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カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【11月7日・土曜日】 日本語が乱れるのを嘆く私が、率先してこんなことを言っていてはいけないのだが、トルコ語と日本語の間には微妙な相似点があって、トルコ在住の日本人達が集まっていると、かなり両方の名詞、動詞、形容詞が入り混じってちゃんぽんに使われても通じてしまう、と言う現象があるので面白い。 このところ、7~8年前から激しくなった中国の弾圧を逃れて、新疆ウイグルからトルコに移住するウイグル人の数が年々大きく増加しており、それに従って金角湾とマルマラ海に囲まれたファーティヒ区に、たくさんのウイグル料理屋が出来たのだった。 私にも19年前に知り合ったウイグル人で、ヤースンさんというガイドの友人がおり、彼の結婚式や2人の息子さんのスュンネット(割礼式)にも招いてくれた大事な友人の一人である。 1997年、一つ目のレストランを乗っ取られた後、二つ目を開けるための準備期間中に彼の友人夫婦に紹介して貰い、ウイグル麺の打ち方を習いに行ったことがあり、それをもとに私はうどんや冷麦、引いてはかんすいを入れて試行錯誤を重ねつつ、中華の細い縮れ麺なども作れるようになったのである。 私がウイグル料理を初めて食べたのは、ヤースンさんに連れて行って貰ったゼイティン・ブルヌのとある店で、ウイグル・レストランとしては草分けの一つだそうだ。 私のウイグル料理愛好度はかなりのものなのである。最近はゼイティン・ブルヌよりも半分の距離にあたるアクサライの料理屋に行っているのだが、私の友人達の多くもアクサライにある数軒の店にそれぞれのごひいきがあるらしい。 そして誰ともなく言い始めた「ウイグル料理を食べに行く」が「ウイグルする」になり、さらに縮めて「ウイグる」となって、今はほとんどの現地在住の日本人に通ずる共通語と言ってもいいほど広まっている。 ウイグります→ウイグるとき→ウイグれば→ウイグろう→ウイグってる→ウイグったら→ウイグっても、などなど、五段活用?も出来る。(ハハハ!) さて、本日は美保子さんの帰国祝いに、みんなでウイグることになった。美保子さんがみんなに渡す日本土産と、以前イスタンブールに急用で来てすぐに日本に帰ったみんなの友人の香織さんが、私達の女子会に持って来てくれたさまざまなお土産などをいっぺんに分配するためにも集まるのが一番で、女子勢は6人である。 あと、私のFacebook友達で、ボラさんという男性が加わった。ボラさんは私のことをかなり以前から知っていて、ジハンギルやタキシム広場でよく見かけたことがあるのだそうだが、声をかける勇気が出なくて(そんなに高貴な顔で歩いていないと思うけどね~)、つい最近になって、やっとご対面を果たした中堅弁護士である。 私は夕飯のことを考えて昼は抜きにしたのに、夕方うっかりして精進揚げを作ったとき、ウイグりませんかと言った張本人なのに、一つ味を見たがために、夕飯のことが一瞬頭から飛んでしまったか、うまい、もう1個くらい平気だよね、と思っていたのに、結局腹いっぱい食べてしまった。 味だけ見たら明日のおかずにするつもりで一つつまんだら、やめられない、止まらない。 それが出かける時刻が来ても消化しないので、太田胃酸をたくさん飲んで出かけたのだけど、胃の中が満タンで、胃の入り口・噴門の近くまで詰まっていて、私が青ざめた顔で現れたので6人の仲間はびっくりしたのだそうだ。 そういうわけで、私はチュチュレという餃子スープを少しと細切りのジャガイモの炒め物を少し、いつもの自分では考えられないような食欲の無さである。ジャガイモですら、ほんの少々手を延ばしただけだった。 総勢7人、これだけ日本人が揃うと賑やかです。 美由紀さん、早苗さん、美樹さん、美保子さん、ナミキさん。 会計はみんなで明朗会計の予定だったが、ボラさんに「6人もの女性に囲まれ、ハーレムで美女達をはべらせたスルタンの気分を味わえたでしょう」と私が言うと、「はい、お陰さまで」と全部払ってくれた。技あり。 美保子さんが香織さんのお土産も一緒に入れてくれた袋をみんなが貰って、それぞれの帰途についたが、ボラさん、美由紀さん、ナミキさん、私の4人はタキシム広場方面へ行くので、ボラさんが捉まえてくれたタクシーですんなり到着した。広場から少し歩くとトゥルンジュ・パンパンがあるので二次会をしに行った。 ここでは私達3人が分担してボラさんに払わせまいとしたが、彼は「駄目です」ときっぱり。私達もそのうちまた、みんなでウイグりましょうねえ、と約束して別れたのだった。 ボラさん、ご馳走様でした。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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