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カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【9月10日・木曜日】 8月の初め、娘のV子の依頼で、千葉県の息子の家の向かいに住んでいたタツヤ君の奥さんの母親、つまり姑に当たるとある女性の初めてのトルコ旅行をフォローすることになり、ご当人とメールのやり取りが始まった。 10日ほどのイスタンブール滞在期間を過ごすための、アパート・ホテル探しは何とかなりそうだが、イスタンブールではタンゴが流行っているそうなので、それを踊れる社交場を探しておいてほしい、という希望には正直、絶句してしまった。 トルコに来て以来、数知れず結婚式に招かれて、ズルナ(笛)とダヴル(太鼓)のお囃子で、見よう見まねのトルコ・ダンスをでたらめにたくさん踊って来たものの、いわゆる社交ダンスとか、アルゼンチン・タンゴ、フラメンコなどのラテンものとはまるきり無縁に過ごしてきた私、どうやって見つけたらいいのか、皆目見当がつかなかったのである。 情報を知っていそうな人に電話したり、外出したついでに、あちらこちらの店で聞いてみたりするものの、教わった場所に行ってみると全然見当違いだったりして、一向にこれといった情報は手に入らなかった。 アパート・ホテルについても、女性の望む条件を備えたところはなかなか見つからず、これならいいかなと思えば1泊150ユーロを越える金額、チュクルジュマにこのところ急増している、きれいなアパート・ホテルの一つに聞いてみたら、オーナーが私のことをよく知っている、といい、友達値段を適用して、105ユーロで二部屋続きの、オーブン付きガス台、食洗機、洗濯機、乾燥機、すべて揃ったお洒落な部屋を見せてくれた。 ところが彼女の日程と空室状況が一致せず、ここも見送ることになり、話が振り出しに戻ってしまった。次の日に女性の方から幾つかの普通のホテルのウェブサイトのアドレスが送られて来て、タキシム広場や2キロ離れたガラタ塔付近にあるホテルのウェブアドレスだと分かった。 アパート・ホテルでなくてもいいが、ウェブサイトで掲示された写真と、実際の状況が一致していない場合もあるので、用心のためにチェックしてほしいとのこと。ところが8月は19日までの間に、私は軍事博物館の開館日13日のうち6回もメフテル軍楽隊に観賞希望者の案内役を務めていたので、ほぼ2日に1回通った勘定になるほどで、毎日それはそれは忙しかった。 「普通のホテル探しだったらネットでご自分で申し込んで頂けるとありがたい」、と彼女に告げて、タンゴの踊れる会場探しだけ引き受けることにした。 どこにあるのかわからないものを、足で探して歩く、と言ってもそれだけの時間もないし、頼るのはネットで、ある晩、根気よくGoogleで探していたら、7年前の新聞記事ではあるが、「トルコでタンゴの踊れる店ベストテン」と言うシリーズ物にヒットした。 アンカラの2店を除く、8店舗の店名と場所のみ和訳し、電話番号を添えて彼女に送信すると、翌朝、たいそう喜んでくれた様子で返事が来た。私も確認のためにその店々のうち、2軒に電話してみると今も継続されており、もっと新しい店もあるはず、と教えてくれた。 タンゴのお好きなその女性の名を、仮に和貴子さんと呼ばせて貰うが、彼女は13日から数日カッパドキアに行ってみる気になり、そちらのホテルや飛行機もネット予約したと知らせてくれた。 また彼女は、「由美子さんにお世話になったお礼に、マドリッドから、もし召し上がるようでしたら、生ハム数種類とワインをお土産に持って行きます」と言ってくれたので、「もとよりどちらも私の大好物、滅多に豚肉製品、ましてや生ハムなど手に入らないトルコですから喜んで頂戴します」と返事を書き、ついに本日初対面を果たしたのだった。 空港に到着するのが5時過ぎ、諸手続きを終わって、7時か7時半にはホテルに着くかと思われる、と知らせてくれたので、私はガラタ塔の近くにあるらしいそのホテルの電話番号を携帯に登録して、塔の下までタクシーで行ったのだが、そこからが大変で、ホテルの人の誘導に従ってあっちだこっちだと坂を上ったり下りたり。険しい断崖のようなところに築かれた街がイスタンブールの新市街なのである。 通りがかりのおじさんに、レセプションの若者と話して貰い、ようやく目印の大きなホテルの前に行きついた。 そこからまた電話すると、彼がホテルの従業員を迎えに行かせる、と言うので待っていたら、大きなオートバイで現れたあんちゃんが、「テイゼ、後ろへ乗りなよ」と言った。 「えっ、こんなでっかいバイクにタンデムは無理だよ。第一、私の短い足がシートのところまで上がらないもん」 彼は大笑いで、「50メートルずつ走っては停まるから、後を付いてきなよ」とその通りにところどころで停まって待っていてくれたので、ようやくホテルに到着し、和貴子さんと初対面を果たすことが出来た。 旅慣れた人で、仕事の本拠地が香港なので、そちらで20年も暮らし、いまは日本にいるが娘さんとタツヤ君もすぐそばに住んでいるのだそうだ。 今度の3ヵ月に渡るヨーロッパ旅行の最後にイスタンブールを選んだものの、知っている人もいないので、タツヤ君に何気なく話したら「あっ、じゃあ、V子さんに相談してみよう、イスタンブールには、彼女のお母さんがいるはずだから」と言うことで、赤ちゃんの時にお向かいの隣人同士となった青年のひらめきで、和貴子さんと私は知り合ったのだった。 つづく 夕飯を食べにカラキョイのオリンピアット・レストランに行きました。 760ml入りの白ワインを2人でたちまち空けてしまいました。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年09月13日 15時26分31秒
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