|
カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【5月8日・日曜日】 うちの娘V子の友達で、日本で2年間勤務していたトルコ青年エフェさんの職業は特殊部隊の警察官。昇任試験に合格して1年前アンカラに召還され、今は役付者としての研修を受けているため、専門の学校に通う日々だそうだ。 日本で知り合い、将来を約束したマキコさんが、GWの休暇で4月29日にトルコに到着、アンカラで再会した2人は、マキコさんの帰国を前にイスタンブールに住む姉のアイシェンさん夫妻の家に身を寄せて、今日私を訪問してくれたのだった。 爽やかなカップルを軍事博物館の大砲の前庭で迎えることになった私は、午後2時ちょうどに到着したが、2人もほどなく正門から車で入って来た。車には姉のアイシェンさんと2人の坊やも同乗しており、私を見つけるとマキコさんがニコニコと助手席から降りて駆け寄ってきた。 後から、アイシェンさんの夫君のエンギンさんも3時までには駆け付けて来ると言う。若いカップルから見るとV子は姉のような存在で、エフェさんもマキコさんも声を揃えて、「お母さんは、V子さんにそっくりですね」と言うのだった。 「あら、ほんと? V子が私に似ているのかと思っていたわ、今まで・・・」と私も微笑んだ。 デニズ少佐に電話してみると、既にコンサートのために出勤して来ていて、電話に出た途端に「あ~、加瀬さん。母の日おめでとうございます」と明るい声が聞こえた。 私は「突然で済みませんが、先日の伊久子さんと同じく、今日、日本からの訪問者があって、メフテル・コンサートにお誘いしました。コンサートのあと、じきに失礼しますが、ぜひ少佐にご挨拶だけはしたいと思います」と言うと、 「すぐに出てしまわれるのですか。それは残念ですが、ではせめて記念撮影をご一緒に」とデニズさんは言った。 かくてみんなで軍事博物館のカフェテリアに座り、チャイを飲みながらエンギンさんを待ち、3時近くなって長身のエンギンさんが到着、揃ってコンサート会場に急いだ。警備隊長のセダットさんが全員で並んで座れる場所を探して、舞台から見て左翼の前から二列目に案内してくれた。 メフテル紹介映画が終わり、いよいよ入場行進が始まると、まあ、やっぱりトルコ人の家族はメフテル軍楽隊が大好きで、エフェさんも義兄のエンギンさんも姉のアイシェンさんまで乗り乗りになっている。 メフテル軍楽隊の入場直前、場内はざわついています。嬉しそうなお2人さん。 舞台に勢揃いのメフテル軍楽隊 キョスゼン(大太鼓奏者)、今日はベテラン、イルハミ曹長が担当します。 デニズ軍楽隊長が1曲終わるごとに客席に敬礼します。 いざ演奏が始まると、勇壮なマーチの大音響でマキコさんはびっくりしたようだったが、じきに慣れてエフェさんと一緒に手を振り首を振り、うわ、これは完全に酔いしれて来たなあ、と思うほど。 すごいすごい、いっぺんに「メフテル軍楽隊の大ファン」の、おとな4人を獲得したぞ。もちろん2人の坊やも予備軍である。かくて初対面にメフテル軍楽隊のコンサートに誘う、という作戦は大成功で、コンサート自体はだいたい20分少々に構成されているので、退場行進の後、いつものようにメフテル・バシュのデニズさんが一度退出した後、ほどなく舞台の袖に戻って来て、1人1人と親しみをこめて挨拶を交わし、じっくりと関わってくれたので、つつがなく記念撮影を終えたのだった。 デニズ少佐を囲んでエフェさん、マキコさん、アイシェンさん、エンギンさんと子供達 マキコさんのビギナーズラック。カップルはデニズさんに会えてメフテルの大ファンに! みんな、デニズさんが演奏中は厳しい顔つきでも、向かい合うとたいそうスイートで、笑顔を絶やさないところにすっかり魅せられて、またいつか訪問したいと挨拶をして別れ、博物館の本館の外に出た。私はマキコさんと共にエンギンさん夫妻の車に乗せて貰い、あとの車にエフェさんが坊や達と乗ることになった。私達はエンギンさんやエフェさんの勧めでオルタキョイを目指した。 私はひたすら、渋滞に巻き込まれてしまうのではないかと心配したが、エンギンさんはどこからどこまでよくわかっていて、多少の回り道にはなっても、奇跡的に渋滞の道を全然通らずに、難なくボスポラス大橋の橋げたの下にある、「ポリス・エヴィ(警察官クラブ)」に連れて行ってくれたのだった。 昨日もオルタキョイでエブル・コングレスに参加したのだが、行きも帰りももう、大混雑で大変だったので、まして今日は日曜日の夕方、大渋滞に巻き込まれてしまうと案じたが、このエンギンさんは交通警察勤務、長官のアシスタント兼専属運転手だそうで、イスタンブール市内の道をくまなく知っており、どこを通れば渋滞が避けられるか、歩く交通情報本部みたいなお方。 ボスポラス海峡大橋の大きなゲートを背景に、女3人です。 幸せになってほしい、爽やかなカップル 崖の上にあるポリス・エヴィのレストランやカフェテリアからは、絶景かな、絶景かな、と言うほどの海峡の景色が余すところなく楽しめた。1時間ちょっとをそこで過ごし、トルコ語を知らないマキコさんとエフェさんは英語で会話、姉のアイシェンさんもエンギンさんも英語が出来るので、意思の疎通に困っていることはないが、やはりみんな結婚後トルコで暮らすマキコさん自身のためにも、トルコ語を覚えるようにと勧めるのだった。 覚えられるでしょうか、と私に不安げに聞くマキコさんに「若いうちに習ってしかも旦那さんがトルコ人だもの、じきに身につくはずよ、半年もすれば日常会話は大丈夫!」と答えた。何よりも、彼の話すトルコ語を早く理解できるようになりたい、という気持ちが大事だろう。 エフェさんのマキコさんに注ぐまなざしに優しさが溢れているのを見て、私は彼らと今日出会えたことを、心底嬉しく思った。ちょうど1ヵ月前、ボル県の温泉ホテルで行われたファーティヒさんとプナルさんの結婚式のあと、翌日には新郎の親戚や隣人と知り合ったことを思い出した。 帰り道、わが家の前に横付けしてくれるまで、チュクルジュマ通りと言っただけであとは全然ここからはどう行くの?などと尋ねなかったエンギンさんが頼もしい。 また友達が増えて嬉しいが、今の私は忙しすぎて、地方の友人達から「いつ来るの?」と矢のように催促されても、簡単に約束は出来ないのがどうにも口おしいことである。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[イスタンブールで人と会う] カテゴリの最新記事
|