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カテゴリ:チュクルジュマ界隈のこと、または猫ばなし
【10月10日・月曜日】 金曜の夜、ワカさんが帰ったあと、風呂に入ろうと思って浴槽を洗い、ふと見ると、湯沸かし器の下からポタポタと水が漏って来ている様子。湯沸かし器の中には小さなタンクがあって、そこに常時何リットルかの水をためておくようになっている。 そのタンクの底についている水抜き用の排水口から漏っているのだった。湯沸かし器のコントロール部を開いてみると、タンク内の水量はもう、ゼロに近くなっていて、8月中旬にメンテナンスを終わったばかりなので、特に大きな故障ではなくて、また水を注ぎ足してやれば一時的には点火も可能かもしれない。 しかし、こういう、ガスや火を使う道具は、かつて開店して半年ばかりの自分のレストランが、メンテナンスをろくにしていなかったらしいホテルの中古冷蔵庫を1基貰ったせいで、その冷却用フロンガスが漏れていて、初夏の暑い日に大爆発して新築のレストランが跡形もなく吹っ飛んでしまい、文無しになった経験を持つ私としては、素人判断でいじるのは本当に怖いのだった。 そこで、昔からよく来て貰っていたテッサッチ(管工事人)の店を訪ねてみると、しばらく前から店は別な商売に代わっていて、隣の中古品の靴屋のおじさんに聞いたら、幾年か前に完全廃業して店を明け渡し、そのあとの消息が分からないので、すぐそばの別なソカク(横丁)で店を構えているエンギン・ウスタを推薦してくれた。 店を訪ねてみるとウスタは仕事で外出中、たまたま店に来ていた弟が電話で聞いてくれたら、1時間後の5時までに戻るとのこと、私は自分の名前、住所、携帯番号をメモして預け、食材の買い出しにスーパーマーケットに向かった。 レジに並んでいる時、そのエンギン・ウスタから電話が来て、うちのアパルトマンの入り口にいる、とのこと。待っていて貰い、会計を済ませて大急ぎで戻り、早速コンビマキネシを見て貰った。エンギン・ウスタの顔には見覚えがあった。以前の家かレストランに来て貰ったことがある人だった。 「水抜き穴の部品が壊れているよ。取り替えた方がいいけど、タンクにいっぱい水を足しておけば何時間でも使えるし、この状態で使ってもすぐには危険はないよ。水が無くなるごとに足してやればまだしばらくは使えると思うけど、もちろん部品を換えた方が安心だけどな」 「この部品を変えて貰うといくらぐらいかかるの?」 「俺が修理すれば部品代で40くらい、修理代で40貰うから、80(最近のレートで約2,685円)リラだよ。コンビの会社とはメンテナンス(保守)契約とかガランティ(保証)契約があるのかい?」 「2年ごとに更新しているからあるけど、部品代は別に払うことになると思うわ」 「月曜日に会社に聞いてみな。向こうのほうが得なら呼べばいいし、俺の方はどっちでもいいよ、あんた次第だ」 エンギン・ウスタは、部品のネジを手加減で一番少ない漏水で済むよう調節した上、タンクに2リットルいっぱいまで注水して行ってくれた。普段は1.5の目盛に合わせて水を入れておくのがいいのだが、多少余分に入っていても問題はない。今までもたまに蓋を開けて目盛をチェックしていたが、滅多に減ることはない。この排水口での漏水も初めてだった。 「今日の手間賃はいかほど?」 「いいよ、いいよ、応急手当てしただけなんだから。じゃあ、安心してたっぷりお湯を使ってシャワーを浴びるといいよ。水が減ったら注水しながらでも当分は持つから心配するなよ、マダム。何かあれば俺にアローと言いな、すぐに来るから」 エンギン・ウスタはさばさばとした顔で笑って帰って行った。1995年、彼とは私が以前のジハンギルの海の見える家にいた頃、何かの修理でわが家に来たことがあり、当時からもう私を知っていたのだそうだ。チュクルジュマにコンビマキネシが導入されたのは2005年であった。この地区には薪ストーブを使っている大工のブラック・ウスタの大反対で、ジハンギルよりも10年も遅れてドアルガス(天然ガス)の敷設工事がなされたのだった。 このブラック・ウスタは、道路の向かい側に木工所があり、今回のわが家のあるアパルトマンでも、自分は店の部分を借りているだけなのだが、元カプに肩入れして、悪い入れ知恵をしている、とみなされる人物で、彼の借りている店舗部分、実は持ち主の遺産相続人達に内緒で、ただで使っている疑いで、我々の頼んだ弁護士が内偵中である。 さて、その晩ゆっくりと風呂につかりながら私は考えた。コンビの会社に修理を頼んでも、どの道会社と契約している地元のテッサッチ(管工事職人)が送られてくるだろう。もちろん修理代は同じようにかかるはずである。 それに、もしかすると、去年私が猫に壊されたトイレのクローゼットの付け替えに来た、嘘つきなウスタのように、パラ、パラ、パラ(金、金、金)とばかりに要求が強く、肝心の水道の直しはひどい腕前で、風呂場の壁の漏水の原因を作り、廊下の壁がボロボロはがれてしまった。ような仕事をする、あいつのようなヤツが来ないとも限らない。 それだったら、エンギン・ウスタのように、眼と鼻の先に昔からこの地域の仕事をしているウスタと親しくした方が、いろいろな面でいいに違いないと判断した。 月曜日までに、アパルトマンの罰金の振り込みもしなくてはならないし、ああ、お金のかかることがいっぱい! コンビマキネシの外観、下部の蓋を開けるとコントロール・パネルが出てきます。 交換した部品はボックスの下を通るガス管の上、右端に見える円形の黄色っぽいもの。 で、本日はいよいよ月曜日、タキシム広場の銀行で必要最低額をおろし、ジハンギルのアク銀行でとにかく罰金の振り込みを済ませた。家に戻る少し前、エンギン・ウスタに電話し、午後6時頃の約束で、新しい部品の交換に来て貰った。湯沸かし器についてはこれで安心、もうじき各部屋のカロリフェルを焚く時期も来るので、その前に対処出来て本当に良かった。 ああ、それにしてもこのところ、自分を筆頭に何でも古びて来ているので、パソコンも、携帯も、デジカメも、メガネも、全部古くなってしまっている。アパルトマンだってもう築47年、十分古びて来ているし、あ、そうそう、今週は水曜か木曜の夜、アパルトマンの住民会議が開かれそうだ。 元カプジュも未だに居座ってとんでもない要求を振りまわし、そちらの方も頭痛の種だし、まったく苦労するなあ。 ええ~い、ジャンジャジャジャジャン(メフテル軍楽隊のコンサート)でも聴かなければやっていられないよ、も~う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年10月21日 01時49分51秒
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