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madamkaseのトルコ行進曲

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 marnon1104@ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
 marnon1104@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) kaseさん、こんにちは(*'▽')♪ …
 madamkase@ Re[1]:渡航記念日(03/16) 高見由紀さんへ こんにちわ、イスタンブ…
 madamkase@ Re:渡航記念日(03/16) marnon1104さん、こんにちわ。 3月に書い…
 madamkase@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) ひなのさん、おひさしぶりです。 トルコは…

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2015年08月23日
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【8月23日・日曜日】


 いやはや、凄いのなんの。

 多分今年最強の集中豪雨に違いない。今朝、午前11時を1~2分過ぎた頃、台所にいた私は柿の葉に当たる強い雨の音を聞いた。

 テレビの天気予報では昨日あたりから3日間、サーナック・ヤーシュ(驟雨)があると言われていたが、昨日はほんの通り雨程度で大したことはなかった。

 今朝のニュースで、本日は要注意とアナウンサーが言っていた通り、この雨の音は突然ザーッと猛烈な勢いとなり、写真を撮ったら雨脚がはっきりと白いすじになって写っていた。台所からベランダの方に回って見ると、表通りはすさまじい急流となっていた。

sagnak  
裏の庭に降り注ぐ雨、普通は写らない雨がくっきりと見えます。

sagnak2
ベランダ側の窓からのぞいてみると、側溝に水があふれそうになっています。

sagnak 3  
チュクルジュマ・ジャーミイの方角。急流が押し寄せてきます。

sagnak4  
ギュルセレンさんとブケットも不安そうに窓からのぞいています。

sagnak5  
側溝は瞬く間に溢れだし、滝のように押し寄せる濁流は既に歩道に乗り上げています。
このあともっと雨は激しくなりましたが、撮影できたのはここまでです。


 私は鉄格子を開けてベランダに出て自分の家の下を覗き込んでみた。ものすごく膨れ上がった急流が、アパルトマンの玄関前にブラック・ウスタの店の前の道路にも、無秩序に積み上げられた古道具や廃材などが水の通り道を塞いで、濁流が大きく膨れあがりながらうちのアパルトマンの方に流れ込もうとしているのが見えた。

 あっ、カプジュの家がまた浸水してしまう、と慌ててカメラを机の上に置き、風呂場からデッキブラシを持って、ブラウスは脱ぎ、タンクトップとバーミューダパンツという恰好で木製のサンダルに履き替え、表に出て行った。

 おおお、目の前の道路は既に水があふれていた。すさまじい雨に打たれながら、カプジュと妻が必死にデッキブラシと箒で、歩道と同じ高さの明かりとり窓に迫った濁流を押し返しているところだった。

「ジャポン・テイゼ、デリ・ミシン? チェキル、チェキル(ジャポン・テイゼ、お前さん、気でも狂ったのか、引っ込め、引っ込め)」

 オスマンが大声で叫ぶと、ゼリハが振り返り、「ジャポン・テイゼ、ドゥシェビリルシン!  チェキル!(ジャポン・テイゼ、転んじゃうよ、引っ込みな!)」と私の腕を掴んで押し戻そうとした。

 「大丈夫だよ、1人でも助っ人が多い方がいい!」
 私も必死にデッキブラシでカプジュの家の明かりとり窓へ流れ込もうとする濁流を押し返した。

 道の反対側からは道路に膨れ上がってごうごうと流れる濁流を横切ることは出来なかったが、大工のブラック・ウスタもついに外に出て来た。

 彼が無秩序に置いてあるがらくたが、側溝を塞ぎ、オスマンの家に襲いかかっている濁流の原因だった。雨合羽を着て何とか道を横切って、山のように積み上げられた廃材などを片付けようとしたが、いくら男でも1人で持ちあげられるものではなかった。

 日曜なので、あいにくブラック・ウスタの木工所も休みで、大工も小僧達もいないのだ。もちろんその間にも、私達は3人がかりで休みなく必死に水を押し返していた。

 カプジュの家の中では、娘のシベルが必死に布団類を高いところに運び上げようと奮闘しているらしく、ときどき何かを母親に聞こうと大声で叫んでいるが、何しろ雨の音がすさまじいので、ゼリハにも良く聞こえてはいなかった。

 雨は一向に止まず、道路の向かい側のアパルトホテルの入り口には7~8人の泊まり客がチェックアウトしたものの、出鼻をくじかれたままなすすべもなく立ちつくしている。

 そこへ、私達の向かいのアパルトマンの6階に住む青年が「テイゼ、応援に来たよ」とずぶ濡れになって通りを横切り、私達のそばに来てくれた。さっき、雨の写真を取ろうとベランダの窓に顔を出した時、彼も、同居の彼女と窓際で外を見ていたので、手を振り合ったばかりだ。

 その彼が、ああ、有難い、助っ人に来てくれた。しかし雨は一向に弱まる気配さえなかった。みんな、もう、滝で打たれる修験者のようなありさまだ。

「ブラック・ウスタ、この大きな一枚板を横にして、この人と一緒にオスマンの家の窓を塞いでやって。そのあと、側溝の上のものを片付けて! オスマン、私とゼリハで水は何とか防ぐから、あんたもほかの板でそっちの天窓を塞ぎな、早く!」

 ありゃりゃ、私はいつの間にか消防隊長のように、みんなに指図していた。大きな一枚板でとりあえずオスマンの家の天上窓を塞ぎ、次に側溝を塞いでいた廃材などを少し片付けると、アッラー・シュキュル(神に感謝)、歩道に流れ込んでいた水の流れが止まり、濁流はまっすぐ下に降りて行くようになった。ホッとして私達はデッキブラシの手を休め、腰を延ばした。

「加瀬ハヌム、ありがとう」とブラック・ウスタが私に言った。

 今だ!  私はブラック・ウスタに呼び掛けた。

「ブラック・ウスタ、今日はいい具合にオスマンの家が水浸しにならずに済んだよ、アッラー・シュキュル。でもね、良く聴いて。私が7~8年前まで、脇のコリドール(通路)をきれいに掃除して猫の餌場にしていた頃、あんたはよく私に蚤が出る、虱がわく、大迷惑だ、と文句を言っていたね、覚えているでしょ。でも、今のこの有様は何? あの頃とどっちが汚いか、一目瞭然でしょ。

 今日は表の道路と歩道に積み上げたあんたの荷物のせいで、またまた去年みたいにオスマンの家が水浸しになりかけたわ。水だからまだいいよ。この雑然紛然としてコリドールを塞いでいる品物に、いつかある晩、放火魔が通りがかりにベンジン(ガソリン)を撒いて、離れてから煙草の吸殻をポンと投げたらどうなるの? コリドールの隣の家はアフシャプ(木造)なのよ。

 私はあんたのコムシュ(隣人)だから、あんたが悪く言われないように、と思って言うのよ。見てみな、ここは私達の住み家でしょ。オスマンの家に水が入れば、アパルトマンの基礎が水浸しになって弱くなるのよ。それなのに、こういうときに手伝いに出て来るの、14軒の中でいつでも私たった一人よ。他人のうちのことだからほっとけ、じゃないでしょ。私達の大事なアパルトマンが被害に遭えば、私達が困るのよ、オスマンだけじゃないのよ!

 これを機に、少しずつ片付けてほしいわ。共同の場所を個人的に占領していると訴えられて裁判沙汰になるか、ある晩炎に包まれて、あんたのショウ・ルームだけじゃない、このマハッレ(地区)全体が焼け落ちて、一生みんなから恨みを買うか、どっちかに一つよ。私の言うことはよく当たるんだから、来週からでも片付け始めた方がいいよ」

 ブラック・ウスタは神妙に聞いていた。やるかどうかは神様だけがご存じで、彼自身にもわからないに違いない。

 うちの娘がいたら「お母さん、どうせ馬の耳に念仏だから言っても無駄よ。話せば分かる人と、分からない人がいるんだからね。も~うお母さんたら、あんな乱暴者に向かって、自分が世直し大明神だと思いこんじゃってるみたいにお説教するんだから。相手が逆切れしたら、タバンジャ(ピストル)でバンッとか、刃物でブスッとやられないとも限らないでしょ。物を言うときは、相手を見て十分気をつけてね!」と心配するだろう。

 ようやく雨脚が衰えて来た。びしょ濡れのタンクトップ姿だからゾクゾクッとして寒くなってきたので、その場を引き上げることにした。向かいのお兄さんにも礼を言い、アパルトマンの中に入ろうとすると、扉の前にいたゼリハが言った。勿論彼女もずぶ濡れだ。

「ジャポン・テイゼ、昨日は私、凄く病気だったんだよ。シワスのアンネの病気も重いし、私の歯も痛い、脚も痛くて休んでいたところにあんたが掃除しろって言うからカッとなっただけだよ、悪かった」

 私は答えた。
「そうだったの、じゃあ大事にしなよ。あんたのお母さんにもゲチミッシュ・オルスン」






   かに座さそり座いて座
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madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)




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Last updated  2015年08月25日 07時17分11秒
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