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カテゴリ:イスタンブール日々新たなり
【1月20日・水曜日】 午前11時39分、待ちに待った美由紀さんからの電話が鳴った。 「加瀬さ~ん、採用になりました!」 「うわーっ、おめでと~~~うっ! ほらー、大丈夫だって言ったじゃない!」 私、ほとんど泣いてる状態。 「じゃあ、祝杯上げよう、トゥルンジュ・パンパンでお昼も一緒にどう?」 「あ、私今日、美樹さんのところで3時から油絵教室の生徒さんのおやつの時間に招待されているんです。それに間に合うようなら」 「あらら、じゃあそれに合わせて私が一緒に行けば、私からは美樹さんに新聞を届けてあげられるじゃない。ちょうどいいね!」 かくて私達は12時にまずはユルマズさんの店に行って報告をし、それからトゥルンジュ・パンパンで祝杯を上げることになった。 美由紀さんの電話が来た時、私はちょうど風呂から上がったばかりで、洗濯物を干したのでちょっと遅れ、12時15分くらいにユルマズさんの店に着いた。すると美由紀さんも一足早く着いていて、採用が決まったことを報告したと言うので、接客中のユルマズさんにはまたあとで来ますと告げ、私もお礼を言って外に出た。 トゥルンジュ・パンパンではガルソンのアポさんが迎えてくれた。今年に入ってどこもかしこも値上げをしたと言うのに、この店はいまでも50dl(500ml)が1杯10リラ(385円)、33dl(330ml)が1杯8リラ(308円)と言う値段である。そして何よりもいくら飲んでも安心な明朗会計なのである。(2016年1月20日のレートによる。) 先日のぼったくり事件の起きた11月27日のレートからすると、自爆テロ以来トルコリラが急落して、対日本円兌換率も高くなってしまっている。つまり日本円で計算すると当時よりもっと安くなっているのである。 美由紀さん、おめでとう。ガルソンのアポさんもポップコーンの大サービス。 苦節一年、我慢強い美由紀さん、悪運に土俵際うっちゃりで勝ちました。 2人とも50dlのジョッキで景気よく乾杯した。1時半に店を出て、タキシム駅でフィニキュレルに乗り、カバタシュのモトール埠頭(小型船専用)に急いだ。風は冷たいが雨も雪もなく、小型船は順調にウスキュダルのモトール埠頭に10分ちょっとで到着、そこからはタクシーで美樹さんのいるアトリエに着いた。 昨日の朝と違って今日はまずまずの天気、小型船でウスキュダルに渡ります。 パムックはアトリエに住みついているお母さん猫。可愛い顔して髭が濃い。 「パミュパミュちゃ~ん」と呼びたいくらい可愛い猫です。 こちらもメス猫ボンジュック。可愛い顔して噛みつきます。 美樹さんが、その猫噛みつきますよ~と言った途端に噛みつかれ、いてて! 3時のお茶の時刻にはまだかなりあるので、アトリエに住み着いている猫達と遊びながら過ごした。先生夫妻はタイに展示会があって出かけているが、水曜日ごとの油絵教室も賑わっていた。 やがて住み込みの用務員の青年が、生徒達の持ち寄ったお菓子やパンを山盛りにしたお盆や皿を運んで来て、チャイの用意を整え、ほどなく3時、みんな手を休めてサロンのテーブルの周りに集まって盛り付けとお茶飲み、そしてお喋りが始まった。 私の分は美由紀さんが盛り付けてくれたのでそれを頂きながら、美保子さんが今日引っ越した家の方はどうしたかな、と考えていた。 もとの飼い主が病気の犬を飼い切れず、バルナック(収容所)に送られそうになっていたのを引き取り、獣医にかけて面倒を見ていたところ、同じアパルトマンの住人から苦情が出て、転居しなければならなくなった美保子さん。 毎日ネットで貸家を探していたのだが、数日前、見に行った物件が「外国人でも犬を買っている人でもいい」という、寛大な条件で、しかも現在の家賃と同額、という願ってもない話に、即刻手を打って、今日がそこへの引っ越しだったのである。 それにしてもよかった。 美樹さんはたとえローカルタイムズであろうと、新聞の全面記事に取り上げて貰えるほどのチャンスがあったし、美保子さんにはこれから暮らしを共にする犬と、安住出来る家が見つかったし、美由紀さんは安定した会社に採用されることが決まったし、これでみんなが明るい気分で過ごせる。 5時で油絵教室は終わり、みんながそれぞれの作品を抱えて帰り、油絵の先生も帰って、美樹さんとグラフィック・デザイナーのシェイマさんも6時になるとパイドス(終業)なので、私はウスキュダルへのバス乗り場を教わって帰ろうと思ったら、美樹さんが「由美子さん、せっかくですから、うちのパシャにも会って行ってやってください。一人で留守番していますので」と言うので、彼女の家に寄って行くことになった。 美樹さんのヨルダッシュ(道連れ)、猫のパシャはFacebookで写真だけはよく見るのだが、実際に会うのは初めてだった。アトリエから坂道を上った程遠からぬ所に美樹さんが借りている家があった。 パシャはおととしから美樹さんが留守の度に、美由紀さんが泊まりがけで面倒を見に来ているので、彼女には慣れていた。私のことは他のたくさんの猫のにおいを嗅ぎ取ったのか、あまり近づこうとしなかった。 おばちゃん、だれ? 僕はおばちゃん、知らないよ。やだ~! やっぱり美樹さんにはぺったり甘えるパシャ。わかったよ~。 美樹さんが私達にマントゥを茹でてくれる間、おとなしく美由紀さんの膝に座っていたが、美樹さんが台所から出て来ると、あちこち飛び回り、はしゃいでいるのが分かった。無理もない。昨年この家に引っ越しして以来ずっと、24時間まったく外に出して貰えなくなったからである。 それはさておき、美樹さんの茹でてくれたマントゥは、近くで小さな店を営んでいるおじいさんの手作りだそうで、とても美味しいものだった。8時までは営業している、とのことだったので、美由紀さんと一緒に店に寄り、それぞれ500gずつパックした冷凍のマントゥを買った。 ポン酢醤油はKikkoman Kikkoman 明石家さんまさんのコマーシャルを 思い出させるKikkoman Kikkomanは、わが日本のふるさと野田の名物。 あ、いけない。これは味ぽん、でしたか。失礼をばいたしました・・・ ウスキュダルからカバタシュには10分ちょっとの船旅です。 バスに乗り、ウスキュダルの船着き場に着くと、カバタシュ行きのモトールが出航寸前だった。運良くそれに乗れたので、またカバタシュからフィニキュレルでタキシム広場まで上り、昼は美由紀さんがビール代を払ってくれたので、今度は私がどうしても飲みたいからと誘って、またトゥルンジュ・パンパンに寄りこんだ。 かくて家に着いたときは、猫達が「遅い!」と言って大騒ぎ、すぐに外猫にもキャットフードを配りに行き、そのあとうちの猫にも缶詰を開けてやった。 猫達には説明しても多分分からないけど「いいじゃん、勘弁してよ、今日はちょっといいことがあったんだから~」と言い訳しながらの餌やりになってしまった。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年01月27日 07時41分28秒
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