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カテゴリ:イスタンブール新発見/再発見
【12月10日・木曜日】 猫達がみとれている下の写真は何かと言うと、日本の座敷箒と全く同じ材料、つまり、箒草から作られた、トルコの箒である。 見た目はそっくりだが、日本と違うのは、これはお座敷や室内で使うのではなく、道路や庭やアパルトマンの玄関前などを掃除するのに使っている、高箒(外箒)だと言うことだ。 それに今日初めて手にとって見て分かったのだが、加工の仕方が日本の座敷箒ほど工夫されていないので、柄と箒の取り付け部分がぼってりとしていて重い。さらに柄は竹ではなく、木製の棒に取り付けてあるのでいっそう重いのである。 20年以上も前にイスタンブールに来た時、朝のうちに商店街で、店の人々がこれで表通りを掃除しているのを見て、えーっと驚きの声を上げたことを覚えている。 トルコの屋外の掃除用箒。猫のいるところに置くとたちまち駄目にされそうです。 手の込んだ、日本の座敷箒の編み方。芸術的ですが年々生産量が減り、絶滅危惧品種かも。 さて、今朝はあいにくの雨模様。寒いけれど、居住許可証の申請に必要な住民登録票を貰いに行くつもりだった。オスマンが「ジャポン・テイゼ、朝の買い物サービスが終わったら、住民登録課について行ってやるから、行く支度をして待ってな」と言ってくれたので、彼の帰りを待った。 市役所のベイオール支所はイスティクラール通りのチェティンカヤ百貨店のすぐそばにあり、チュクルジュマからイスティクラール通りに抜ける道の一つの急な坂を息切れしながら上って行った。 こういった用事をよく頼まれるのか、オスマンは慣れた手つきで2階の住民登録課に私を案内し、番号札を取ってくれた。 「3~40分くらい待つかもしれないから、廊下の端のベンチに座っていな、ジャポン・テイゼ。番号が近付いたら呼びにくるよ」 結構混雑していたが、実際40分くらい待ったところでオスマンが迎えに来てくれてすぐに係員の前に座ることが出来た。 超ベテラン風な係員ラマザンさんは私のパスポートと今年2月に取得した居住許可証を確認し、住所も入れて住民登録票を刷りだし、オスマンに「向かいの窓口でハンコを貰ったら出来上がりだよ」と言い、彼に手渡した。住民票は無料だそうだ。 「次にどこへ行くんだい?」 「ヴェシカルック(証明写真)を撮りに行くんだけど、ズムリュット写真館かな」 「よし、じゃあ、とびきりいい近道を教えてやろう、ついてきな」とオスマンは極めて機嫌がいい。 近道で曲がり角に出ると、「ああ、ここに出るのか」と言うような場所に出た。ちょうどその辺りに2軒並んでナルブレ(生活雑貨、掃除道具、ペンキ、電灯、いろいろなものがある)があり、ピンク色の風呂の水桶が買いたかったので、店に入ると入り口に何本も立てて売っていた箒も目についた。 これで掃除するかどうかは別として、これから大掃除もしなくてはいけないことになるので、威勢づけにご祝儀で1本買うことにした。雨はもうほとんど上がっていた。箒はオスマンが担いで帰ってくれると言うので、分かれ道のところで私はズムリュット写真館に向かった。 ところがちょうどスラセルビレル通りに出てドイツ病院の入り口を過ぎたところでみぎ側、半地下の商店が何軒かあり、その中に間口1間(180センチ)の小さな写真屋があったので、つい入ってしまった。 4枚撮ったと思ったら、ポラロイド・カメラらしくすぐに出来上がって、修正もなしにそのまま渡された。6枚で25リラとのこと。ま、これならいいか、という程度の出来なのだが、早い仕上がりで何よりだ。その足でコピー屋に寄り、パスポートと居住許可証の写しも出来た。 明日はこれを届けに行こう。雨でもあり、もう寄り道しないで家にまっすぐ帰った。夜、オスマンが箒と水桶を届けに来てくれた。 そして、冒頭に書いたとおり、猫達がこの風変わりな物体に興奮して次々に見に来た。 私の方は、と言えば、箒草があるのだから、「とんぶり」も収穫できるはず、とすぐに話題が食べ物に飛んでしまう。トンブリとは、別名畑のキャビア、箒草の実である。 ああ、秋田名物のとんぶりをたっぷりと千六本に刻んだ山芋の上にかけて、醤油味であったかいご飯が食べたいなあ・・・ 左:とんぶり プチンプチンと歯ごたえもキャビアそっくり 右:ほうき草畑で色づいた秋のほうき草 2枚目、3枚目、4枚目の写真はGoogle画像から拝借しました。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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