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カテゴリ:ビジネス
最近は不況の影響もあり「使い捨て」、「買い替え」をかなりやらないようになりました。 しかし、大量生産の工業品が寿命も短く、あまり長持ちしません。
しかし、本当に質の良いものはかなり長持ちします。 まあ お値段もそれなりにしますが、大量生産の工業品よりはるかに長持ちすれば、かえってお得なときがあります。 それが昔の日本の伝統的モノ作りだったのです。 日本の伝統的モノ作りが崩壊しつつあるなか、それをかたくなに守っているところもある。 最近は、ライフスタイルの変化から、畳の部屋が減り、普段自宅ではベッドで寝ているという方が多いのではないでしょうか? 私は昔からふとん派で、ベッドを使ったのは中学生から高校生くらいの6~7年のみです。 日本の伝統、和室にふとん。 しかし、「ふとんは、素材の木綿が外国産なので、“環境配慮型製品”とは言いづらいんです」と言われることもあります。 確かに、素材の綿はほとんどが輸入品です。 羽毛ならなおさら・・・ ということで。本日のお題は 「質の良さ」 尚、昨日のお題は 「婚活支援」←ご覧になってない方はこちらもどうぞ 名古屋にある丹羽ふとん店。 現在 五代目の丹羽拓也さんが匠の技術の継承者としてがんばっている。 この方のお父さん、つまり 四代目は昭和61年の全国技能競技大会繊維部門において、ふとん業界では初めてとなる内閣総理大臣賞(最優秀賞)を受賞された方。 その匠の技術が口コミで広がり注文が殺到。 今では注文からなんと2年待ちになっている程の人気だそうです。 拓也さんは、今でこそ家業を継ぎ、技術の継承者になっていますが、初めは家業を継ぐ気など全くなく、大学卒業後に大手の電機機器メーカーに就職し、営業の仕事をしていました。 でも、「実際に製品がどのように作られているのか」という現場感を感じることなく、「ただ製品を売ればよい」という仕事の内容をどうしても受け入れることが出来ず、25歳の時に辞表を提出し、家業を継ぐことを決意したそうです。 さて、冒頭の「ふとんは素材が外国産だから・・・」という点ですが、まず 前提として、国内では明治29年3月30日に「輸入綿花及羊毛海関税免除法」(綿花輸入関税の撤廃法)が公布され、同年の4月1日に施行されてから、綿をつくる農家が減少しました。 こうしたことから、今では原料が国内では賄い切れず、輸入に頼らざるを得ないという事情があります。 確かに温室効果ガスの排出量という点では、輸入ともなると決して低い数値ではないですね。 しかし、たとえ外国産の原料を使ったとしても、それが長く使われる製品であれば、ライフサイクル全体では環境負荷が軽減出来ることもあり得るのです。 つまり、素材だけで“環境配慮型製品”かどうかを決めることは出来ない、ということなのです。 長く使われるための“質”へのこだわり ここで、簡単にふとんの作り方を説明しましょう。 丹羽ふとん店で作るふとんは、全て木綿製です。 原料の木綿は、インドやメキシコから輸入されて来ますが、木綿は原産国によってそれぞれ風合いに特徴があるようです。 昔は、木綿を弓で打っていましたが、今は綿打ちの機械でそれを行います。 それぞれ風合いに特徴のある綿の配合を、微妙に調整するのが秘伝の技です。 綿打ち機から出てきたシート状になった木綿を、今度は敷ふとんだと24層、掛けふとんだと8層にミルフィーユ状に重ねていきます。 凸凹をなくしたり、人が寝る部分を意識的に厚めにしたりするなど、まさにここが職人芸の見せどころです。 そして最後に生地を合わせて綴じるのですが、木綿と対話をしながら、微妙な力加減で綴じなければならない為、決してミシンは使いません。 このようにして1枚のふとんが仕上げられます。 ふとんを1枚仕上げるには、2時間半の時間を要し、職人1人では、1日に多くても4枚しか作ることが出来ません。 注文してから2年待ち、という状態もこれを聞けば納得ですよね。 「それじゃあ人を増やしてやればいいじゃないか」という意見もあるでしょう。 当然の意見かも知れません。 でも、5代も続く「丹羽ふとん店」という「看板」が、それを許さないのです。 「看板」はそのもの自体が信頼の証であり、質か量かという“二者択一的な考え”や、企業の合意形成にありがちな“バランスをとる”という考え方は、そもそも存在しません。とにかく、“質”を重んじるのです。 事実、納得の出来るふとんをつくる為には、妥協は一切許されず、拓也さんも師匠の最終チェックの際に、初めから全て作り直す様命じられたことが何回もあるそうです。 修正とか、微調整とかはしないそうです。 拓也さんは、師匠である父正行さんから、「手が動かせなくなっても、口は出せるから、この世界に引退の二文字はない」と言われているそうです。(あはは 確かに) 作り手と使い手の信頼関係は、この“質”という点で担保されており、それが丹羽ふとん店の布団が、長く使われる重要な要素なのだと思います。 良質な綿であれば、15年くらいは打ち直しの際に新しい綿を足さなくてもふっくらするそうです。 ふとんは、定期的な打ち直しを行うことで、長く使うことが出来るのです。 20数年前、私も昔のふとんを打ち直してもらった記憶があります。 今使ってるふとんはダメです。 純綿ではなく合成綿ですから・・・ 毎晩「寝食」ならぬ、「寝」をともにするものだけに、ふとんに対する「こだわり」が、「愛着」や「愛情」に変わって行く気持ちもわかる気がします。 決して環境意識云々から生まれたものではなく、長く使っても変わらない“質”の良さに加え、そのモノに対する「愛着」、「愛情」から生まれたものなのだと思います。 そのことが、結果として「長く使われる」ということに繋がっているのではないでしょうか? 高度成長期に「使い捨て」が経済的だとされた、間違った風潮が長く続きました。 また 人件費が高騰し、修理より買い換えたほうが安い といった背景もあります。 しかし、本当の「日本的モノづくり」とは、長く使われるための“質”へのこだわりがあったはずなのです。 いつの間にか、経済性を優先させた画一的な工業製品が席巻するようになりました。 私たち消費者ももっとよく考えなければならないと思います。 尚、関連項目として、過去ログ「SL用ボイラ修繕」がありますので、お時間があればこちらもご参照ください。 なぜか大学からアクセスの多い別ブログ ●別ブログ2/2の新着は「クレーマー保護者」 前回は「アナログ放送終了」 こちらも見てね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年02月10日 21時37分33秒
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