通の形態を学びに来ている星野です。現在は有機農産物を扱っている農協に所属しています。8月は、有機農協の作業を手伝うとともに現在の農村のシステムを把握するための農村住民への聞き取り調査を本格的に始めました。学んだことは以下の4点です。 (1)農家データの記入方法について いつでも有機認証を取得できるように、組合員の圃場図・作付けデータをロシア語で記入する作業をしています。 生産量や有機栽培、輪作を行っているか等を組合員や農協が把握するために、既定のフォーマットに2012年から毎年記入しているものです。6月に実際に伺った組合員調査のデータを使って作業を進めているのですが、総面積や多年草畑の面積、輪作体系が昨年と食い違うことが多々あり、その度に組合員に電話をすると、前のデータに合わせようと話をするため、正確なデータを得るということに苦労しました。昨年の圃場図を持って行くと良いのではないかと思い実行してみると話しやすかったので、次回からはそのようにしようと思います。これから日本へ薬草を輸出するという話もある中、そういった販売先を獲得して農協の経営を軌道に乗せるために、自分に出来る作業をしていきたいと思います。10月には有機認証機関やJICAの有機農業プロジェクトと一村一品プロジェクトチームを訪れて、有機農産物の流通事情の聞き取りを行う予定です。 (2)家畜で貯金をすることについて 家畜市場の価格調査に行きました。聞き取り調査によると、家畜の価格は比較的安定しており、体が大きいほど高価なのだそうです。冬期の干草の自給率で常時保有する頭数が制限されますが、なるべく手元に家畜を保有して高価になった時やお金が必要な時に売るという様な農業経営をしていることが分かりました。元遊牧民であるキルギスの人たちは、ソ連時代に保有家畜頭数を規制されていましたが、現在は遊牧の色が再び出始め、生活の不安定性を補っているような形になっていると言えます。家畜の安定した価格に関してはこれから調査を続けて報告したいと思っています。 (3)キルギス農村の土地のシステムについて 農村の土地について行政村の土地担当者に教えてもらっています。土地委員会のような組織が各行政村には存在し、1994年の土地分配から土地の売買の記録を残して管理しています。また、行政村は農家への農地や放牧地の貸付を行うことでお金を得ているという仕組みも教えてもらいました。 (4)家畜を共同で管理する仕組みについて 現在住んでいる家の居住区の農家を対象に経営調査を行っています。牛は毎日「バダチ(家畜の面倒を見る人)」と呼ばれる近隣住民に早朝に預け、草地での面倒を見てもらい、夕方に帰宅するというサイクルで生活を送っています。これは月ごとに面倒を見てくれる牧人に頭数に応じてお金を払いますが、秋からは羊などの別の家畜を「ゲズー」という共同管理組織に加えるという話も聞きました。 これは10戸ほどの農家が毎日順番に日中の家畜の世話をするというもので、支払いは一切発生しない仕組みです。ただ、馬を持たなくなった家や家畜を多く保有しなくなった家などは参加してもメリットがないので、経営にばらつきが出てきてからは減少してきたと話していました。この2つの組織について、生まれた背景や機能の変遷について引き続き話を聞いていきたいと思います。 ▼「ほっかいどう未来チャレンジ基金」についてはこちら ▼「みらチャレ」公式facebookページについてはこちら