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カテゴリ:イスタンブール日々新たなり
【11月7日・月曜日】 今日は朝から友人に頼まれて、その人の6年ほど前のとある写真を探しているうち、どうやら見つかってその件は済んだのが、同じ頃のブログに、ずっしりと重い金の延べ棒を持った私自身の写真が出て来た。 まあ、早い話が手に持っただけなのだが、普通ではとうてい、生涯触ることすらあり得ない話なので、あ、あのときこんなこともあったなあ、と思わずその日のブログも読み始めてしまった。 6年前にはまだ仕事も沢山あって、トルコには世界中から観光客が来て、私も日本から来た人、トルコでもイスタンブール以外に住んでいる人、色々な知り合いに頼まれたり、自分の両替の用事などでグランド・バザールに毎週のように通っていたものだった。 グランド・バザールは私がコーディネーターとして初めての仕事をした場所なので、日本のテレビ局の撮影隊の人達や、撮影を請け負った製作会社、新聞や雑誌の記者さん達、それはもう、数えきれないほど足を運び、あのグランド・バザールでも決して迷子にならない自信がある。 当然お店の人々とも知り合いになり、両替店、貴金属・宝石店、土産物店のあの顔、この顔。ところが、かつてない暗雲に覆われて、去年後半からばったりと観光客の途絶えたイスタンブールやカッパドキア。かつて、観光地のドル箱と言われたトルコ、グランド・バザールも閑散としてシャッターの閉まったままの店が増えてしまった。 私も滅多に用事が無くなってしまい、知り合いもぐんと減ってしまったので、この頃滅多に行かれなくなってしまったが、これは2010年10月20日にグランド・バザールを訪れた時、若い友人が金の延べ棒と、お祝いの贈答用の金貨のみを扱う店で働いていたので、ちょっと顔を出したときに金庫から店頭に出したばかりの延べ棒を、無造作に「加瀬ハヌム、今朝入ったばかりの延べ棒だよ、持ってみる?」と差し出してくれたのだった。 これが1kgの重さの金の延べ棒。燦然と輝いていました。 本当に、手にずっしり来るんですよ~、札束とどっちがいいかしら。 しかし、その日の金の値段について聞いたとおりに書きとめておいたのを今更ながら読んで、6年後の現在の金の相場と比べたら、金塊もお祝い用の金貨も今ははるかに値上がりしていて、ますます「金(きん)もカネも遠くにありて思うもの」と思い知らされた。 6年前の10月20日の相場では、1kgの金の延べ棒は61,548トルコリラ(当時ドルでは43,273.5ドル、日本円で353万円余り、1ドル=81.26円)。 1万円のレートが174.73トルコリラの頃、100ドルが142,23トルコリラだった。 そして2016年の11月7日、本日の金相場は、1kg の延べ棒が131,000トルコリラ、(今年11月4日のレートで、41,788ドル、日本円では431万8,017円) 私にとっては6年前でも、今年でも、金の延べ棒に何の縁もない立場なので、どうでもいいのだが、お金の価値と言うものは、その時々の、国の事情、力関係、経済状態によって、さまざまに変化するものだと言うことが、朝からこんなことをしていてしみじみと分かった。 この金の延べ棒を私に持たせてくれた店員ムラット君は、今は自分で商売の道を開拓しながら、去年結婚して可愛い女の子を授かった。いまでもたまに、Facebookや電話で「お母さん、どうしてる?」と私の様子を聞いてくれることもある。 今朝からやる予定だった掃除と食材の買い出し、全然出来なかったけれどそれはそれで仕方ないとして、今日午後3時過ぎまで、こんなことにのめり込んで、何を得たかというと、「経済に疎い私」のことだから、当然何もなく、ただ、お金は生きていて、ときには怖いものだなあ、と納得させられたのみ。 あ、しまった。洗濯物を干すのを忘れていた。干していたら、とっくに乾いている頃だと言うのに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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