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カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【8月18日・木曜日】 ベンセン・ウンリュオールさんのことは、以前にも書いたことがあるが、私が自分の店・かせレストランをイスタンブール北部のビジネス街から、家のあるジハンギルに移転した頃知り合った女性で、その頃はどこかにお勤めだったかと思うが、数年後ニシャンタシュに引っ越ししてから私もオルタキョイのレストランを最後に、料理屋稼業から足を洗ってしまったので滅多に会えなくなり、長い期間が過ぎて行った。 2012年10月に偶然、グランド・バザールの下車駅、チェンベルリタシュの手前にある「バスン・ミュゼシ(報道博物館)」の前で信号停止したトラムワイに乗っていて、目の前に、動物愛護をテーマにした絵画や写真の合同展示会の大きなポスターに、彼女の名前が見えたところから、「もしかすると・・・」とトラムワイから下りた後、聞きに行ってみたのだった。それはやっぱり、ジハンギル時代の友人、ベンセン・ウンリュオールさんだった。 果たしてそれが、彼女が写真家となって活躍している行事の一つであり、実に10年ぶりくらいの再会に繋がったのだった。私は、ジハンギルのかせレストラン時代に慣れ親しんだカモメ達を写したベンセンさんの作品を購入した。それを見るたび、懐かしいかせレストランから海を見下ろす光景がよみがえってくるのである。 この時の記事 こちらから 昨日、8月17日はベンセンさんの誕生日で、このところ、かなり長らく会っていなかったので、電話をかけてお祝いをいうと、明日はジハンギル方面に行くので会おうよ、と言うことになったのだった。 午後3時半、昔のかせレストランのあったホテルの向かい側にあるカフェで待ち合わせし、先ほど大急ぎで拵えた海苔巻きと、レイハンのリキュールをお祝いに手渡した。 ベンセンさんと久々の再会です。どちらもジハンギルをこよなく愛しています。 ジハンギルのとある喫茶店で座り、ベンセンさんへのプレゼントを広げます。(彼女の写真集から) 千香子さんを紹介しました。オーガニックの農作物生産は、 時代の先端をゆく仕事だとベンセンさんは大喜びしています。 そのカフェは「Momo」と言う名で、店頭には、千香子さんの野菜を売るコーナーがあった。千香子さんは4時にここに来る。私も今日は友人の澄子さんから注文のあった枝豆を千香子さんから受け取り、自分が届けに行く役目を買って出たのである。 ベンセンさんは千香子さんがジハンギルに住んでいることや、無農薬野菜の生産、販売をやっていることを聞いて、ことのほか喜んでくれた。彼女は今年の3月から、ジハンギル美化運動協会の会長に就任したのだそうだ。 もう両親は亡くなったが、ベンセンさんの相続した家がジハンギルにあるので、彼女は依然としてジハンギルの住人としてみんなが認めているのだった。ジハンギルの仲間に日本人がいることを、本当に掛け値なしに喜んでくれているし、ベンセンさんの人柄に、初めて出会った千香子さんもたいそう嬉しそうだ。 5時。名残惜しいが私は千香子さんから預かった枝豆と、まくわうりは私が前回たくさん買ったので、澄子さん一家へのお土産に3つ持ち、ジハンギルの交差点でタクシーを拾い、タキシム広場の東側にあるドルムシュの近くで降り、乗り換えた。 幸いにあと2人の客が5分もしないうちに現れたので、あまり待たずに出発出来たし、30分以上かかるかと案じていたのに、終点テシュヴィキエで車を降りた後、長い坂道を小走りで下って行ったので、発車して20分後には澄子さんのアパルトマンの前に立っていた。 ここでも枝豆はたいそう喜ばれて、枝に付いたまま持って来たので、澄子さんと娘さんが豆だけ外してみたら500グラムちょっとと出た。お値段は18.5リラだったが、澄子さんは20リラを2枚出してきた。 「こんな、畑から直送のをうちまで届けていただいて、本当に喜んでます。お釣りは結構です、と千香子さんに伝えて下さい。それから、わざわざ枝豆届けに来てくれるなんて、本当はうちの方でジハンギルまで貰いに行かなくてはいけないのに。これ、帰りはタクシーで帰って下さい。膝もこれ以上傷めないでくださいよ、加瀬さん」 私は澄子さんの好意を有難く使わせて貰うことにして、お茶を頂いた後すぐに席を立った。すると今日はタクシーの運転手さんまで親切な人に当たり、気分良く帰ってくることが出来た。私も豆をすぐにむしって見るとちょうど500グラムの量なので、財布から20リラ札を出してさっき預かったものと一緒にゼムクリップで止め、千香子さんに連絡を入れておいた。 うちの分の豆もちょうど500g、猫達がすぐお手伝いするふりで散らかしに来ます。 枝豆が結ぶご縁で、このところ夢のないトルコの現状で傷つきやすくなった在住者の気持ちが少しでも和むなら、こうして縁結びをしている意味もあると思って、私は大急ぎで猫達に餌を配ってやり、その夜はシャワーの時腰掛けて、深いバケツに充分に熱めの湯を入れて足湯でじっくりと温めた。 風呂から出るとほどなくチャイムが鳴って、もとカプジュのオスマンが扉の外に立っていた。 「ジャポン・テイゼ、おとといだったか、俺のうちにポリスが来て、俺のことあれこれ聞いたって? 何を聞きに来たんだい?」 「あら、私はこの頃昼からずっと出かけていたし、今日も少し前に帰って来たばかりで、誰が来たか、全然知らないわ」とさも興味なさげに答えたら、それ以上は尋ねようとせず、おとなしく引き上げて行った。 もはや、何かを知っていたにしてもこいつに話をすることはない。それにしても、誰かがこの男に私や他の住民の行動を告げ口しているのかもしれない、気をつけなくては、とふと思った。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年09月05日 18時13分05秒
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