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テーマ:法律についてのあれこれ(91)
カテゴリ:貸金業規制法、消費者法
何度か記事にしていますが、
現在、お金を借りるときに、銀行などの金融機関では15~20%までの金利、消費者金融などの貸金業者では29.2%までの金利となっている金融経済。 この違いは利息制限法と出資法という2つの法律が金利を定めていて、利息制限法(15~20%)を超える金利は民事上無効となりますが、 貸金業者登録をする貸金業者については貸金業規制法により厳格な要件(要件のととのった契約書面等を貸金業者が債務者に渡していて、債務者が納得して支払う)のもと、29.2%(出資法で定める金利)までとれることになっている、というものです。 利息制限法以上、出資法までの間の金利は、貸金業規制法の要件を満たさないと無効となることから、「グレーゾーン金利」と呼ばれています。 貸金業規制法での厳格な要件で認められることを「みなし弁済」と言ったりします。 この辺の説明は、民法の教科書に小さく書かれています。 この法的に不安定な変な制度「グレーゾン金利」と「みなし弁済」ですが、どうやら(やっと)なくなるようです。↓ (フクザツなので、いつもよりちょっと前置きが長かった。。。) 「上限金利、『引き下げ大勢』明記へ=21日に中間まとめ-金融庁懇談会」(yahooニュース時事通信 4月21日) 「上限金利引き下げを明記 貸金業懇談会、中間報告」(Yahooニュース共同通信 4月21日) 「貸金業懇談会:『上限金利引き下げを』中間提言まとめる」(毎日新聞 4月21日) 「灰色金利廃止で大筋合意、貸金業懇談会の中間整理」(読売新聞 4月21日) 「貸金業規制 上限金利20%以下 金融庁懇中間整理『みなし弁済』は廃止」(yahooニュース産経新聞 4月22日) 「『金利引き下げ』了承、金融庁の有識者懇」(朝日新聞 4月21日) 上記新聞記事らは、 金融庁で行われている貸金業懇談会の「中間整理」の内容に基づいているそうです。 懇談会では、出資法の上限金利を引き下げ、利息制限法(15~20%)に合わせるという意見で一致しているそうです。 これが法制化すると、「グレーゾーン」や「みなし弁済」制度がなくなりますから、 今まで「過払い金返還請求訴訟」(「みなし弁済」要件を守っていない貸金業者に払いすぎた金利分を返還請求)がすごい数があり、特に最近では司法で厳格な判断が相次いでいるため急増していると思われるのが、減少するでしょう。 裁判所で特定の訴訟案件ばかりあるという状態は法律と経済が機能していないということでしょうから、望ましいことと言えます。 でも、銀行と貸金業者の違いは今まではそれなりにあったと思われるのですが、 商品がお金で競争するところは金利しかないのにお金を扱う貸す側が全て一律となると、その違いに意味があるんでしょうかね。 あくまでイメージですが、今までは、銀行がフランス料理のフルコースだとしたら(質はいいが出てくるの遅い)、貸金業者は吉野家の牛丼(質は悪いがすぐ出てくる)ってな感じだとしたら、今後は、この「質」の部分については、同じになるわけですね。 すると、全て競争。 中小の貸金業者はコスト的に合わないのでどんどんつぶれるとして、銀行や大手貸金業者もかなり競争して生き残らないといけないでしょう。 すると銀行だって、貸金業者っぽく営業していくことになるでしょうね。 また、「モビット」「キャッシュワン」「アコム」「プロミス」の違いは、ふつうの一般のふつうの感覚では、分からないでしょう。 その4つの中からお金借りようと思って、どこに行くか。 まぁ、どれもCMとかしてて有名だし、ヤミ金とかだとやばいからとりあえずCMしてるしこういうところに行こう、くらいな気がします。 上記4つの中では、前2つが利息制限法の金利帯(15~20%)、後2つが出資法の金利帯(29.2%)です。 でも、お金を借りるときに、金利とか詳しく見て借りる人がどのくらいいるかどうか。 上記4つについては、たいして違いがなさそう、有名だしATMとかあるし銀行の窓口に行くよりは簡単そう、とか、そんなもんな気がします。 いわゆる多重債務者が問題となっていますが、私は、お金を借りることについての、上記のような「ふつうの一般のふつうの感覚」を上げることが一番よいのではないかと思います。 難しいでしょうけど。 私は、学校教育で改めて、お金を借りること、使うこと、どのように使うべきか、貯めること、などなどについて、教育を受けたことはありません。 学校でないとすると親なんですが、親からも改めて機会を設けて教えられたことはなく、お金については、多分、親の消費行動を見て学んだんでしょう。 それは、誰もだいたい同じだと思います。 昔は多重債務者ってあまり問題化していなかったと思うのですが、モノも娯楽もあふれてるし、生活に苦しくなっても昔のように質素倹約って世の中でもないし、そういうのも影響してるんでしょうね。 たとえば、家やマンションを買う人は、不動産の売買契約などで分からないところは担当者にいろいろ聞きながら納得して買うでしょうね。 しかし、経験上及び聞いたところによると、貸金業者からお金を借りるにあたって、契約書をよく読んだり説明をよく聞いたりする人はあまりいないようです。特に、多重債務に陥る人・・・。 金額や、人生における重要さの違いはあるかとは思いますが、でも結局のところの影響としては、家やマンションも、お金を借りるのも同じだと思います。 借りるも、買うも同じです。まぁ、ついてくる金利と使ったもの(物、時間)を買ったと思えば。 よく考えて、買う(=借りる)。 それを学ぶ機会を少しでも多く作った方がよいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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