時代は回る
日本政策投資銀行南九州支店が次のような発表をしました。本格焼酎(乙類)の生産・消費量が来年春にも清酒を追い抜く、という予測です。(清酒のアルコール15度を、本格焼酎の25度に換算したもので、清酒の生産・消費実績が実際より低く計算されているそうですが)清酒も、本格焼酎も従来から日本にある伝統的なお酒です。伝統や文化を背負った産業は強い、世界に誇れる産業になり得る、という話を以前書きました。そういう産業こそ海外に大いに展開していかないと、国力が上がらないと。逆に言うと、伝統や文化を背負っている産業は強いのです。それなのに一方は栄え(本格焼酎は近年10%/年の成長)、一方は衰えていく(清酒は近年5%弱/年の減少)。これはどういうことなのでしょう?栄えている産業の方が、革新を続けている、というならば理由は明白です。しかし、本格焼酎と清酒の場合は、どちらも恐らく同じように伝統を守り、同じように原料や製法を守り、同じようにちょっとずつ味を洗練させていっている、ことだと思います。それまでの本格焼酎とは全く違う焼酎ができた、とか、清酒の革命だ、なんて話は聞いたことがありません。では何が違うのか?時代が変わったんだと思います。時代は、ライトに向っています。体に入れるものをライトにしているのです。ストレスのないもの。これを積極的に体に取り入れ、そうでないものは極力口にしません。飽食の時代になってそうなったのでしょうか。別のいい方をすれば、健康ブーム。もっと別のいい方をすれば、ダイエットブーム。(ダイエットは永遠の課題に思えますが、やはり食べ物に困らなくなった最近の時代の話)ヒトは、農薬使っていないもの、脂っこくないもの、炭酸も微炭酸、タバコも低タールのもの、お酒もアルコール度が低いもの、を口にするように変わってきているのです。どうですか? 自分を振り返ってみて下さい。口にするものがライトになってきていませんか?(成長期の子供は今のところ時代が変わってもヘビーなものを食べますがね)待てよ、でも焼酎の方がアルコール度数が高いじゃないか、と。でも、焼酎は水で割ったり、お湯で割ったりできます。では、同じく水などで割れるウイスキーが不振なのはなぜ?焼酎は割れるだけではなく、二日酔いをあまりしません。しかも、血液をサラサラにする効果があるとまで研究の結果、報告されています。本格焼酎も清酒も、ウイスキーと違って日本の伝統文化です。どちらも強い力を持った産業です。しかし、今、時代は焼酎に巡っています。ん~、商売ってムズカシイですね。