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madamkaseのトルコ行進曲

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 marnon1104@ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
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 madamkase@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) ひなのさん、おひさしぶりです。 トルコは…

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2016年01月18日
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【1月18日・月曜日】


 美由紀さんは今朝、エブルの美樹さんから頼まれ「ISTANBUL GAZETESI」という新聞を探していたところだと言った。ところが、Sabahとか、Hurriyetとかのような大新聞ではないとみえて、いくら売店を探し歩いても見つからなかったのだそうだ。してみると販売部数も限られていて、どこにでもあると言うわけではないのだろう。

 美樹さんももちろん朝からウスキュダルの船着き場にまで行って、大小の新聞販売所にも聞いてみたのだが見つからず、もしかしたら、ヨーロッパ側ならあるかもしれないというかすかな望みを託して美由紀さんに頼んだものの、美由紀さんもタキシム広場周辺をくまなく歩いても見つからなかったらしい。

 美樹さんは、いままでにも日本人がトルコの伝統芸術であるエブルをやっている、と珍しがられて2~3度新聞の取材を受けたことはあるが、今度のルポルタージュは、新聞の1ページ全面を使った記事だそうだ。

 シャーミル・クジュルさんという有名なジャーナリストの取材で、どこかで聞いた名前だと思ったら、コンヤのポストニシン様や作家のメラーハット・ウルクメズ女史とも親交があり、そのお2人は言うに及ばず、いつのまにか私まで彼とFacebook友達になっていたのだった。


 仲のいい美樹さんのためなら、と美由紀さんは今朝から新聞を探していて歩き疲れたのか元気がなく、ビールを飲んだだけで、料理はほとんど食べなかった。私の方は早朝から起きていたのに、ご飯を食べている暇がなくて空腹だったので、美由紀さんが半分しか食べなかった残りまで食べてしまった。

 うちに帰る途中で私も新聞のある店に聞いてみるわね、と約束して午後1時半過ぎ彼女と別れ、坂を下ってユルマズさんの店に行った。X青年からのお土産を預かっていたからである。

 坂道を下りきって交差する道の右奥を見ると、向こうの方にユルマズさんの白い頭が見えた。よかった、よかった、お土産をすぐ渡すことが出来る、と私は彼の店に急いだ。

 Xさんのお金が戻ったことを告げると、ユルマズさんも喜び、私はXさんから預かっていた土産物をユルマズさんに渡してまたジハンギル方向に向かい、新聞を売っている幾つもの店に聞いてみたがジハンギルですら全然ないのだった。

 さすがに私も歩き疲れ、また雪がちらつき始めたので家に戻った。4時頃になると雪は吹雪に変わった。新聞は売れ残ると翌日にはもう回収されてしまうので、今日のうちに探さないともう手に入る望みはなくなる。美樹さんに電話して、新聞社の住所や電話番号を教わった。

 そのサイトをみると、創業以来67年と言う、なかなか暖簾の古い長命な新聞だと分かった。住所を見ると、なんとシルケジからスルタンアフメットの間くらいにあるらしい。私はウスキュダルのアフメットさんに電話をかけてみた。

 これこれしかじかと説明しているうちに、彼はもうコートを着て外に出たと言う。私が何をして貰いたいのか、一発で分かるようで、もう、まっすぐに船着き場に向かって歩いている、と言うのだった。

 この吹雪で飛行機の大半は欠航になったが、まだボスポラス海峡を渡る連絡船は動いているらしく、アフメットさんがその次に電話をくれた時はもうモトール(小型船)でヨーロッパ側に渡り、シルケジのトラムワイの線路道を歩いているところだと言った。

 30分もするとまた電話が来て、新聞社を訪ねて、残っていた今日の新聞を6部、無償で貰ったと言う。そしてなにか飲みたいもの、食べたいものがあったら買って行ってあげますよ、というので、コードレスのマウスに使う単三乾電池を頼んだ。さっき帰宅したらマウスの電池が切れてしまっていたのである。

 彼は新聞の入った紙袋を大事にコートの内側に仕舞い込み、吹雪に逆らって、鼻の頭を真っ赤にしながらわが家に到着した。手にしたビニール袋には、バナナやひと口ケーキやビスケットの類がいっぱい入っており、頼んだ単三乾電池だけでなく、単四乾電池まで入っていた。

fubuki  
こんな吹雪の中を、美樹さんの載った新聞を探してとうとう
新聞社まで行ってくれたアフメットさんに感謝、感謝です。


 どうせ絶対家には入らないのが分かっているが、社交辞令で「お茶でも」と言うと、「いやいや、この雪を見て下さい。積もると対岸に帰る足がなくなりますからすぐに失礼します、コムタン(司令官)」と答えて、さっさとエレベーターに消えて行った。

 厚紙の袋に入れた6部の新聞から、アフメットさんは1部だけ抜いてそれをまた懐に入れ、帰ってしまったのである。ぴかぴかの新聞、と言うのも変だが、16ページ建ての新聞はインクのにおいがしそうにきれいだった。

 あとは私と美由紀さんが貰っても3部美樹さんに渡してあげられる。私はすぐに美樹さんに電話してアフメットさんのお陰で新聞が手に入ったことを知らせた。

gazete1  
16ページ建てのISTANBUL GAZETESIの、第一面にまず見出しが。

gazete2  
トルコの新聞、一般紙は日本とほぼ同じ大きさ、でもこれは違います。
幅が狭いけれど、上下に長く、美樹さんの記事は全面仕様です。


 もちろん彼女も大喜びだった。8時半頃夕食を食べるとじきに眠くなってきたので、今日は早目に寝ようと皿を片付けているところに美由紀さんから電話が来た。

「加瀬さん、実は2ヵ月くらい前に面接に行く話まで行った会社のこと、覚えています? そのときは指定された日時が私には不都合だったので残念ながら行かれない、とお断りしたらそれっきりになっていた、あの会社ですよ」

「ええ、あの会社がどうしたの?」
「面接に来てほしい、と言うんです。今日、お別れした後に電話が来たんです。水曜日の午前中、と言うことで、どうなるかわかりませんけど、とにかく行ってきますね」
「へええ、凄いわねえ。こんなときに」

 昨年、渡航禁止になっているのにトルコ経由でシリアに潜り込んだ2人の日本人男がISに捕らわれ、人質とされたが見せしめに処刑されたせいで、トルコは日本外務省によって、最も危険な地域の烙印を押され、ISからは今後は日本人をも標的にする、などと宣言されてしまったため、日本人観光客のピヤサ(市場、マーケット)が一挙に崩壊、そのあと続々と起こるテロ事件で、トルコの観光業界が重大な危機に陥ったのだった。

 私がこんなときに、と言ったのはそのせいで美由紀さんも1年間たいへんな目に遭って来たからである。もちろん美由紀さんだけでなく日本人相手の業界はドドッと落ち込み、何とかやっていた欧米や日本以外の東洋人を相手のピヤサも、この12日にスルタンアフメットの自爆テロで、水爆を落とされたくらいの大ショックを受けてしまったのである。

 勿論就職口などいくら探してもない時に、突然の面接通知。美由紀さんを呼んだ会社は、昼間私が顔を出したユルマズさんの友人が要職にあり、最初にユルマズさんに話の来た頃からするともう3ヵ月くらい経っている。

 一度面接はあったものの、その友人が海外出張で不在だったので、彼の帰国後、呼び出しがあったのだが、前の職場にいた頃で勤務中に当たり、断るしかなかったのだった。それきり立ち消え状態だったため、もう駄目だろうと美由紀さんも諦めていた話だった。

 私には予知能力などないが、今度ばかりは彼女も面接で合格し、仕事を得ることが出来る、となぜか確信出来た。このところ、私の周囲の人が幸せになっているので、私も美由紀さんに「あなたもうまく行くような気がするから希望を持って面接に臨んでね」と励ましたのだった。








   かに座さそり座いて座
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madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)




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Last updated  2016年01月26日 18時15分11秒
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