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カテゴリ:メフテル軍楽隊
【10月16日・日曜日】 今日もまたメフテル軍楽隊のコンサートに行くことになった。たまたま、大太鼓奏者のシェラフェッティンさんが「オルド・マルシュ(軍隊行進曲)」の演奏中に見せるバチのパフォーマンスを、新たにビデオに収めたいと七緒さんが言うので、ご本人にチャットで出番を問い合わせたら、16日の日曜日が出番で、しかも当日はシェラフェッティンさんの誕生日なのだそうだ。 「じゃあ、日曜日にきっと行くね、七緒さんにも知らせるわ」と電話を切り、七緒さんに知らせたところ、彼女はあいにく用事が入っていて行かれないとのこと。1人でも行こうと思い、誕生日プレゼントに何がいいか考えた。 「由美子さん、私は世界食品デーに生まれたんだよ。10月16日は世界食品デーだって言うのを知ってる? そのせいか、私は食べることが好きでねえ、何でも好き嫌いなく食べるんだ」と、チャット中に彼が言っていたことを思い出した。ははあ、だから彼は花より団子、と言うタイプの人なのね、と納得。 夕べのうちに買い物に出た時、チキンのももを2羽分骨を外して貰い買って来ておいた。寝る前に適当な大きさに切って、塩コショウ、ほんだし、ニンニク、ショウガを擂り込み、醤油でまぶして一晩寝かせ、出発の1時間前に揚げるつもりで用意しておいた。 今朝、髪を洗ったり、洗濯物を干して出かける支度をしているところに、近くの観光土産物店の店長ユルマズさんの夫人、ナオコさんから電話が来て、久々に夫君の店に家族で来ているので、もしご都合がよかったらお茶でもいかがですか、と誘ってくれたのである。 ナオコさんと2人の子供達とは、去年の夏、知り合ってすぐに一緒にメフテル軍楽隊のコンサートに行き、約1ヵ月後にも再びコンサートに行っているので、私は今日は絶好のタイミングだと思い、お父さんがOKしてくれるなら、メフテル軍楽隊にご一緒にいかが、と誘うとユルマズさんも二つ返事で承知してくれたのだった。 かくて七緒さんは来られなかったがもっとにぎやかなグループになって、私は出来上がった唐揚げを少し冷ましてから、2つのパッケージに分けて入れ、12時半頃に家を出て、土産物店の隣のイーイト・ギョズレメ店でナオコさんとチャイを飲みながら歓談、2時までに行くと約束してあったので、1時半には親子と私の4人でタクシーを呼び、軍事博物館に行った。 軍事博物館の本館入り口前。セリンちゃんと私。 猫が大好き。早速5匹兄弟を見つけました。 シェラフェッティンさんはシヴィル・メムル・ガジノス(文民職員娯楽室)に私達を招き入れ、去年も出会ったことのあるナオコさんの坊や、アレン君を見て、ほぼ同じ年の息子がいるので、チャイだ、水だと何かとかまってくれた。 彼は唐揚げのパックを一つ開き、部屋にいた仲間の人にも振る舞い、もう一つは家にいる家族に持ち帰ってやってもいいか、と私に尋ね、「もちろん」と言うと袋に大事にしまい込んだ。 隊員達がそれぞれ着替えに行き、私達も席を立った。外に出るとまだ時間がある、とシェラフェッティンさんがアレン坊やにバチを持たせてそれをナオコさんがカメラに収めた。セリンちゃんと私も、もし記念撮影タイムに撮れない時の用心にナオコさんに写して貰った。 アレン坊やは昨年初めて来た時、広い庭を走り回って疲れ果て、 コンサートの間すっかり眠ってしまって演奏を聞いていなかった。 いよいよコンサートが始まった。今日も中庭からの入場行進があった。シェラフェッティンさんのバチ捌きはもう、本当にウスタ(名人)と呼ぶにふさわしいし、今日はこうして馴染みの顔を迎えているのでなお一層張り切っているかに見えた。 七緒さんが来られないので、あの曲だけは私のカメラで動画を撮っておこうとやってみたが、撮れていたのはピンぼけもいいところで、私のカメラももうそのうちに新しくしないとまたお釈迦になってしまうかもしれない。とにかくシェラフェッティンさんの手の動きが早くて追いつけなかった。 私も非常に地味な性格の彼が、キョスゼンの役割を果たしているときは、メフテル軍楽隊の決まりで喜怒哀楽のない無表情で演奏をしなくてはいけない中でも、やっぱり嬉しそうに太鼓を打っているなあ、と感じられるのだった。 会場はかなりの入りで、いよいよ子供達の校外授業が始まりました。 キョスゼンはみんなの注目を一身に集めます。生真面目な顔で メフテル・バシュを見つめながら次々と手を繰り出すわけです。 小学生の団体が入るとたいそう賑やかです。 会場の子供達がもうみんな、両手を振り上げ、キョスゼンの真似をしている。キョスゼンはほかのパーツと比べ、力を振り絞って太鼓を打ち鳴らしっぱなしなので、休む暇がなく、本当に重労働なのである。 でも、場内の子供達の熱狂ぶりはどうだ、総大将チョルバジュ・バシュであろうと、軍楽隊長メフテル・バシュであろうと、キョスゼンの目の前では霞んでしまうのではないだろうか。 演奏が終わり、記念撮影サービスのために旗手や鎧の侍達が並ぶと、大勢の撮影希望者が舞台に下りようとしてごった返した。一度引っ込んだ舞台の袖から、シェラフェッティンさんが戻ってくるのが見えると、人々はわれ先に彼をめがけて突進した。 アレン坊やに、キョス(大太鼓)の前でシェラフェッティンさんと並んだ写真を撮ってやりたいが、日本人女性であるナオコさんが遠慮している間に、どんどん自分の赤ちゃんをシェラフェッティンさんに抱かせて何枚も向きを変えて撮影させる若い夫婦や、あとからあとから、汗だくのシェラフェッティンさんにポーズを要求する人々もいて、今日はすごい花形スターのようである。 やっとキョスゼンの周囲の人垣が少なくなったので、アレン君が念願の太鼓の前ではい、ポーズ! いい加減待ったあとで、チョコチョコとアレン君が大きなシェラフェッティンさんのそばに行き、やっと目的のポーズが撮れた。みんな揃ってシェラフェッティンさんと並ぶのは諦め、パレードに出る前のシェラフェッティンさんと子供達との数枚があるのでそれでよしとして、私達は会場から出た。 警備の職員達が「もう時間が過ぎています、お一人様1枚ずつでお願いします。あと1分でしめ切ります」と声をからしているのを、私は最上階の通路に戻って見ていた。 4時過ぎから売店のカフェテリアで、シェラフェッティンさんと、シンバルの隊員、イブラヒム・カサコルさんがチャイを振る舞ってくれた。アレン君は庭で猫を追いかけているのをセリンちゃんが見ていてくれたので、おとなだけで送迎バスの出る少し前まで私達は歓談し、帰りはまたタクシーでお父さんの待つ店に帰って来た。 それにしてもどっと観客に取り囲まれて、嬉しい誤算だったと思うけど、たくさんのカメラに収まり、ポーズを取って、花形スターらしい誕生日だった、と私もシェラフェッティンさんを思うと嬉しかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年10月23日 00時51分08秒
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