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カテゴリ:食べ物シリーズ
【1月29日・金曜日】 美由紀さんと夕飯を一緒に食べた次は、本日の美保子さんとのランチである。昨日、美由紀さんは午後から美樹さんのアトリエに行ったので、例のじいちゃんの手作りマントゥを買って来て貰った。 美保子さんとはそれを食べようか、と思ったのだが、考えてみるとトルコ料理なら毎日食べているだろうから、和食の家庭料理の方がいいだろうと思いなおした。 ちょうど彼女は引っ越しのあと、勤めている店から休暇を貰っていたので、前の家の不動産屋からデポジット(敷き金)の一部が返ってくることになり、午前中にそれを貰いに行くので、帰りに寄らせて貰います、と連絡が来ていた。 美保子さんはミカンの皮の厚い伊予柑風な果物を土産にわが家にはしばらくぶりの登場だった。私も朝のうちから、小さな冷凍エビの残りを全部入れて、海老入り団子を揚げておいた。ブロッコリーを茹でて、ロンドンのユカさんからのお土産、「北海道産の黒豆」を出し、ご飯とみそ汁を作り、メインディッシュは野菜炒め。 ランチのメニューが揃って早速食事が始まります。今日はオレンジジュース。 オレンジジュースはトルコ語で「ポルタカル・スユ」と言います。 手酌で風情も何もありませんが、久々の面会で幸せ。 美保子さんとは、ちょうど2週間ぶり。自爆テロの現場に献花に行った時、 私のために段ボールを切り抜き、見栄えのいいボードを作ってくれました。 親子かな、姉妹かな。どっちでもいいやね~。 2002年頃に自分達のホームページに書いていたブログを通じて知り合いました。 彼女はムスリマー(女性イスラーム教徒)なので、アルコールと豚肉は禁物、私もそれなりの料理を作ったのだった。イスラーム教徒に障りのない食品は、トルコでも「ハラール・グーダ」と呼ばれ、私達外国人は事情を知らずにお土産に豚脂のエキスが入ったものなど、イスラーム教徒にあげてしまいがちだが、注意が必要だ。 「わア、嬉しい。加瀬さん、私もう、わんこを飼い始めてから、同じアパートの人達から苦情が出て、家を探すのに必死で自分では料理もろくに作れませんでしたよ。ご飯なんて本当に久しぶりです。ありがとうございます。 まだ、これから犬を獣医にも見せなくてはいけないので、余りゆっくりは出来ないけど、加瀬さんちの猫ちゃん達もみんな元気でよかった~」と言いながらも、彼女は久しぶりに膝に乗ってくるうちの猫達を代わり番こに抱き、頭をくりくり撫でてくれた。 毛糸のセーターを着ているので、爪が引っ掛かりやすく、私もマヤちゃんを筆頭にキウイやアルス、ミディエまでメス猫達は甘えてゆくので心配した。オスだけど、タンブルもお膝大好きな猫なので、彼女の膝が空くとすぐに狙って行くのだった。 このところ、冬至が過ぎて40日近くなるので、日脚も延びて来たため、暗くなるのも5時半くらいからである。幸いにいい天気だったので、今日は出歩く仕事を朝のうちにこなせてよかった、と美保子さんもホッとした表情だ。 しかし、トルコで単身暮らす日本女性には去年のIS人質事件以降の日本ツーリストの激減により、相当なダメージを受けているうえ、今年は新年早々、最後の鉄槌を下されたように、12日のスルタンアフメットの広場での自爆テロで、日本人だけでなく本当に、世界中から来るはずだったツーリストはどこの国からであっても激減してしまい、トルコ全体に不景気や死活問題が尾を引いていて、どうしても私達の話題も、言いたくないのだが心配ごとの方が多い。 それでもトルコを離れたくない人達はたくさんいるので、互いに励まし合い、買い物を控え、ないものは融通しあい、じっと不遇な時代を堪えているのだった。 美保子さんはアジア側に引っ越したので、前の家の近所で世話していた野良猫達とは別れなくてはならなかったが、今面倒を見ている犬は、環境が何度も変わったせいか、生後6ヵ月の子犬だと言うのに皮膚病にかかってしまい、それが可哀想でならない、と薬を飲ませたり、患部に軟膏をすり込んでやったり、相変わらず面倒見のいいところを発揮していて、犬もすっかりなついているらしい。 「みんな、うちの犬を見ると、ヒャー、チルキン、チルキンと言うんですよ」と笑ったが、「ブルテリアという種類はみんなそうなのだから、仕方ないよ。皮膚病がすっかり治って毛が生え揃えば、いくらか可愛くなるんじゃないの」と私も、余り慰めにならないことを言うしかなかった。 参考写真 Google画像より拝借。 これがブルテリアちゃん。この子も生後4~5ヵ月くらい。 チルキンというのは、醜いとか、不細工、という意味なので、まあ、もともとそういう犬だから仕方ないが、愛情は何物をも乗り越えることが出来ると思うので、美保子さんが実家に残して来た犬のジャン・カルタルにかけてやれなかった愛情を、この犬に注いでやろうとしていることがよく分かった。 食後、美保子さんが汚れた皿小鉢を手早く洗ってくれている間に、私は猫の砂箱を清掃し、2人でこぶ茶を飲んだ後、昨日美由紀さんに頼んで買って来て貰ったマントゥを半分包んで持たせ、「里帰りした娘を送り出す母親」のような心境で彼女を見送ったのだった。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月05日 01時17分04秒
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