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カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【8月29日・土曜日】 朝6時ちょっと過ぎ、前夜成田を発った伊久子さんがわが家に到着した。出発当日まで仕事をし、スーツケースを会社に持ち込んでおいて、空港に直行するところは、うちの娘と全く同じである。 旅慣れた人と言うのはみんなそうらしい。伊久子さんは、またまた、私にたくさんの日本土産を携え、それに猫達の1週間余りの餌代を添えて支援してくれたのだった。 飛行機の中で貰ったおにぎりを1つずつ分け、先日のユウコさんのお土産の一つ、マグロのそぼろ煮を肴にビールの栓を抜いた。 「なんか、凄いですね。朝からビールなんですか」 「ええ、まあ、歓迎の意味で、ちょっと泡の立つものも、けっこういいでしょ」 「はい」 私も前日の軍事博物館のあと、まっすぐ家に戻らなかったので、台所も磨いて待っているつもりだったのだが、伊久子さんに寝室を用意するだけで精いっぱい、2人で乾杯して飲み終わると2時間ばかりまた寝て、9時ごろ起き、私はもうご飯は炊けているし、朝飯用に、夕べ伊久子さんが空港行きの乗り換え駅のコンビニで、レトルトおでんを2人分買って来てくれたので、メインディッシュはもう温めればいいのだった。 伊久子さんは今夜、シワス県に向かって再び機上の人となるのだが、その前に、アイシェさんと言う、何年か前に日本で知り合った女性と会う約束をしていたのだそうである。 Facebookのメッセージで2人がやり取りしている間に、私は朝食の支度をしていたのだが、先方の指定の場所に行き方の分からない伊久子さんを一人で出して、もし会えなかったりするといけないので、食後私も着いて行くことにした。 朝食はおでんがあるので豪華だった。私もほうれん草と木耳のみそ汁を作り、挽き肉とピーマン・玉ねぎをそぼろ炒めにしたものを入れてオムレツを焼き、オグリと闘いながら食卓に向かった。 伊久子さんと私の朝食、おでんとオムレツです。 おでんだけでもお腹いっぱいになりそうな量ですが、更に・・・ 12時に会う約束だと言うので、11時半にタクシーを呼び、ランデブー(待ち合わせ)の場所に直行し、しばらく日陰で待っていると、イスタンブール大学の講師、アイシェ先生が現れた。アイシェさんはローマ法の専門家で、大学でもそういう授業を担当しているらしい。 日本にしばらく留学か研修で行っていた時期があるので、日本語が達者と言うほどではなくても、伊久子さんと理解しあえるようで安心である。 伊久子さんをどこか案内してあげたいと思って来てくれたので、私もせっかくだから、ずっとはいられないけどお茶でもしませんか、と言うことになったのだが、待ち合わせの指定場所のメトロ、ヴェジネズレル駅の周辺には見たところ洒落たカフェもなかったので、イスタンブール大学、科学・文学学部の庭に座り、アイシェさんが缶入りアイスティーと紙コップを買って来てくれたので、それを飲みながら軽く自己紹介をし、30分ほどを一緒に過ごしたのだった。 大学のキャンパスの庭で。初対面のような気がしないアイシェさん。 しかし、私はアイシェさんとどうやら同種の人間のようで、興味をそそられる種々の話題が非常に似通っているうえ、歴史、地理、宇宙観、イデオロギー、宗教、いろいろ終日話していても飽きなそうな雰囲気だった。しかもメフテル軍楽隊のコンサート大好き、メヴラーナ大好きのところまで。 「加瀬さん、どうぞご一緒に回りましょう」とアイシェさんが勧めてくれたが、今日は私は伊久子さんが道に迷わないように連れて来ただけなので、滅多に会う機会がなく、やっと知り合って何年振りかで再会したお2人さんの間に割り込むような真似はしたくなかった。 私は紹介してくれた人の友人をかすめ取ってしまうようなことは金輪際やりたくないので、いずれまたアイシェさんとは会う機会もあると思うし、今日は存分に本来の友達である伊久子さんをよろしくお願いします、と挨拶して別れグランド・バザールに向かった。 かつて、1453年にコンスタンティノープルを征服したあとここに 築かれた宮殿の門。その華麗な正門は現在イスタンブール大学の正門。 夕方、シワスに移動するために伊久子さんは4時のシャトルバスに乗りたいと言っていたので、3時には家に戻り、3時半頃はまた家を出て、エルマダーの交差点のそばにあるハヴァタシュのターミナルに行かなくてはならない。 そして自分にも用事があるので、グランド・バザールで両替をする時に、ストゥク・ウスタの作品を扱っている店のあるじ、ムザッフェルさんの事務所に顔を出し、挨拶をした。 次に、娘に頼んで日本の銀行口座(残高パンパンならいいのだけど、カスカス)から下ろして貰い、伊久子さんに運んで貰った諭吉先生をいつもの両替店でトルコリラに替えて貰った。 美由紀さんの店に寄って、シワスの文化観光局長カディルさんと、ディヴリーの写真家ユスフさんへの気持ちばかりの土産を用意し、彼女達からの連絡を待っていたが、やはり4時のバスには乗れないかもしれない、ともうタキシム広場で待ち合わせせず、伊久子さんは荷物を取りにすぐにわが家に帰るように電話した。 私はトラムワイで帰ったので少し遅くなったが、タキシム広場から家までタクシーで伊久子さんを迎えに行き、そのままシャトルバスの乗り場まで急いで貰ったが、幸運にも4時のバスが5分発車が遅れて乗れたのだった。待って貰った運転手さんのタクシーに再び乗り込み、ターミナルから裏道を抜けて帰ってきた。 ドタバタして汗をかいたのでイーイト・ギョズレメ店の前で降り、ユルマズさんと挨拶し、イーイトでしばらく呆けたように店の外の椅子で座っていたら、ユルマズさんがドンドゥルマをご馳走してくれた。チャイはその日はヴェダットさんのおごりで、何だかとても嬉しい気分。 暗くならないうちに帰れたので猫達にも早目に餌を配り、パソコンを開くと先月のレポートの原稿が戻って来ていて、写真のキャプションなども付けるように依頼された。もう、これは日曜日の仕事にして、夕飯用にカレーを作った。 今夜は遅い時刻に小林正貴さんのお母さんと弟さんがゲストで正貴さんのレギュラー出演する番組に出ることになっているので(先週の土曜日収録したもの)、見逃せないと思い、ビールも飲みたいが眠くなりそうなので止めにして、私は明日に回した仕事を画面に出して、ちょっとだけ内容を見ておいた。 さあ、正貴さんのお母さんは浴衣で登場、と言うことなので、どんな画面が見られるやら、とても楽しみである。11時、伊久子さんももうシワスのホテルに入った頃だろう。つづく。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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