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カテゴリ:食べ物シリーズ
【1月28日・木曜日】 ずっと続いた悪天候も少しずつ回復の兆しが見えて来た。 最近初めて青い空が広がり、チュクルジュマの上空を飛ぶカモメ達も爽やかに見えた。 チュクルジュマ通りの向こう側にあるファイク・パシャ通りの家並です。 屋上にカモメの夫婦がいます。青空が広がってきれいなイスタンブール。 後ろのビルが去年増築して1階分高くなり、飛行機が見えなくなりました。 1月27日(水)撮影 この月曜日(25日)、久々に掃除機をかけようか、と組み立てたところで、突然停電となり、結局掃除もパソコンももうなにも出来なくなった。時計を見ると午後4時、余りにいつも同じパターンになるので、苦笑しながら、美由紀さんに電話をしてみた。が、外にでもいるのか聞こえないようなので、ではこの間に少しでも寝た方がトク、と覚悟して6時に目覚ましをかけて横になった。 が、途中でかかってきた別な人からの電話で目が覚めて、5時少し前だったが既に電気が来ている様子だったのでもう寝てはいられなくなった。かと言って、出鼻をくじかれたので掃除はやっぱり明日にしようと、食事の支度をし、猫の餌を早目に配ろうとして1匹足りないのに気がついた。 アルスだった。あ、そう言えば昼間、最近使っていない東の部屋に、タオルを取りに行った時に、するするっと後ろからアルスが偲びこんだのを見たのだが、ベッドの下に潜んでしまい、あとで出そうとしていたのをすっかり忘れてしまったことを思い出した。 急いでドアを開けると、弾丸のように白黒猫が飛び出してきて砂箱に飛び込んで行った。 うわ~、もうどうしようもない。寝室はもっと何週間も前にアルスとマヤちゃんにいっぺんに入り込まれ、タクシーを呼んで外出する寸前だったため、どうしようもなくそのまま出かけ、夜帰宅するまで散々蹂躙された後を、数日前からやっと少しずつ片付け始めていたところだった。 それが・・・もとの黙阿弥、もう元気出せないよ。 マヤちゃんは余り暴れないが、アルスはタンスの上からベッドに飛び降りるほどのお転婆娘なので、6畳間くらいの寝室を縦横無尽に跳び回ったらしく、片付け始める前よりももっとめちゃくちゃ、わが千葉県東葛飾地方の方言で言う「踏んづぐんづ」状態になってしまっていた。 もっと早く思い出せばよかったのに、コロリと忘れてしまったつけは大きい。さらに仕事が増えてしまってがっくりしたが、まあ、身から出た錆、♪ だぁれのせいでもありゃしない。 夜7時台のニュースによると、ヨーロッパ側の広域な一帯で起きた停電であり、3~40分後にはほぼ全域で復旧した様子だった。いつも掃除をする、というときに、またしてもどんぴしゃりのタイミングで、そんなに広域の電気が切れてしまったのだった。 イスタンブールの、特に私の住むチュクルジュマで、私が本格的に掃除をしようとすると、停電や断水が起きると言うのは、もう予定調和のようになってしまっているし、ゆるぎないジンクスでもある。 次の日の昨日朝、美由紀さんから電話が来て「昨日の夕方、お電話いただいていたようですが、外にいたので気がつかず失礼しました。何かお急ぎのことでも?」と聞かれた。 「いえ、急ぎの用じゃないんだけど、私が4時頃かな、掃除しようと掃除機を広げて組み立てていたら停電になったので、またか、と思って、お宅も停電したのかな、って電話したのよ。ベイオールはもちろん、サリエルの方まで消えたんだって。」 「ああ、そうなんですか。私その頃アジア側にいましたけど、カドゥキョイは全然停電しませんでしたよ」 うむ、私のいるところだけどうしてこうなるの。私は前の晩、電気が来たのに諦めてしまった掃除を、今日こそはやるぞと、きりのいいところでパソコンを閉じ、昨日新しい水を入れたまま使っていない掃除機に手をかけた。 時計を見るとちょうど6時だった。突然部屋の電灯がまたしても消えた。停電だ~。 さすがに呆れてすぐまた美由紀さんに電話する。彼女の家の電灯は煌々と点いているのだそうだ。 「でも加瀬さん、きっと割合早く戻ってくると思いますから、あんまりがっかりしないでお掃除、頑張ってください」と美由紀さんは言った。 「明日の晩、うちに来ない? 10日の日曜日にあなたが持参してくれたビール、まだ飲まずに残してあるから、一緒にそれで何か食べようよ」 こうして停電が続いたおかげで、そのとき、明日は意地でも掃除して美由紀さんを家に呼ぼう、と思いついたのだった。 さて、いよいよ本日、「やるぞーっ」というような意気込みで掃除機のホースを掴んだりすると、どこかで見ている人、ではなく停電の神様がスイッチを切ってしまわないとも限らないので、そーっと目立たないようにサロンの片隅から、猫が散らかした大きめの紙くずや落ちているものを拾いながら少しずつ掃除機をかけた。 ときどき電話がかかってきたりすると中断することもあり、まあ、スイスイとは行かないまでも、どうやら美由紀さんなら我慢の出来る程度に掃除したので、彼女が到着してからほどなくとしお麺のうどんを茹で始めた。 久々にトッピングを華やかにしようと、美由紀さんにももやしの髭根を取って茹でて貰ったりしながら、お膳の支度が整った。 かくて2日続きで、停電にたたられたにも懲りず、誰かを呼んで一緒に食べたいという欲望を果たしたのだった。 美由紀さんは2013年の秋から近くで暮らすようになって以来、としお麺を食べたことはなかったのだそうで、それは私の手落ちだった、たっぷり食べて貰おうと張り切った。 お待ち遠さま。としお麺で夕飯の支度が出来ました。 美由紀さんとのツーショット。乾杯だ、乾杯だ。 美由紀さんがビールを注いでくれています。 あれれ、タマオ検査官がメインディッシュに大接近してきました。 クンクンクン、賞味期限の切れた切干大根などを使っていないだろうな? もしかするとトッピングとして載せるものの量が多すぎるのか、うどんは一つも見えなくなったが、味噌の塩味の加減もちょうどよくて、茹でたモモ肉(本当は胸肉を茹でて、細く裂いたものが最高)も美味しかった。 美由紀さんが「美味し~い!」と言うのだからまあ、本当に美味しいのだろうと納得。娘のV子も大好物の、おじいちゃんの遺産である。 私が健在であるうちはきっと、としお麺の肉味噌を作り続けることだろう。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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