カテゴリ:山登り
※宮城県の山をご紹介するブログです。
今回ご紹介する山は「翁峠(おきなとうげ)」(加美町・かみまち)です。 翁峠は県北西部,山形県の尾花沢市と最上町との市町境にあり,風衝草原の尾根道を歩くおおらかな山です。 加美町中心部から国道347号線を山形県尾花沢市に向けて西進します。この国道は冬季閉鎖になりますし,県内でも豪雪地帯になっていますので,登山適期としては夏場になります。鍋越(なべこし)トンネルの宮城県側手前北側に商人沼(あきんどぬま)の標柱があり,そこから商人沼を経ながら林道を3キロメートルほど北進すると,林道から左の沢に向かって下る細い道があります。そこの林道脇に送電線巡視路の標識「陸羽幹線88-89」の小さな鉄柱があり,登山口になります。数台分の駐車スペースは,その奥にありますので注意してください。 林道から少し下って外川を渡渉し,少し登り返すと送電線沿いにしっかりと伐採された巡視路に出合い,右手に吹越山(ふきこしやま),そしてその奥に翁峠が見られ,いよいよ往復13キロメートルという長い道のりの始まりになります。送電線は吹越山と尾花沢市・二ツ森(北峰)の谷間を宮城と山形とを東西に引いてあり,緩やかな巡視路を西進することになります。 途中,真っ青なヤマトリカブトの房や薄いピンク色のネジバナが見られ,吹越峠までこんもりとした樹林の中や,太陽がまぶしい空間を繰り返しながらの約1時間の歩きになります。 吹越峠は送電線を中心に広い空間となっており,山形側からの林道と出合います。ここで一息つきましょう。広場の北はずれに湯殿山の石碑があり,その脇からいよいよ登りになります。 開放感のある登山道を徐々に高度を上げていくと尾根に出合い,南西に山形の葉山,月山が,振り返ると南東に泉ヶ岳,船形山が眺められてきます。吹越山の西側を巻いて尾根上をカワラナデシコ,オヤマリンドウに出迎えられながら黒倉山(くろくらやま)に進みます。 黒倉山からは,風衝草原の尾根伝いにこれから向かう翁峠が望まれ,このコース一番の景色になります。次のピークまで鞍部を歩くことになりますが,クルミ平分岐からは,森の中の翁山荘(ハリマ小屋)の赤い屋根が小人のすみかのように見えてきます。ササの草原をおおらかな気分でゆっくりと稜線伝いに登って行くと,低木の樹林帯に入り,ほどなく山頂に到着します。山頂は三角点を中心に広い空間があり,周囲が低い灌木なのでお望みどおりの展望が得られます。少し西側には翁山神社の祠もあります。天気が良ければ鳥海山も見え,山形県側の山名の知識があると,とても感動することでしょう。 帰路は往路を戻ります。黒倉山辺りではぜひ振り返り,翁峠の風衝草原の尾根道を記憶に焼き付けてください。両肩の広い吹越山を左手に仰ぎ見ながら進むと尾根の南端となり,送電線のある吹越峠に下ります。 あとは送電線巡視路を足の赴くまま身を任せ,ゆったりとした,おおらかな1日を振り返りながら下山口に向かうことになります。 残念ながら,今回ご紹介したコースは国道347号線から登山口までの林道の刈り払いが不十分なところがあります。代替コースとしては山形県尾花沢市側からのコースがあり,吹越峠まで車が入れるようになっています。 標高:翁峠1075m 行程:約6時間(休憩時間を除く。) 参考文献:「新・分県登山ガイド3宮城県の山」(山と渓谷社) 労働委員会 T.M お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.08.04 08:27:52
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