改良ベタのお話 vol.001
改良ベタの定義 さて、先週えらそうに前振りしておきました様に、今週から頑張ってこのブログ再開させていきたいと思います。テーマは「改良ベタ」について・・・もう少し判りやすく言えば、「改良ベタって何?」から「どんな品種がいるの?」「飼育管理の方法は?」「繁殖させてみたい}の様な、ベタに関する様々な情報を頑張って網羅してみたいと言う訳です。とは言っても、かなり独断と偏見が入り混じっておりますので、駄文にお怒りの際は平にご容赦を(笑)。 まずは「改良ベタとは何ぞや?」と言う所から解説していきましょう。改良ベタと呼ばれる物は、ハーフムーンもプラカットもクラウンテールだってダンボだって、みんな一緒の種類です。元になった原種はベタ・スプレンデンス(Betta splendens Regan,1909)と言うワイルドベタで、タイやマレー半島辺りに広く分布するバブルネストビルダー(泡巣タイプ)のベタです。 この原種スプレンデンスが、むやみやたらにテリトリー意識が強く同種のオスに対して非常に攻撃的な面に着目して、賭け事つまり「闘魚」として楽しんだのが、ベタ飼育の始まりだったと言われています。もちろん、最初の内は「とにかく強けりゃよしっ!家族の生活かかってるんだから、見た目なんてどうでもマイペンライ!」って言う感じだったでしょう。現に現在の「闘魚」用のベタも、こげ茶ベースの物凄くバッチイ個体です。しかも、唇なんて相手に噛み付きやすいように「タラコ唇」だし。 でも、この「少しでも強い個体を作りだしたい」と言う切実な男達の(実際には結構オバチャンも熱くなって参加してる)願いは、強い系統同士の累代繁殖につながり、それが副産物的にそれぞれの系統が特有の外見を持つようになっていったのが、ベタ改良の始まりだったと思われます。 ある時期からは、ベタの持つ多色性に着目し、観賞魚としてカラーリングの妙を楽しむ人々も出てきたでしょう。実際、タイ王朝でも貴族や王様の趣味としてベタの飼育がなされていたと言う記録が残っています。 そんな観賞価値の高いベタがアメリカに観賞魚として輸出されるようになった、1900年代前半にアメリカでヒレの長いベタが突然変異として出現したと言われています、たぶん(真偽の程はよく知りませんが、巷ではそういう事になってます)。 そこから、ベタのカラーリング&形状の両面からの改良が続けられ、現在のように多種多様なバリエーションを有する観賞魚にのし上がったと言う訳です。 そんな多分に想像の領域が多いベタ改良の歴史を読んできたならば、もうお判りのように「改良ベタはすべて同一種」です。例えるならば、チワワとセントバーナードとダックスとチャウチャウは生物学的には、同じ種類「犬」と言うのと同じ事です。従って、見た目とか系統の純度を考えないのであれば、これらの品種間の交配は遺伝的な障害(遺伝的隔離)は存在しないと言う事です。 よく、「ハーフムーンにプラカットのメスを交配するなんて馬鹿げている。うちのベタは一度もプラカットの血なんて導入された事の無い純系」とか言う話を聞きますが、それはその飼育者が知る範囲でのお話であって、改良ベタのウン千年?の歴史を遡れば、結局の所同じ原種ベタにたどり着く訳ですから、「プラカットの影響の無いハーフムーン」なんて話は、生物学的には噴飯物です。もっとも、形質の異なる品種同士を交配すれば、中途半端な子供が生まれてくる事が大部分ですから、ある程度のレベルに達したベタブリーダーにとっては、安易な品種間交配は特別な目的が無い限りは忌むべきなのは間違いありません。犬のブリーダーだって、チワワ×セントバーナードなんて、絶対試したくないはずですからねぇ。子供とっても売れないし・・・って言うか、体格的にこの2品種の交配は可能なんでしょうか?? そうそう、蛇足ではありますが「交配」と「交雑」をここでは以下の様に区別しております。「交配」=生物学的には同一種の、品種間の繁殖「交雑」=生物学的に別種間での繁殖 と言う訳で「改良ベタの繁殖」は、それがプラカット×ハーフムーンだろうが、ダンボ×クラウンテールだろうが、すべて同一種間での繁殖と言う事なので「交配」と言う事になります。