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カテゴリ:やっぱりトルコが好きな私
【12月11日・金曜日】 二日続きで寒い上にあいにくの雨である。私は今日、あちらこちらに届け物があって大きなトートバッグが膨れている。 居住許可証更新申請の代行業者ベイチェットさんとは、彼があまりに忙しいので滅多に会えず、夕べ書類が揃ったので電話をかけ、あしたSGK(社会保険事務所)のオメルさんのところで会いましょう、と12時ちょうどに約束したが、私の乗ったタクシーが渋滞で5分余り遅れ、ベイチェットさんはベシクタシュでの用事が長引くので午後遅くなる、との連絡があった。 そういうわけで結局書類と申請手数料などは保険事務所の係長オメルさんに預かって貰い、雨の中を歩いて1時半頃軍事博物館に行き、今日はメティンさんにもデニズさんにも用事があったので、デニズさんにメティンさんの部屋まで来て貰った。 日本で美樹さんに調達して貰った子供用の玩具をデニズさんに届け、彼がコンサートのための着替えに出て行くまで、1時間余り入れ換わり立ち替わりやってくるメフテル隊員の人達も混じって賑やかに過ごした。 メティンさんには前回来た時に、新しいパンフレットとCDを2つ3つ頂きたい、と頼んでおいたら、彼は6~7組用意していてくれたようで、袋がずっしり重かった。 彼は私が地方都市に行く前によくこうして持たせてくれるのである。メフテル軍楽隊に興味のある人に、イスタンブール土産としてあげるといいよ、と言って。 3時10分前、メティンさんが時計を見て私を促した。 「コンサートが始まるから荷物をここに置いて寒くないように上着を着てサロンに行きなさいよ。いま送って行ってあげるから」 私は言われるままに荷物や傘はそこに置いて、立ち上がるとメティンさんはエレベーターで2階のコンサート・サロンまで連れて行ってくれた。 そして最近入隊したばかりの新しい兵卒の1人に、コンサートが終わったら、このご婦人をエレベーターに載せて、間違いなく私の部屋までお連れしなさい、と申しつけて戻って行った。 コンサートはもう、今年は特に何十回というくらい観賞しているのだが、毎度楽しく見せて貰い、終わると先ほどの若い兵隊さんに送って貰ってまた戻ってきた。 冬場はいつもこんなところからサンジャクタル(旗手)達がまず出てきます。 今日はナッカーレゼン・バシュ(二連太鼓のリーダー)は、ムサさんでした。 かつて私を道案内してくれて軍事博物館の地下道に迷い込んだことが・・・ かっこいいキョスゼン(大太鼓奏者)のシェラフェッティンさん。 デニズ少佐、演奏を終わり、行進のしんがりに戻ります。 実は、デニズさんはケン玉をやっています。 するとほどなく、着替えたデニズさんがやってきて、開口一番「加瀬さん、コンサート見に来ていましたか。私には全然見つからなかったけどどこにいたんですか」と聞いた。 ああ、そう言えば私は赤いフェルトの、つばのない帽子を、いつものつば付きの帽子のようには脱がず、そのまま目深にかぶっていたので、前の方で見ていたのだが私とは気付かなかったのかもしれない。 「あなたとお揃いのつもりでその赤い帽子を被っていたのよね」と私は笑いながらテーブルの上に置いた帽子を指差した。 「オイレ・ミー! (そうなんだ~)」とデニズさんは目を丸くした。 ほどなく私が暇を告げて外に出ると、メティンさんが出口まで見送りに来てくれた。すると出口で出会った数人のチェヴゲン(コーラス)達やナッカーレゼン(二連太鼓)のムサさんがいて、ぞろぞろと私を取り囲んで、送迎バスの出発を待つ間、カンティン(喫茶室)でチャイでも飲もう、と誘ってくれた。 1994年に和歌山に行く際、同じ飛行機で成田まで行った当時の仲間の人々だった。20分ほどそのときの話がはずみ、チャイをご馳走になって、やがて時間が来て外に出た。 みんなと別れ、私は大通りに出てエミニョニュ行きのバスに乗った。美由紀さんに留守中の猫の面倒を見て貰う話になっていたが、もし美由紀さんが日曜日に引っ越しをしたあと、不都合な日があったら、美保子さんが見てくれる、と言う話になったので、もう一つのスペア鍵を届けに行ったのである。 彼女の店の仲間達みんなが私の帰途を心配して、電車、バス、いろいろ家に帰る手段はあるけど、雨でもあり、荷物もあるのでタクシーがいいよ、と勧めてくれたので、バスでタキシム広場、そこからタクシーと言うより、ダイレクトにタクシーに乗ってしまった方がいいな、と私も思い、彼らの勧めに素直に従って、タクシーで戻ることにした。 そのとき、電話が鳴って、SGKのオメルさんから「夕方、ベイチェットさんが来て書類を渡したからね、マダムカセ」と知らせてくれたのだった。 小学校4年生のお嬢ちゃんに小さな土産を託したので、彼女も電話に出てお礼を言った。賢そうなはきはきした子だ。またいつか会おうね、と約束して電話を切った。 道々、今日出会った人々みんなにとても親切にして貰い、非常に心が温まり、帰りの運転手さんも親切だったのでお釣りはそのままおいてきた。 こういうのを幸せと言うのだろうなあと大満足で家に入った。猫達も喜んで右往左往している。餌をやる手もなぜか弾んで嬉しい一日だった。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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